カタスミ

『さえづちの眼』澤村伊智著

比嘉姉妹シリーズの最新作です。
以下ネタバレあり。





















比嘉姉妹シリーズって言った割に二人とも
あんまり出てこなくてちょっとがっかりだった。

『母と』
家庭環境の良くない子供達が鎌田ハウスという所で生活しているが
そこに良くない霊のようなものが現れる。
子供達を守る為に鎌田のおっさんが奮闘するが
同じ力を持つ人と結婚してからすぐ死んでしまう。
そこから子供達の様子がどんどんとおかしくなり
逃げ出した子供が真琴に助けを求める。

真琴は相変わらず弱いのであんまり役に立たないなぁ…
つかみはすごく良くてぐいぐい引っ張り込まれる話だが
最後がよく分からんかったわ。
最初の視点として出てくる登場人物が男と思っていたが女だった
というオチだったのですが、それ必要なのかな…?
この人叙述トリックあんまり上手くないから
やめた方が良いと思うわ…
鎌田の奥さんである瑛子が黒幕なのだが
瑛子だと思われていたのが琢海で、それを操っていたのが
子供の姿をしたナナコで、じゃぁ、最初に鎌田のおっさんの
奥さんとして紹介されたのは誰なの…?
ホラーのせいか読後感もいまいちだし、
最初面白かったからもったいないなぁ…


『あの日の光は今も』
昔UFOを見た事で一躍有名になり
マスコミに祭り上げられた結果
疑う者が大勢出てきて、更にその中から死人が出てしまい
非難の中暮らしてきた少年が大人になってからの話。
比嘉姉妹シリーズと言いつつ、ここの登場人物って
ずうのめ人形に出てきた人…?
もうあんまり覚えてないし、そんな脇役より
比嘉姉妹出して欲しいんだが…
こちらもつかみは良いんだが、オチはいまいちで
結局UFO見た元少年は母親と共に死んじゃうと言う
なんだかなぁ…という感じでした。

『さえづちの眼』
最初は家政婦さんの手紙を読み進める感じで
その家で起こった事を順を追って知っていく流れ。
謎の巨大な生物がずるずると屋敷内を這っている音がし始め、
その後どんどんと元気が無くなり、ある日
自分は実は神だといい、森に帰る娘の冴子。
この辺はとても面白かった。

現代、冴子の母佳枝は年老いていた。
旦那も義母も亡くなり、義弟は謎の死を遂げ、
一緒に住む甥夫婦は子供に恵まれず悩んでいた。
一家には呪いがかかっているという事で
呼ばれたのが比嘉の姉ちゃんの方。
本当に話の終盤にちらっと出てくるだけです…
呪いの原因は佳枝だったと思われたが、実は
冴子が蛇神と結婚して本当に森の神になっていて、
たまたま森に遊びに行った佳枝が冴子の子供を殺したと
憎んでやったという事であった。
琴子の助言もむなしく、最後は佳枝は無限に苦しむ
死の訪れない地獄に落ちていくのであった…

うう~ん…、途中蛭を殺したのがそうなのだとしたら
んなもん気付くかいな…という気はしますね。
無駄な殺生はするなって事でしょうか…
こちらもホラーのせいか読後感は良くない。

全話共通してつかみはめっちゃ良いがオチが良くない
という感じでした。
ホラーって最後は絶対嫌な感じで終わらせないといかんの…?
別にハッピーエンドでも良さそうなものだが。
そして比嘉姉妹が全然出てこないので、単独の短編集としてでも
全然成り立ちそうな感じではありました。
星は3つです。
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