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第4話(1)

 革命の足音(1)

 父が死に、ラヴォアジエは巨額の遺産と貴族の肩書きを相続した。
そして、王国の官僚としても出世の階段を登り始める。

 徴税請負人での実績がかわれ、王立火薬管理所の監督官に任命されたのである。
ラヴォアジエは兵器廠内に居を構え、その敷地内に大きな化学実験室をたてた。

 「さあ、ここで最高水準の実験器具をそろえ、若い逸材を集め、化学(ばけがく)を科学にするぞ!」

 ラヴォアジエの名は広く知られており、各国から若い研究者が集まってきた。
ラヴォアジエはいろいろな化学変化を、自分のやり方でやり直し、その定量化を精力的に進めた。

 そんな中で、助手のカミーユは居心地の悪さを感じていた。
新しい機器が入り、大学を出た研究者が入ってきたため、自分の仕事が単なる“お手伝い”に
なっているのだった。

 若い研究者、ベルナールが話しかけてくる。
「カミーユ、君は硝酸、硫酸、塩酸で、どれが一番金属を溶かす力が強いか、知っているかい?」
「いいえ、知りません。」
「おやおや、君はラヴォアジエ先生の論文を読んでいないんだねえ。」

 いかにも上から目線だ。
カミーユの身体が熱くなる。
“頭でっかちの若造め、気体の質量を、お前なんかに計れるものか。”

 カミーユの父のガラス工房も、パリ郊外にガラス製造工場ができたため、注文が減り、開店休業の状態だ。
一家5人の生活を、カミーユが支えている。

 この頃パリでは、パンなどの食料品の値上がりが激しい。
父のような手工業者の失業も増えた。
市民の不平、不満が高まりつつあった。

 参考図:「朝日百科 世界の歴史(18世紀)」、朝日新聞社、1991
     
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