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庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

フロントディレーラー/漱石の自転車

2005-01-17 12:55:01 | 自転車
夏目漱石の『自転車日記』の某月某日は「人間万事漱石の自転車で、自分が落ちるかと思うと人を落す事もある、そんなに落胆したものでもないと、今日はズーズーしく構えて、バタシー公園へと急ぐ・・・」と始まる。

自転車はイギリスで神経衰弱になった漱石を、宿の女主人が心配して気分転換に勧めた健康法であったが、この書き出しは、帰国後書いた『草枕』の冒頭とどこか似ている。

彼の自転車修行は散々転唐オたり落車したりで、結局「その苦戦云うばかりなし、しかしてついに物にならざるなり・・この二婆さんの呵責に逢てより以来、余が猜疑心はますます深くなり、余が継子根性は日に日に増長し、ついには明け放しの門戸を閉鎖して我黄色な顔をいよいよ黄色にするのやむをえざるに至れり」と結んでいる。

しかし、『吾輩は猫である』や『坊ちゃん』に見られる軽快な文体は、この『自転車日記』にも充分に現れていて、この時点で彼の病気もたいぶ快方に向かっていたことが伺われる。自転車が健康に良いことは改めて言うまでもないが、漱石も知らぬ間にその効用に浴していたのかもしれない。

ところで、『坊ちゃん』の舞台はここ松山だ。登場人物にキザな英語教師の赤シャツというのがいる。実は私の高校三年の担任がこの赤シャツを見事に現実化したような先生で、やはり英語教師。進路指導などで散々お世話になった恩師ではあるが、ほとんど毎日替えてくるカラーシャツや奇妙な英語なまりの日本語など、何度も密かに笑わせてもらった珍教師のお一人であった。

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『フロント・ディレーラー』

こないだ坂道を走行中に変速しようとして初めてチェーンが外れた。それが原因かどうか分からないが、フロントの3枚変速ギアの一番外側にチェンジができなくなった。昨日は何時間か修理を試みたがどうにもならない。ネットには親切なサイクリストやサイクルショップのサイトがあるので少し調べてみたら、このフロントのギアが「フロント・ディレーラー」と呼ばれていることが分かった。

この世界も随分奥が深そうだ。本格的に「はまっている」方々のサイトを見ていると、走り方の基本から主要部品の選択や設定に至るまで、それぞれに熱いこだわりがある。シンプルなものほど多様で貴重な人の個性が生きてくるのだ。さまざまな耳新しい部品名称も私には新鮮な言葉だ。

インナーとアウターのボルトを調整すればなんとかなると思ったのだが、結局なんともならなかったので、今日は近くのホームセンター「ディック」の自転車コーナーに持って行く。親切な係の青年2名が30分近く調整に苦労してくれて、何とか最高速ギアーが使えるようになった。原因はギアとディレーラーの磨耗だそうだ。丁重にお礼を言う。これが全くの無料サービスなのだ。

このマウンテンバイクはネット通販で14800円で買ったノーブランド(一応Raychellとは書いてある)の折りたたみ式で、基より過大な期待や要望はないが、なるべくこまめに整備しながら乗り続けてやりたいと考えている。しかし、私のようにかなり負荷の大きい使い方では1年耐えるかどうか・・・。