さてさて、続きですよ。
2006.07.09
市馬・喬太郎 二人のビッグショー in 大阪 vol.2
@トリイホール
お中入りの時点で、開演から1時間半くらいだったでしょうか。いいペースだなあと思いつつも、あと二席で終わりかとおもったらちょと寂しい気もしつつ、後半戦に突入しました。
後半最初は、市馬師の二席目。
「大阪に来て、だんじりのお囃子で高座に上がれるなんてうれしい」と、お囃子の方々(三味線の吉崎律子さんと鳴り物の笑福亭喬若さん)に一言添えられた市馬師。その流れから、「世話役の方からリクエストされたんですよ」とのことで、マクラ代わりにお得意の相撲甚句「鶴と亀」を披露されました。その前の行司さんの物まねと合わせて、のっけから拍手喝采でありました。いつ聴いても、良い調子だなあ。
噺の方は、不思議な夢にまつわる物語りなわけですが、ポイントは、夢の出来事に嫉妬するお花さんでありましょうか。若旦那の話しに打つ相づちが徐々にきつくなっていく様を、「あの」市馬師が演じられると、何だかコワいようなカワイイような(失礼)。でも、そんな風にして、お花さんの嫉妬を軸に展開していく割りには、サゲは別の方向なんですよねぇ。まあ、そうでないと、笑って終われないという話しも。
さていよいよのトリは、喬太郎師の二席目。
市馬師に続いて、喬太郎師もいつもの「まかしょ」とは違うお囃子で高座に上がられると、中入り前の時とは一変、ほとんどマクラなしで、噺に突入されたのでありました。時間の関係とかなのかはわかりませんけれども、結果としてはそれが良かったように思います。
さてこの噺、個人的には演目名は聞いたことがあったものの、噺自体は未聴でありました。そういう古典を、喬太郎師で初めて聴けるのは楽しみでもあり、ある意味もったいなくもあり。というのは、元を知らないと、喬太郎師流の解釈を味わえないからなのでありますが、それはそれとして。
率直な感想を言うと「怖かった」。喬太郎師の演じる、ドスのきいた声で下から見上げるような死神が、少しずつ、少しずつ八五郎を追いつめていく様は、本当に怖い。死神の表情や仕草が、右斜め前のおばちゃんのツボにはまって間の悪い笑いを誘うほどに、それだけを見れば滑稽さも醸し出すキャラクタなのですが、逆にそういう面が垣間見られるからこそ、余計に怖くなったのかなと、思いました。サゲも、どうやら本来とは違う、もう一ひねりあるもののようでしたが、これも死神の余韻が活きるものだったのではないかと。そのうち、他の名人の「死神」も聴いてみよう。オススメがあれば、是非お教えください。
とはいえ、こんな怖い噺でも、ちゃんと笑いを混ぜてくるのが喬太郎師。先の死神のキャラに添えられたダメ要素(「オレ、ホントは今日非番だったのによう」「ボーナス査定に響くんだって」)に加えて、まじないの文句が「アジャラカモクレン スモウジンク ドスコイドスコイ (二拍手)」だって。ちゃんと、前の一席も拾われております。
そんなこんなで、しっかり楽しませていただいた今回の二人会。残念ながら前回よりも少々空席が見えましたけれども、どうぞ継続されますように。まあ、来年も大阪にいるかどうかわかりませんけれども(今はそういうことにしといて!)、それはそれとして。そうそう、今回の会でもう一つ、収穫がありました。入場の時に頂いたこのパンフ、手作りのものでしたけれども、この表紙のイラストが、とっても似てる! 不勉強で恐縮ですが、ちばけいすけさんという方の作だそうですよ。他の噺家さんのものも含めて、こちらでも公開されてるようですので、よろしければ。
ということで、今回もこの辺で、お開きです。
2006.07.09
市馬・喬太郎 二人のビッグショー in 大阪 vol.2
@トリイホール
お中入りの時点で、開演から1時間半くらいだったでしょうか。いいペースだなあと思いつつも、あと二席で終わりかとおもったらちょと寂しい気もしつつ、後半戦に突入しました。
後半最初は、市馬師の二席目。
「大阪に来て、だんじりのお囃子で高座に上がれるなんてうれしい」と、お囃子の方々(三味線の吉崎律子さんと鳴り物の笑福亭喬若さん)に一言添えられた市馬師。その流れから、「世話役の方からリクエストされたんですよ」とのことで、マクラ代わりにお得意の相撲甚句「鶴と亀」を披露されました。その前の行司さんの物まねと合わせて、のっけから拍手喝采でありました。いつ聴いても、良い調子だなあ。
噺の方は、不思議な夢にまつわる物語りなわけですが、ポイントは、夢の出来事に嫉妬するお花さんでありましょうか。若旦那の話しに打つ相づちが徐々にきつくなっていく様を、「あの」市馬師が演じられると、何だかコワいようなカワイイような(失礼)。でも、そんな風にして、お花さんの嫉妬を軸に展開していく割りには、サゲは別の方向なんですよねぇ。まあ、そうでないと、笑って終われないという話しも。
さていよいよのトリは、喬太郎師の二席目。
市馬師に続いて、喬太郎師もいつもの「まかしょ」とは違うお囃子で高座に上がられると、中入り前の時とは一変、ほとんどマクラなしで、噺に突入されたのでありました。時間の関係とかなのかはわかりませんけれども、結果としてはそれが良かったように思います。
さてこの噺、個人的には演目名は聞いたことがあったものの、噺自体は未聴でありました。そういう古典を、喬太郎師で初めて聴けるのは楽しみでもあり、ある意味もったいなくもあり。というのは、元を知らないと、喬太郎師流の解釈を味わえないからなのでありますが、それはそれとして。
率直な感想を言うと「怖かった」。喬太郎師の演じる、ドスのきいた声で下から見上げるような死神が、少しずつ、少しずつ八五郎を追いつめていく様は、本当に怖い。死神の表情や仕草が、右斜め前のおばちゃんのツボにはまって間の悪い笑いを誘うほどに、それだけを見れば滑稽さも醸し出すキャラクタなのですが、逆にそういう面が垣間見られるからこそ、余計に怖くなったのかなと、思いました。サゲも、どうやら本来とは違う、もう一ひねりあるもののようでしたが、これも死神の余韻が活きるものだったのではないかと。そのうち、他の名人の「死神」も聴いてみよう。オススメがあれば、是非お教えください。
とはいえ、こんな怖い噺でも、ちゃんと笑いを混ぜてくるのが喬太郎師。先の死神のキャラに添えられたダメ要素(「オレ、ホントは今日非番だったのによう」「ボーナス査定に響くんだって」)に加えて、まじないの文句が「アジャラカモクレン スモウジンク ドスコイドスコイ (二拍手)」だって。ちゃんと、前の一席も拾われております。
そんなこんなで、しっかり楽しませていただいた今回の二人会。残念ながら前回よりも少々空席が見えましたけれども、どうぞ継続されますように。まあ、来年も大阪にいるかどうかわかりませんけれども(今はそういうことにしといて!)、それはそれとして。そうそう、今回の会でもう一つ、収穫がありました。入場の時に頂いたこのパンフ、手作りのものでしたけれども、この表紙のイラストが、とっても似てる! 不勉強で恐縮ですが、ちばけいすけさんという方の作だそうですよ。他の噺家さんのものも含めて、こちらでも公開されてるようですので、よろしければ。
ということで、今回もこの辺で、お開きです。
この演目見ると市馬もキョンキョンもガチンコですな。これは羨ましい。市馬の「片棒」なんざ目に浮かぶよう。からくり人形の仕草だとかも、さぞ決まってたでしょうなあ…(いやらしいマニア発言)。
「死神」は談志、志の輔、小三治の柳家版がおすすめでやんす。志ん生、円生の名人版もありますが、慣れるまで時間がかかります。
柳家版ですか、なるほど。
とりあえずは手に入れやすい志の輔版からかな。
でも、一通り聴いてみるようにしますね。
できればその後でもう一度、喬太郎版を聴きたいなあ。