『世にも奇妙な君物語』朝井リョウ著

世にも奇妙な物語風のお話が5編入った短編集。
以下ネタバレあり。

























●シェアハウさない
タイトルの意味がよく分からない。
駆け出しのライターがシェアハウス特集をする為
たまたま出会ったシェアハウスの人達に興味を持ち
潜入取材を試みるのだが
実はそこは特殊性癖の人達のたまり場で
お互いがお互いを監視していた…という事が分かるが
分かった地点で時すでに遅し、
主人公は首絞め男の餌食になるのであった…

で、主人公死んだん…？
昔も同じ被害に会ってるって事は
狙われやすいのかね…？
しかし友達待たせて家に来ましたって言ってる人
襲う方もどうかしてるよ…
ちょっとよく分からない話だった。

●リア充裁判
リア充をアピールしないといけない世界。
出来ていない人はSNSで人と交流を深め
ハロウィンやスポーツ観戦など
人が集まる場所で皆で一緒に盛り上がるよう指導がされる。
リア充裁判に呼び出された主人公は
真面目な姉に憧れ人とあまり交流を持たない大学生。
リア充裁判のせいで姉がパリピになってしまったので
この裁判でなんとか裁判官に訴え出ようとしていた。

こんな世界あったら発狂するわｗｗｗ
ただ世界観は面白いかなぁ…と。
姉の恋人が裁判官になって
リア充裁判を覆そうとしているのも良かったけど
実はこれは主人公が妄想していた漫画でしたってオチで
う～ん、別にオチはいらなかったかなぁ…？
パリピに対する皮肉かと思いきや
最後陰キャに対する皮肉へと早変わりしていたので
まぁ、バランスはいいのかもしれん。

●立て！金次郎
幼稚園の教諭である主人公が
子供達全員、バランス良く目立たせるという
幼稚園の方針に反発し、
各々の個性を生かした方法で
子供を輝かせる、というお話。

お話自体は良かったんだけど、
子供達をバランス良く活躍させるというのと同様に
保護者も先生をバランス良く活躍するよう
調節していたってオチでしたが
これも最後のオチがいらないかなぁ…？
せっかくいい話で終わってたのに
オチでなんかどっちらけになっちゃったわ。

●13.5文字しか集中して読めな
ニュースサイトの文章を書く仕事をする主人公。
芸能人のゴシップばかりをニュースにし、
最後自分の子供に自分のゴシップ記事を書かれるという
オチでした。

別にご飯行くくらい不倫でもなんでもないだろうに。
あれくらいで疑われてたらちょっときつない？
まぁ、ゴシップ記事に対する皮肉なんでしょうが。
今回はまあまあ最後のオチが効いてくる感じでした。

●脇役バトルロワイヤル
いつも脇役ばかり演じている役者達が集まり
主役の座を賭けてオーディションするが
少しでも脇役っぽい事をすると即失格となり
次々脱落者が出てしまう。
主人公は最後まで生き残れるのか…！？

実際の役者さんを彷彿とさせる
登場人物のネーミングに笑いましたが
これ訴えられないの？（笑）
五つの話の中では一番面白かったかなぁ？
馬鹿馬鹿しい系でしたのでさらっと読めました。
最後全てを天才子役に持ってかれるのも
良いオチだと思う。

文章は安定して読みやすかった。
ただ全体的にどんでん返しを狙いすぎて
皮肉っぽくなりすぎたかなぁ？
皮肉を効かせる話と良い話と
メリハリをつけた方が良かったかもしれない。
ほぼ皮肉ばかりなのでちょっと飽きるかも。
ただ、世にも奇妙な物語を意識しているそうなので
その辺はドラマに寄せてるのかな？
読みやすかったけど、心に引っかかるものは無かった。
暇つぶし用ですかね？
星は3.5。