『森林インストラクター』 かっちゃんの山歩き

人生のターニングポイントで一念発起!アラ50デビューの森林インストラクターのブログです。

「オークス(樫の女王)」

2013年05月15日 | 森の話
2013年5月15日
今日はちょっと趣向を変えて競馬の話題をひとつ。
次の日曜日(19日)に中央競馬のG1レースの中でも五大クラシックと呼ばれる伝統のレースのひとつ、3歳牝馬限定の「オークス」が行われます。
このレースの正式名称は「優駿牝馬」というのですが、競馬の本場イギリスのオークスステークスというレースを手本にしたのが始まりなので、日本でも副称で付けた”オークス”のレース名の方が通っています。
また、毎年4月上旬に行われる同じく3歳牝馬限定のクラシックレースの「桜花賞」を勝った馬を”桜の女王”と呼ぶことから、オークスを勝った馬もオークスの直訳から(英語表記でOaks、Oakはカシの木の「樫」の意味)”樫の女王”と呼ばれます。
でもこれ、森林インストラクター的には、ちょっと疑問?!なんです。
確かオークは日本語ではカシの木の樫ではなく、ナラの木の「楢」の意味だし、そもそも樫と楢では、樫は冬でも葉を落とさない「常緑樹」で楢は秋に葉を落とす「落葉樹」と大きな違いがあるから、英語でも別な言葉があるはずと思ったのです。
そこで調べてみるとヨーロッパのオークの多くは落葉樹のナラであり、常緑のカシは南ヨーロッパ以外では稀とのことなので、競馬の本場イギリスのOakはナラをを意味すると思って間違いないでしょう。
それに英語のOakという単語はやはりナラを表し、常緑性のカシを表す場合はLiveOak (ライブオーク)を使うとのことです。
したがって、オークス優勝場は樫の女王じゃなく、正しくは”楢の女王”と呼ばれるべきなのです。
このように間違われた理由は、明治時代の翻訳家が落葉樹のオークを樫と誤訳したことが始まりだといわれています。

常緑樹の「樫(ウラジロガシ)」 2013年5月14日撮影
 

落葉樹の「楢(コナラ)」 2013年5月14日撮影
 
・・・ところが、更に調べてみると真実が!
オークスステークスは、世界各国で行われている○○ダービーの元となったイギリスのダービーステークスの創設者の一人、第12代ダービー伯爵が1779年に友人と所有する牝馬同士のレースを行ったのが始まりで、このレースを行ったダービー伯爵の領地”TheOaks”の名にちなみオークスと名付けられたのが本当の由来だったのです。
つまり、楢でも樫でもなかったという結論ですが(笑)、まぁ何はともあれ○○の女王って響きはロマンがあって良いですよね。


と、せっかくなのでもう一つ競馬ネタを・・・
このオークスも行われる東京競馬場の競馬中継を見ていると、3コーナーから4コーナーにかけ、よく『大ケヤキの・・・』のアナウンスとともにコースの内側に大きな木が映るのを知っていますか?
実は、この大ケヤキと呼ばれてる大きな木は、ケヤキ(欅)ではなく、「エノキ(榎)」なのです。
こう呼ばれる理由は、以前はエノキの隣に実際大きなケヤキがあったそうで、その名残で今も『大ケヤキ』と呼ばれているそうです。
以上、森林インストラクター的な?よもやま話でした。

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