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中国化進む「白頭山」 消えるハングル/増える漢族

2007年11月26日 | 中国vs韓国
 中朝国境の延辺朝鮮族自治州にある名勝・白頭山(中国名・長白山、標高2744メートル)で“中国化”が進んでいる。韓国人に代わって中国人の観光客が増え、ハングル表記も減っている。来年夏には自治州外の麓に空港が完成するため、朝鮮族自治州を経由する観光客は激減する見通しだ。

 また朝鮮族自治州自体、朝鮮族の比率が減り、漢族の比率が増えている。少数民族自治州としての存立さえ危うくなっている。危機感を抱いた朝鮮族の間では「生めよ増やせよ」の出産奨励が行われていた。

 “中国化”の背景には近年、韓国との間で「歴史の奪い合い」になっている高句麗問題がある。また、将来の韓国(朝鮮)との国境紛争、領土紛争まで見据えた中国政府の政治的思惑があるといわれている。

 10月中旬の白頭山の気温は、すでに朝晩は氷点下。頂上の神秘的な湖・天池の周辺にはうっすら雪が積もっていた。観光シーズンは終了直前で、韓国からのツアーはほとんどなく、中国人観光客でにぎわっていた。

 以前は頂上を含め山には「ペクトサン(白頭山)」などハングル表記がかなり見られたが、今や漢字の「長白山」ほぼ一色だ。頂上付近には、以前はなかった中国軍の施設もあり、壁には「祖国利益高于一切(すべてにおいて祖国の利益を高める)」との標語が書かれていた。

 韓国からの白頭山観光ルートは、これまで主に自治州の東部にある州都・延吉経由だった。しかし、中国政府はより山に近い西部の「松江河鎮」に新空港を建設中だ。これが完成すると、時間のかかる延吉経由は、ほとんど使われなくなりそうだ。

 延吉のホテルや韓国(朝鮮)料理店でも、韓国(朝鮮)語ができない漢族の従業員が増えるなど“中国化”が目立つ。自治州の人口220万のうち朝鮮族は今や34%に過ぎない。30%を切った場合、自治州の資格がなくなるという。

 朝鮮族の流出は韓国や他都市への出稼ぎが原因だが、漢族の“進出”には中国政府の意図が働いているとの説もある。

 中国人でにぎわう白頭山から移動した韓国人観光客たちは、中朝国境を流れる豆満江に向かう。そして新しく始まった「遊覧ボート」に乗って北朝鮮領に接近し、北の警備兵にパンやお菓子、たばこなどを入れたポリ袋を投げ与えていた。


http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/92310/