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枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

昔より「見返りの塔」と呼ばれて・・大法寺三重塔

2012-10-04 | 古い神社や寺で
          上田に近い長野県小県郡青木村。塩田平(えんでんだいら)と呼ばれ、
          古くから信濃における政治、文化の中心として栄えた地といいます。
          その塩田平を見おろす山の中腹に大法寺(天台宗)があります。
          お寺には本堂と江戸時代に建てられた素朴な観音堂がありますが、一際尊い
          姿を見せるのは、最奥、岩盤上に置かれた三重塔。(国宝)
          鎌倉時代の終り、1333年の建立。高さ18.56m、檜皮葺き。
          二重、三重は通常の三手先の組物としていますが、初重だけは簡素な二手先
          として、それだけ大きな平面を得ています。そのことが塔全体に落ち付いた
          印象を与えているようです。この手法は、奈良興福寺三重塔にも見られるもの
          で、中央の工匠の係わりを裏付けるものと言われます。

          羅漢が並ぶ細い参道を上がりながら、見えてくる塔を振り仰げば、檜皮の屋根
          の曲線、垂木の直線の並び、その美しさは思わず声をあげるほどです。
          そして坂道を上がれば、均勢のとれた塔の全身も見ることができます。
          昔から、この塔の姿に魅せられ返り道、何度も振り返ったことから「見返りの塔」
          と呼ばれてきたという・・そのことに納得させられます。

          この塩田平と呼ばれた上田周辺。後に紹介する安楽寺の三重塔とともに
          二つの国宝塔があります。国宝三重塔としては、国内最東端に位置するもの
          ですが、いずれも我が国を代表する名塔であることに不思議さえ感じます。
          永年の念願。この地を訪れることができた喜びは大きなものでした。
          門前で見た、この地独特の素朴な石仏の姿も1枚加えておきましょう。