第2次世界大戦で甚大な被害を受けたソ連は、経済の建て直しが最優先課題だったが、国際情勢がそれを許さなかった。
ソ連を盟主とする東ヨーロッパや中国・北朝鮮で誕生した社会主義諸国と、戦争で力をつけたアメリカを盟主とする資本主義諸国との対立が始まった。
このため、ソ連は民政より軍事に力を入れ、核兵器、ミサイル、宇宙開発を最優先分野とする。
ソ連は1946年、カリーニングラードにNII-88(科学研究所88)を設立し、ミサイル開発を本格的にスタートさせた。
研究所はミサイル設計部門と各専門分野部門―材料、航空力学、エンジン、燃料、制御、通信―とで構成される。
また、実験工場を持つ。
コロリョフはミサイル設計部門の主任設計技師となる。
V-2ロケット復元作業を終えたワシリエフは制御部門に配属された。
ミサイル開発を統括するコロリョフの話からは、並々ならぬ熱意が伝わってきた。
「我が祖国は建国以来、常に侵略の脅威にさらされてきた。」
「今、アメリカは核の脅しにより、我が国を封じ込めようとしている。」
「これを跳ね返すためには、原爆の開発と大型ミサイルの開発が是非とも必要だ。」
「諸君らは全身全霊を持って、ミサイル開発に当たってもらいたい。」
「将来的には、大型ミサイルを使った宇宙開発に駒を進めたい。」
ワシリエフらは自分たちが時代の先頭を走っているような、高揚感に包まれた。
参考図:東西冷戦-Wikipedia
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