おもしろ住まい学

住まいについて面白そうな話を考える

横穴、竪穴?

2013-11-28 14:44:49 | 日本の住まい

旧石器時代も、大半は岩陰などの横穴式住居だったものが、後期に入るとこの画像のような竪穴式住居へと進化を遂げてきます。そしてこの後の縄文時代の主流な住まいとなっていきます。

岩陰などから比較すると、断熱効果も高く、快適さの度合いでは相当に進んだ住居となっています。

これは生活スタイルとも密接に関係しており、狩猟で移動しながら住処を替えていた生活から、縄文後期に入ると我が国でも稲作が始まり、土地に定住するようになって一層住居も完成度が高くなっていきます。

これは千葉県にある「加曽利貝塚」に復元された竪穴式住居ですが、それまでの地面に竪穴を掘り、周囲を高く盛り上げた上にタル木を円錐状、あるいは向かい合わせに組んだ骨組みの上を草で葺く「伏屋式」から、一部外壁らしきものが立ち上がる「壁立式」と呼ばれるものに進化していきます。

更に農耕が盛んになる弥生時代に入ると、住居は一層快適さを求め、それまで作るのが難しかった木の「板」状の材料が出来るようになり、竪穴の内壁や、一部外壁などに使用されるようになります。

これは紀伊風土記の丘にある復元された竪穴式住居ですが、外観だけなら一昔前の日本の田舎でよく見かけられた、住まいの形の原型と呼べるほど、完成度が高くなっています。

しかし、まだこの頃はこういった「家」は、拠点の地位の高い、首長などの家に限られていました。

さらに農耕が進むにつれ、穀物を湿気や小動物、害虫などから守るため、地面から床を持ち上げた「高床式」穀物庫が登場してきます。

これは九州を代表する弥生時代の集落、「吉野ヶ里遺跡」の復元された高床式家屋群です。

床を地面から持ち上げることによって、快適さに加え、衛生的な生活がもたらされてきました。

 

ところでこうした竪穴式住居は、現代の法律ではどう解釈されるのでしょうか?

初期の形には、建築物の定義とされる壁や柱はありませんが、屋根があります。

法律では室内高さ1.4m以上は床面積に入るので、壁が無くとも屋根の一部を外壁と見なし、建築物とされる可能性が高いと思われます。

また、室内高の1/3以上が地盤面より下にあると「地階」となるので、竪穴式住居は地下住居となる可能性もあります。

その他、採光・換気、及び屋根、外壁の不燃、防火構造の規定、また構造強度規定などにより、現在の建築基準法ではおおよそ建築不可能となることが予想されます。

なので、このような草葺きの「竪穴式住居を作ってくれ」、と言われても、僕には建築確認を取れそうにありません。


             mm

          まさき設計
(画像はネットより)