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((( Barbacrea )))

ロンドン生活を経て、南イタリアのちっちゃな田舎町に移住。

Call me by your name 君の名前で僕を呼んで

2019-01-10 | 日記

2019年始めは久しぶりに映画について書きたくなりました。

先週やっと「Call me by your name」を見ました。ちょっと遅いのですが、映画館で見れなかったので家のスカイで見れるようになるまで待ちました。正直そんなに期待はしてなくて、でも何だかわからないけど、この映画は見ないといけない気がしてました。そういう映画ってないですか?それも絶対に1人で見ると決めてました。私はコメディやアクション映画以外は1人で映画を見るのが大好きです、誰にも邪魔されず、どっぷりと映画の世界に浸れるから。フライト中にたくさん映画を見る機会があるのですが、どうしても隣の人との距離が気になるし、映画館と違い同じ空間を共有していないので、特にいい映画を見るには居心地が悪い。それでも暇だからずっと続けて見てますが。だからフライト中に見て気に入った映画は、後からもう一度見ることが多いです。そうじゃないと、映画の消化不良をおこします。

自分の家でひとり静かにこの映画を見ながら、何だか自分の若いときの経験と多少重なる部分があり(私の場合は異性との恋愛でしたが)主人公エリオ君の痛みをより強く感じてしまいました、、、。特にエリオ君の表情や動作が印象深くて、それにオリヴァーとの会話や距離感の変化、両親の暖かさなど、色々と見どころはありました。後半は本当に泣けてきて涙がぽろぽろ流れました。完全に私の感情が揺さぶられた映画でした。音楽もとても印象的だし、北イタリアの風景や小さな田舎街の様子も変に美化せず、誇張せず、とても自然な感じ。それでいて美しい。多分それは監督がイタリア人だというのもあるかも知れません。映画中での時代は1983年に設定されています。だからかな、とても親近感もわいた。自分もその時代は10代まっ只中だったから。

この映画、原作はアンドレ・アシマン(ユダヤ系アメリカ人、エジプトで生まれ、ローマに5年間住み、1969年に最終的に家族でアメリカに移住)という作家の同じタイトルの小説だそうです。これはいつか読んでみたいかも知れません。この映画の細かいことはこれから映画を見たい人もいると思うので敢えて書きませんが、とても知的で可愛さも残る17歳の青年エリオのひと夏の物語。出会い、初恋の甘くて切ない気持ちと強い欲望、宗教とセクシュアリティ、別れ、その他色々な事が交差する物語です。何と言っても周囲の人たちの暖かさがジーンとくる。特に80年代はまだセクシュアルマイノリティに対する環境は現代より厳しかったと思うから、余計にその暖かさが身にしみます。特に舞台となったイタリアはカソリック教の国ですから、より保守的、同性愛に関してはとても閉鎖的だったのではないでしょうか。この映画はユダヤ教徒のエリオの家族そしてオリヴァーもユダヤ教徒です。そういう背景にも二人の親近感と葛藤、両方の意味が隠されているのではないでしょうか。エリオのお父さんの職業はギリシャ・ローマの考古学教授なので、ギリシャ彫刻などの芸術品もたくさん出てきます、ギリシャ彫刻やギリシャ神話との繋がりもあって意図してるものがあるのではないかとも思いましたが、私はその辺無知なので、わかりません。でも個人的にはあまり考え過ぎずに、この映画をみて、素直に受け止めた方がいいのかなと。何故かというと、この映画は見る人によって色々な解釈や違う捉え方があると思うからです。

音楽もとても素敵なんです。特にスフィアン・スティーブンスの「Mystery of Love」 がとてもいい。。。

https://www.youtube.com/watch?v=KQT32vW61

そして絶妙なキャスティング。ティモシー・シャラメとアーミー・ハマー。この俳優二人、実際に半分ユダヤ系なんですね。お父さん役のマイケル・スタールバーグもユダヤ系だし。お母さん役のとても美しい女優さんアミラ・カサールももユダヤ系かも知れませんね、わかりませんが。エリオ君の友達マルシアを演じた女優さん、エステル・ガレルは顔に特徴があるし存在感もあって気になって調べたら、フランスの俳優ルイ・ガレルの妹さんでした。確かに似てますね。ということは、フランスの映画監督フィリップ・ガレルの娘さんです。

それにしても、ティモシー・シャラメには脱帽しました。美しさも実力も兼ねた俳優。今後が楽しみですね。脚本はあのジェイムズ・アイヴォリーです。去年アカデミー賞で脚色賞もとりましたね。さすが、です。それより驚いたのが、アカデミー授賞式でのジェイムズが着ていたシャツ。なんと、エリオ君の顔が描いてありました。それにしてもこの時89歳ですよ、彼は。いやー彼の情熱には本当に驚かされます。

 最初は、ジェイムズと本作品の監督ルカ・グァダニーノの二人が共同監督することになっていたらしいですが、フランスの出資者が二人の共同監督体制に反対したことを機に、ジェイムズはグァダニーノ監督側に脚本を売り、製作からは退いたとのことです。結果的にはこれで良かったと思いますが。ジェイムズ・アイヴォリーが監督していたら、全く違うタイプの映画になっていたかも知れません。

グァダニーノ監督のキャスティングは大当たり、映像も音楽も、演出も、私にはしっくりきました。ちょっとした余談ですが、ジェイムズは主演俳優二人のフルヌードを脚本に入れてたらしいですけど、俳優ふたりの契約にフルヌード拒否が入っていたので、そのシーンはなくなったと書いてありました。個人的には、フルヌードなしでよかったと、、、。ないことでより色気が出てるし、この映画には必要ないと個人的に感じます。この映画は色々と奥が深い気がして、もう一度見て確かめたい箇所が色々あります。それにしても、今回は仕方なく、というか選択できずイタリア語吹き替え版で見ましたが、次回は必ず原語で見たいと思います。吹き替えだと全てがイタリア語になっていて、エリオが英語、フランス語、イタリア語と使い分けて話しているのすら区別なく分からないのですから。それはとても残念です。2カ国語以上使われている映画では吹き替えは推奨できませんね。

 

主役のふたり、こんなに格好良くGQのカヴァーを飾ってました。

映画の中の雰囲気とは全然違う!

書きたい事は他にもたくさんあるのですが、とてつもなく長くなりそうなので、やめときます。こういう映画の趣味的なこと(多くはくだらないこと)を、だらだらと話せる友達がここにいたらなあ。。。

グァダニーノ監督のこと、わたしほとんど知らなかったのですが、今ちょうどイタリアでは監督の最新作「サスピリア Suspiria」が上映してます。ダリオ・アルジェント監督の1977年のホラー映画のリメイクです。ホラー映画だけは、ほとんど見ないので知識も全くないのですが、ティルダ・スウィントンが1人3役をこなしてるようで、色々と話題になってます。ちなみに音楽はレディオヘッドのトム・ヨークが担当したそうで。。。それはそれで興味があるのですが。多分、見ないと思います、音楽だけでも聴いてみようかな。

 

 

 



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