思えば、ぴっかぴかのヤリイカを魚屋で見つけたのが敗因だったかもしれない。
そして、スーパーにめずらしく出ていた葉っぱ付きの大根をいそいそ購入したのもいけなかったかもしれない。
何より一番まずかったのは、それらの調理を一度にしようとした事だ。
なにせ半端に空いた細切れな時間は可能な限りよせやって己の余暇を捻出するのが習慣化しているワタクシである。普段であれば、帰宅してすぐ、用途別に使える状態にして収納しておくのだが、このところぶったるんでいるもので「明日の事は明日になってからやりゃーいい」などと調子に乗っただらけた気分が蔓延していたのも良くなかった。
翌昼、私は冷蔵庫の在庫、食品鮮度等々勘案し、寝起きの頭でつらつら本日のメニューを算段していた。
解凍しといたブリがあるからメインは焼き魚で(前回甘煮にしたらば、たいそう不評だった)野菜も採らんとあかんから野菜炒め。あー、醤油に漬けといたイカの足とかあったっけ。あれも焼いちゃわんといかんしな。大根の葉っぱも早く使わないと萎れちゃう……。
ご飯はタイマーで炊き上がるし、魚はグリルだからほっぽっといても焼けるとして、そうなると問題は己が能動的に動く作業、つまりガス台の三つのバーナーの振り分けと使用順序である。グリルの受け皿に水を入れ、とりあえず魚網を温めつつも、それらの手順を考える。となると──。
大根の葉っぱは唐辛子で炒めるので使用器具はフライパン。野菜炒めもフライパン。イカのゲソ焼きもフライパン。本日は全部炒めるだけの簡単お手軽クッキング。ただし、イカゲソはフライパンがめっちゃ汚れるから調理するのは一番最後。無論、別のフライパンを使ったりすると洗い物が増えるので、一つで済ませる所存である。余計な手間暇はかけたくない。となれば、フライパンの使用順序は自ずと定まってくるというものである。そう、あんまり汚れない順に、
大根の葉っぱ → 野菜炒め → イカゲソ
そろそろご飯が炊き上がるし、(寝坊して)時間が押してはいたのだが、ただ炒めりゃいいので余裕である。そろそろやるか、と調理にかかる。まずは大根の葉っぱである。右手に包丁、左手に大根の葉っぱをむんずと掴み、はた、と私は重要な事実に気がついた。
まず茹でる必要がある。
生で炒めると仕上がりが硬いからである。ざっと茹で、然る後に刻んで炒める、これ我が家の流儀である。だかしかし、そうなると必然的に……?
湯か!?
湯を沸かせ!
あたふた鍋に水を張り、火力最大、ガス台の前で沸騰を待つ。
唯一の調理器具フライパンの使用順序が決まっているので、その間、全ての作業はストップである。
じっと待った。ひたすらに。
なんたる不覚。こんなの料理ともいえない一品なのに。メインの脇の箸休めなのに。なのに、大根の葉っぱ一つにしてやられるとは~!
野菜も切ったし、 肉も解凍した。
皿も出したし、イカゲソのタッパも冷蔵庫から出してしまった。
ご飯がピーピー炊き上がる。しかし、私は動けない。
腹を空かせただーりんは、テレビのリモコンいじりつつ若干不機嫌になり始めている。作業ストップで手持無沙汰な私は、正午を過ぎた壁の時計と睨めっこしつつ、湯が沸くのをひたすら、じぃっと待っている。ああ、買って帰って来た時に、何故にさっさと茹でとかなかったか。ほんの片手間惜しんだばかりに──!
後回しにしたツケがテキメン回る。
ああ、段取りわるっ。
近頃マジたるんでんな……と、ぷつぷつ沸き立ち始めたお湯を見つめ痛感したワタクシであった。
そして、スーパーにめずらしく出ていた葉っぱ付きの大根をいそいそ購入したのもいけなかったかもしれない。
何より一番まずかったのは、それらの調理を一度にしようとした事だ。
なにせ半端に空いた細切れな時間は可能な限りよせやって己の余暇を捻出するのが習慣化しているワタクシである。普段であれば、帰宅してすぐ、用途別に使える状態にして収納しておくのだが、このところぶったるんでいるもので「明日の事は明日になってからやりゃーいい」などと調子に乗っただらけた気分が蔓延していたのも良くなかった。
翌昼、私は冷蔵庫の在庫、食品鮮度等々勘案し、寝起きの頭でつらつら本日のメニューを算段していた。
解凍しといたブリがあるからメインは焼き魚で(前回甘煮にしたらば、たいそう不評だった)野菜も採らんとあかんから野菜炒め。あー、醤油に漬けといたイカの足とかあったっけ。あれも焼いちゃわんといかんしな。大根の葉っぱも早く使わないと萎れちゃう……。
ご飯はタイマーで炊き上がるし、魚はグリルだからほっぽっといても焼けるとして、そうなると問題は己が能動的に動く作業、つまりガス台の三つのバーナーの振り分けと使用順序である。グリルの受け皿に水を入れ、とりあえず魚網を温めつつも、それらの手順を考える。となると──。
大根の葉っぱは唐辛子で炒めるので使用器具はフライパン。野菜炒めもフライパン。イカのゲソ焼きもフライパン。本日は全部炒めるだけの簡単お手軽クッキング。ただし、イカゲソはフライパンがめっちゃ汚れるから調理するのは一番最後。無論、別のフライパンを使ったりすると洗い物が増えるので、一つで済ませる所存である。余計な手間暇はかけたくない。となれば、フライパンの使用順序は自ずと定まってくるというものである。そう、あんまり汚れない順に、
大根の葉っぱ → 野菜炒め → イカゲソ
そろそろご飯が炊き上がるし、(寝坊して)時間が押してはいたのだが、ただ炒めりゃいいので余裕である。そろそろやるか、と調理にかかる。まずは大根の葉っぱである。右手に包丁、左手に大根の葉っぱをむんずと掴み、はた、と私は重要な事実に気がついた。
まず茹でる必要がある。
生で炒めると仕上がりが硬いからである。ざっと茹で、然る後に刻んで炒める、これ我が家の流儀である。だかしかし、そうなると必然的に……?
湯か!?
湯を沸かせ!
あたふた鍋に水を張り、火力最大、ガス台の前で沸騰を待つ。
唯一の調理器具フライパンの使用順序が決まっているので、その間、全ての作業はストップである。
じっと待った。ひたすらに。
なんたる不覚。こんなの料理ともいえない一品なのに。メインの脇の箸休めなのに。なのに、大根の葉っぱ一つにしてやられるとは~!
野菜も切ったし、 肉も解凍した。
皿も出したし、イカゲソのタッパも冷蔵庫から出してしまった。
ご飯がピーピー炊き上がる。しかし、私は動けない。
腹を空かせただーりんは、テレビのリモコンいじりつつ若干不機嫌になり始めている。作業ストップで手持無沙汰な私は、正午を過ぎた壁の時計と睨めっこしつつ、湯が沸くのをひたすら、じぃっと待っている。ああ、買って帰って来た時に、何故にさっさと茹でとかなかったか。ほんの片手間惜しんだばかりに──!
後回しにしたツケがテキメン回る。
ああ、段取りわるっ。
近頃マジたるんでんな……と、ぷつぷつ沸き立ち始めたお湯を見つめ痛感したワタクシであった。