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庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

風の窓

2011-11-01 15:30:00 | 飛行理論
"Wind-Windows (ウィンドウィンドウズ)" ・・・カイト入門書の最初にたいがい出てくる言葉だ。「風の窓」・・・誰が名付けたのか・・・なかなかお洒落な命名だと思う。平面的には半円だが、実際は半球の立体空間を現す。 

動力源がこれほど広い範囲を、さまざまな高度や角度や速度で移動する風読みスメ[ツは他にない。よく教科書に出てくる風の窓は図のような半円だが、カイト翼は空中で回転させることもできる。いわゆるカイトループ。
 windowindows.jpg
揚力は対気速度など幾つかの要素に比例する。コントロールバーを数センチ??数十センチ動かすだけで、カイト翼は数メートル??数十メートル動く。例えば、ライン長を20mとして頭上の安定状態から水平線まで動くと、およそ30m。

これに3秒間かかると秒速10m・時速36km。2秒だと時速50km余りの速度でカイトは空中を動く。静止時の対気速度(風の速度)が秒速5m程度でも、カイトの振り方次第で、この程度の速度は簡単に出せてしまう。

コントロールバーの前後左右数十センチの操作で、このカイトという飛行翼が生み出す力や向きは自在に変化する。なんとも自由な風読み世界だ。

合力あれこれ

2011-10-23 10:48:00 | 飛行理論

 ある一点に複数の力が作用すると合力が生まれる。空の滑空でも海の帆走でもカイトサーフィンの走行でも、この合力の働き方を飲みこんでおくと後の話の消化が良くなる。

次に出てくる合力の話の前に、まずは「進行風」から。「進行風」は「見かけの風」と呼ばれることもあるが、「見かけは立派だが内容は低劣」などという世間の「見かけ」と異なり、カイト翼に実際的に働く風は単なる風向・風速ではなく、この見かけの風・進行風である。内容は図の通り。sinkou.jpg

翼に働く決定的な合力を作り出す2つの力(分力)は、空の場合は“揚力”と※“重力”、カイトサーフィンの場合は“揚力”と“踏ん張り力”。“踏ん張り力”なんて言葉は私しか使わないが、板の「水中側面抵抗」などと言うよりずっと分かり安いだろう・・・と思う。

まず空の話をする。「飛行翼がどうして滑空できるか」が分かれば、“重力”を“踏ん張り力”に置き換えるだけで「カイトサーフィンがどうして走行できるか」も即座に分かるからだ。goryoku.jpg

何にしても避けて通れないのが“揚力”の問題で、少し立ち入れば「揚力係数」だの「大気密度」だの「対気速度」だの「迎角」だの「なんとかの法則」だの、それぞれがそれなりに面白い話がゾロゾロ出てくる。

しかしここでは、図に示すように揚力は進行風と垂直方向に働くということさえ知っておけば充分。この揚力線と重力線を隣り合う辺とする平行四辺形の対角線が合力線になる。

そして、各線分の方向を変え目盛りを打って変数を与えてやれば、合力の“向き”と“強さ”が決まり、この力が存続する限り、翼は滑空を続けカイトサーフィンは走り続けることができるということになる。 

※大空を自由に飛ぶという人類の長年の夢を実現するのに、常に大きな障害となるのが「重力」だ。ところが実は、重力がないと「浮遊」はありえても滑空や通常の飛行はありえない。18世紀フランスのモンゴルフィエは本格的な滑空や飛行の歴史以前に、バルーン(熱気球)による浮遊を成功させている。



どっちに走るか

2011-10-21 10:13:00 | 飛行理論
カイトサーフィンで可能な走行方向のおおよそを図にするとこうなる。ヨットやウィンドと同じものである。
souhou.jpg
クローズドホールドは風上に向かって45度までという理論値があるらしいが、私はよく分からない。確かにディンギーやウィンドでフルダガー(ダガーボードを一杯に下ろして横流れを最小限に止めること)にすると、45度に近い角度まで上ることができる。

しかし、ダガーボード(センターボード)を持たないカイトサーフィンの、しかもツインチップのように小フィンで、板自体を水中に立てること(水中側面抵抗)で横流れを防ぐ方法ではせいぜい30度辺りが限界ではないだろうか。実際、GPSの走行軌跡を分析すると、私が使っているような当たり前のツインチップの場合、15度??20度辺りで上っていることが多い。

面白いのは、カイトサーフィンの用語では、アビームより風上に向かう場合は全て「アップウィンド」、風下に向かう場合は「ダウンウィンド」と呼び、航空分野での使い方と同様であるということだ。

また、揚力(動力)発生源をセール(帆)ではなく、ウィング(翼)と呼び、海陸風(かいりくふう)の海風をサーマルと呼ぶことなどをみても、このスメ[ツが海上のセーリング(帆走)分野からではなく、主にランドカイト(陸上での凧揚げ)分野から派生してきたものであることを伺(うかが)わせるに充分だ。 

19世紀末、現在のハンググライダーに似た滑空翼で2000回以上の飛行データ(揚力と抗力の関係)を積み上げたドイツのリリエンタールの出発点も、それらのデータを礎(もと)にしながら安定した動力飛行を成功させたアメリカのライト兄弟の試みも、カイトの力学的分析から始まっているのである。多くの人が認めるように、カイティング(凧揚げ)は航空の歴史の原点というべきものでもある。


理論のはじめに

2011-10-20 12:12:00 | 飛行理論

いつものように用語(言葉)の意味(定義)から始める。小学館の国語大辞典には、理論とは「ある物事に関して、原理・法則をよりどころとして筋道を立てて考えた認識の体系。また、実践に対応する純粋な論理的知識」とある。分かりやすい定義だ。特に「実践に対応する・・・」は大切だと思う。

私たちが生き行動する現実の世界や自然界は常に具体的なものだが、人間の頭はややもすると具体を離れて抽象に走る。実践を伴わない抽象的理論をいわゆる「空理空論」と呼び、それはそれで楽しい人間的営みかもしれないけれども、私はあまり好まない。

カイトサーフィンの実践(現実)は、水面を風よりも速く滑走し、時に波に乗り、時にジャンプし空中を滑空する。それに対応して板(ボード)や身体を動かすことで、様々な運動形態が生まれる。その多様性は、同じように風の力を利用する帆走スメ[ツや航空スメ[ツと比べて驚くほど豊かなもので、この多様性や自由度の大きさが、このスメ[ツ特有の醍醐味だと言って良いだろう。

さて、「カイトサーフィンはなぜ走るか」について・・・その手の入門書は巷間(こうかん)に数多いだろうし、WEB上にも丁寧なサイトがある。同じようなことをダラダラ書くのも退屈なことなので、まずは、ウィキペディアの該当項目をリンクする。 

ここではカイトサーフィンの概要や変遷、基本構造、流体力学上の揚力などについて詳しく解説してあるが、この著者は相当に謙虚な人と見えて、カイトサーフィンに働く力学はウィンドサーフィンなどでは使える従来の縦帆理論や揚力を中心とする航空理論では充分でないだけでなく当てはまらないことが多いとしている。

この姿勢は正しいと思う。彼はその例として角速度の問題や板の水中側面抵抗を挙げる。更に付け足すと、カイトサーフィンに働く力として無視できないものに、20m以上にも及ぶサスペンションラインの張力があり、一部のラムエア翼のように迎角(むかえかく・アタックアングルとかAoAとも言う。よく使う“ピッチ角”を正しく表現したもの。違いは後ほど説明)の変化が翼の曲率と連動して翼面積(投影面積)が変化するようなものもある。

これら考えられる全ての要素を同時に関係付けながら、カイトサーフィンの走行理論を組み立てることは実際上不可能だろう。ところが、こんなことをまったく知らなくても、着実に練習を重ねていけば、必ず、風よりも速く水上を走り、数メートルを超える高度をジャンプし滑空できるようになる。これが、「身体はやがて全てを理解する」ということである。
 

ピッチ角とは翼弦線と水平線の成す角度。迎角とは翼弦線と進行風の成す角度。翼弦線とはリーディングエッジの先端とトレーリングエッジの先端を結んだ直線。めんどくさい話だが、図で見れば一目で分かるので、近いうちに下手な絵を描いてUPする。↓(ウィキペディアの画像に手を加えた)



カイトサーフィンの理論

2011-10-19 20:09:00 | 飛行理論

今日の堀江は昼から比較的安定した北東風、7m前後、15??でそこそこ走る。最近だいぶ要領がつかめてきたループ系の技を飽きることなく繰り返す。3回転もやってみたが、無事着水した途端に頭がクラクラした。要するに目が回った^^;。これから事務所の回転イスで三半規管を鍛えておこう。

良いタイミングでカトちゃんがやって来た。早速2回目の水上練習。今日の内容も相当に充実していた。私のデカ板で何回か立ち上がって滑走することもできた。本日を彼の走行記念日としよう。

カイトを頭上の安定状態から振り下ろすと、ボード(板)が風向と直角に近い角度で走り始め、そのまま走り続けるのは何故か・・・少し理論的な質問もあった。

実は30年前、私がウィンドサーフィンを始めるに当たり、擦り切れるほど読み込んだ入門書に似たような項目があり、その内容はディンギーやヨットの帆走理論をそのまま踏襲(とうしゅう)したものだった。そして、その部分は何回読んでもまったくピンと来なかった。それでも練習を重ねるに連れて風の力をボードの速度に換える要領は自ずと身に付いていった。全てのスメ[ツで言えることだと思うが、身体はやがて全てを理解する。

しかし、「どうして?」と問うことは人間の特権である。そして、ある現象の原因を理解しておくと、同じ失敗を繰り返すことが少なくなり、同じ成功を得る機会が多くなる。後に空の世界に頭を突っ込むようになって、航空力学や空気力学などのおおよそを習得することで、あれほど理解不能だった海の帆走理論もスッキリと理解できた・・・という経緯もある。

良い機会だから、試みに「カイトサーフィンの理論」みたいなものを、新しいカテゴリーで始めてみようかと思う。幾らかめんどくさい話も出てくるとは思うが、これもゆっくり楽しみながら進めることにしよう。



台風ライド

2011-09-02 21:49:00 | 飛行理論
台風12号がもうそこまで来ていた。朝から雨。M君は早朝から一人で頑張っている。昼前に歯の治療を済ませて、堀江へ直行する。強風域に入るまでにまだ少し間がある。到着したらちょうどF君も出てきた。「風がどうにもならなくなるまでに早いとこ走っておこう」・・・と、1時間ほど。台風・雨風のみが持つ、そう優しくもないコンディションとお付き合いすることにする。

h-1.JPG GPSの数値が30km辺りを超えると、顔に当たる痛い雨粒が目にも飛び込み視界も悪くなる。前にも書いたが、雨中カイトはほとんど苦行僧の世界だ。それでも海に出るのは、やはりこの種のスメ[ツが持つ特殊な魅力のためで、こんな雨天の叩きつけるような風も、晴天時の快い順風も、どこまでも壮大な大自然が現す変化相の一面にほかならない。

ここで少し、空力(空気力学)的な風の力を復習しておこう。かなり味気ない定義によると、風とは「空気の運動」ということだ。いろんな意味で不思議なこの混合気体が持つ性質の全てに触れることはできないので、カイトなどの翼に最も大きく影響する空気(大気)密度について言えば、これは、「大気圧」と「温度」と「湿度」の3要素によって確実に決定する。これは物理法則だから、人の好みに関係せず、いくらか面唐ュさい数式にこれらの変数を代入すると、正確な値として目の前に出てくる。

その空気の中に、時に野の花や磯の匂いや、場合によっては美女の香水や醜男(ぶおとこ)の加齢香などが含まれると、限りなく多様な彩(いろどり)を持つに至るのだが・・・それはともかく、気圧が高く、温度が低く、湿度が低いと重い空気になり、逆に気圧が低く、温度が上がり、湿度が上がると軽い空気になる。これがそのまま、風が生み出す力の大元(おおもと)の要因となる。身近な具体例は以前この辺りでちょっと触れたことがある。 

そして、この風が何かのモノに当たって生まれる作用力は、そのモノの(垂直)面積に比例し、風速に2乗比例する。カイトにも、あらゆるタイプの飛行翼と同様、揚力という大小の力が発生するが、面積比例・風速2乗比例の法則は変わらない。 

だから・・・風の変化を決して甘く見てはいけない。5m/秒の風が10m/秒になれば2倍ではなく4倍の力に変わる。これに単純にカイト面積の変更で対処しようとすれば、例えば16平米を4平米に落としてちょうど良いということになる。 

さいわい、現在のまともなカイトには、トリム(ピッチコントロール)という便利な装置が付いているので、一枚のカイトで相当の適応風域をカバーできるけれども、トリムが働かない失速などの状態で、その変化をまともに受けると、この2乗比例の法則通りの結果が待っている。特にガスティな状況下では2倍程度の風速の変化は日常の範囲だ。多くの初心者(だけではない)が、陸上でカイトの上げ下ろしの際に遭遇する危険性の主な理由やここに有りということだろう。 

2時前になって強風域に入ったらしく、雨は更に激しく、風は優に10mを超えはじめた。またしても、ずぶ濡れにしてしまったカイトを明日の西風で乾かせることを期待しながら、本日これまで。

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堀江 (台風)

2011-07-18 22:41:00 | 飛行理論
堀江には最も適した北東風であるが、今日の風は台風である。さて、これで雨が降ってたらどうしたものか・・・と思案しながら到着すると、およそ予想通りの雲行きで、台風特有のガスティウィンドが吹き込んでいた。 

12㎡で少しは走ったものの不安定なオーバーブローでは何もできそうもないので、10㎡に代えて出てはみたが、ちょっと気を抜くと軽く吹っ飛ばされる。そのうち雨も降り出し、これではどうにもならんな・・・ということで、本日おしまい。 

強風下でのガスティ・コンディションでは、大体こういうことになる。共通点も多いウィンドとカイトの大きな相違点いを感じるときでもある。ウィンドサーフィンにとっては、台風は僥倖(ぎょうこう)の一種だった。まあ20年以上前のセールや板は、現在のそれよりも軽快にできていたということもあるのだろうが、秒速15mを超える風でも、大喜びで風の続く限り走り続けていたのを思い出す。カイトの世界では、よほど適した環境がない限り、まず不可能だろう。 

それは何故か・・・。まずは、風が作用する“絶対面積”の違い。次に、風の力(揚力)が発生する空間的位置と作用が及ぶ地点の違い。次に作用点の数の違い。 

たとえば、風速7~8mの環境下、ウィンドなら6㎡程度だが、カイトは12㎡前後・・・と、およそ2倍のサイズを使う。インフレータブルなら、その空力特性はウィンドのセールと似たようなものだ。それを、ハーネスの一点を中心とする半径20m程度の円運動による、動きの自由度の高さという利点によって、コントロール可能なものにしているわけだ。もし、これが、ウィンドのようにもっと体の近くにあって、板であれ身体であれ、一点に固定されてたら、とんでもないことになるだろう・・・というよりも、たぶん何もできずに吹き飛ばされるだけだ^^; 

この利点が、不安定な風の中では、逆に欠点として作用する。20mも離れた場所で働いている、強大なパワーが人間に伝わるまでの広い空間で何が起こっているか・・・という問題。空の世界の話だが、私は、たった10mほどの高度に存在した、目にはまず見えない“ウィンド・シア”によって、ランディング・アプローチを誤り、河原に激突して生死の境をさまよった、ハンググライダー上級者の友人を、目の前で見ている。 

それに、ウィンドのセールは板には固定されているが、基本的に人間には固定されず、セールを支えるブームに付いたハーネスラインから、いつでも簡単に自由になることができる。ところが、カイトはそうはいかない。人間とカイトは非常に親密にくっ付いていて、リーシュという安全装置でも開放しない限り、カイトが吹っ飛ぶということは、だいたい人間も吹っ飛ぶということを意味する。
 
風の心は、それを読むのに、女心より難しいことなのかもしれない。

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理論と実践

2010-12-18 10:14:00 | 飛行理論
ここのところ寒いものだから根の生えたコタツでウトウトしながら、少々理屈っぽいことを書いてきました。まあよくいう「理論と実践」の理論的な部分みたいなものです。 

ヨットやウィンドサーフィンには帆走理論というものがあり、空の世界では飛行理論とか航空力学というものがある。しかし、空のイントラの私が言うのも多少気が引けるのですが、恐らくどんな活動やスメ[ツでも、どんなに深遠な理論を重ねても、それで技能が上達するということはまずありません。 

ある技術・技能の習得に大切なのはあくまでも実践・練習であって、下手をすると机上の理論や情報過多は上達のブレーキになる場合さえあります。

それはどうしてかを一言で言うと、「人間の感覚器官は思考回路よりはるかに敏感・緻密かつ迅速に働く」からです。しかも感覚器官の総体=体で覚えたものは簡単に忘れることがない。これは私も15年ぶりにウィンドに復帰した時に明確に感じたことです。 

では、理論の効用はどこにあるのか・・・一つはつまらない失敗をしないため、一つはさまざまな失敗の原因を知るため。 

私は、人生万般、人間は失敗を重ねることによって成長する生き物だと考えていますから、風読みスメ[ツも同じような見方をします。そして、人は同じような失敗を繰り返しがちだということもある程度知っています。 

ただ、きわめてリスキーな活動・スメ[ツによっては、その本来許されるべき失敗に2度目がない時があって、そのような場合は、体を使うの同じくらい懸命に頭や理論を使わないといけません。

大気密度

2010-12-17 15:09:00 | 飛行理論

今回は大気密度について書くつもりでしたが、少し思うに、大気密度を決定する「大気圧」・「温度」・「湿度」のうち、主に高度にともなって大きく変化する大気圧は、ほとんど地上付近で活動する風読みスメ[ツでは無視してもまず問題が起こらない。(頭痛・神経痛・関節痛など持病持ちの人には時に深刻でしょう)

カイトやウィンドで日常的に感じられる風の軽重は、温度や湿度の変化がベースにあって、さらに空気の上下動や拡散・収束・・・など、実にさまざまな要素が組み合わさって生まれるものであるということ。そして、温度も湿度も、上がれば上がるほど空気は軽くなるということを知っておけば、四季の風質(かぜしつ)の違いにも更に敏感になるかもしれません。

常識的感覚では、湿度が上がって水蒸気量が増えれば、空気はそのぶん重くなるはずだろう・・・と意外に思われるかもしれませんが、この説明を始めるともっとめんどくさい話になるのでこのあたりで止めときます^^;。kouzou.png

めんどくさい話のついでに、空気大気の違いは、大気の下層部分を空気と呼ぶのだそうです。日本付近の緯度で高度10km(極地と赤道下では倍近い開きがある)あたりまででしょうか。もっとついでに、この高度1万メートルまでの大気の層は対流圏とも呼ばれ、地球の自転や太陽熱の働きで、ほとんど全ての気象現象の舞台になる空間です。

特殊な軍用機やバルーンを除いて、旅客機なども大体この辺りを巡航しているのは、それ以上になると翼の揚力やエンジンの推力が極端に落ちるからですが、1万メートルといえば、たったの10km・・・半径6000kmの地球全体をリンゴに例えるとその薄皮にも満たない、きわめて儚(はかな)い膜のようなものです。時速40kmの車を縦に走らせるとたった15分で到着してしまうのですから。

このようにイメージすると、私たちの生命活動がどれだけ微妙で貴重な空間で営まれているか・・・ということを少しは実感することができるのではないでしょうか。





空気の運動 2

2010-12-14 10:26:00 | 飛行理論
昨夜の記事を今朝読み直したら、そう変なことも書いてなかったようなので、空気の話をもう少し続けます。 

空気の重さに続いて、通常の感覚でなかなかピンとこないのは、その中に含まれる水蒸気の量です。水は固体、液体、気体と、たった100℃の範囲内で物質の三態を演じるという、これもまた極めて特殊な存在なのですが、分子式H2Oが気体で存在する時、これを水蒸気と呼びます。 

水蒸気は窒素や酸素などの分子の隙間(すきま)に散在するので、その隙間が広いほど多く居候(いそうろう)できるわけで、温度が上がることによって分子活動が盛んになるほど多く存在できるようになり、その最大量も決まります。いわゆる飽和水蒸気量とよばれるものです。 

今の室温12℃でちょっと計算してみると、飽和水蒸気量は1立方メートルあたり10,68g、もうちょっと暑くして23℃だと 20.59g・・・約2倍。これをまた私の6畳間(湿度50%)に当てはめると 10.68×0.5×37.5=2002.5 となり、2kgつまり2リットル入りのペットボトルで一本分の水蒸気の中で、私はコタツに足を突っ込んでいる・・・ということになります。 

ちなみに、今となれば有難かった暑い夏の日は34℃まで上がりましたから、湿度80%として 37.59g(飽和水蒸気量)×0.8で約6リットル、ペットボトル3本分であります。茹(う)だるような暑さ・・・たしかに6リットルのお湯で茹(ゆ)で上がるような感じでした。 

まあ、こんな鰍ッ算だけでも、基本文系の私にはなんだかめんどくさい話ではあるのですが、なんでこんなことをするようになったかというと・・・空気についてのもろもろの性質は、言うまでもなく空を飛ぶのに欠かせない基本要素だったからです。

これら空気の重さ(大気圧)と温度と湿度は、大気密度を決定する3要素で、この大気密度はあらゆる飛行翼や動力部に直接影響して、さまざまな飛行形態を決定し、時には人の生死を決定する場合もあるということを知らざる得ないことになったからです。しかしまあ、それは海の風読み世界でも似たようなものでしょう。

風の表情や性質について少し書こうと思ったら、やっぱり空気の話になってしまいました。どっちにしても、L・ワトソン先生も言うとおり、「風を言葉の檻(おり)に飼うことあたわず」なのでしょうが、次回はついでに大気密度について、またいい加減な思い付きを書くことになるでしょう^^;