R-5の次のロケット、R-7は外観を一変させた。
第1段ロケットには、中心のエンジン(RD-108)とそれを取り囲むように4基のエンジン(RD-107)が配置される。
その上の第2段ロケットには、1基のエンジン(RD-109)が設置された。
誘導制御のメインは慣性誘導だが、エンジンの推力を地上から無線で制御できるよう、小型ロケット(バーニアロケット)がエンジンに取り付けられた。
この方法により、地上からロケットの軌道修正が可能になった。
ロケット名 ペイロード(t)射程距離(Km) エンジン推力(t)開発年
R-5 、 2 、 1,200 、 44 、 1953
R-7 、 5、、 9,000 、 490 、 1957
1957年5月、ワシリエフはデータ収集のため、R-7の試射実験に立ち会うことになった。
行く先も告げられず、スタッフと一緒にモスクワから飛行機に乗り込む。
数時間後、降り立ったのは、カザフスタン共和国のアラル海近くだった。
そこから車で数時間揺られ、実験場に着く。
あたりは荒涼とした赤茶けた大地が、地平線のかなたまで拡がっている。
組立の建屋では多くの技術者や作業員達が、組立、点検、調整を行っていた。
ワシリエフは弾頭部下に誘導装置と送信機をセットする。
弾頭には模擬水素爆弾が取り付けられていた。
2週間後の早朝、R-7は発射台にセットされた。
ロケットは全長34メートル、白見かけた空を背景にくっきりとそびえ立っていた。
燃料搭載が始まる。
燃料はケロシンと液体酸素だ。
液体酸素はマイナス118度以下に冷やされている。
ロケット周りに、凝縮した水蒸気の雲が立ちこめる。
ワシリエフは司令壕の中で、受信機の調整をする。
カウントダウンが始まった。
「発射!」
すさまじい火炎の噴流が目を射る。
同時に轟音が襲いかかってきた。
参考図:「スプートニク」、ジョアン・フオンクベルタ、筑摩書房、1999
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