早川主任研究員の話。
「80年代、液晶を使ったカラーテレビの開発がスタートした。」
「シャープでは商品開発、液晶パネルなどのデバイス開発、製造部門が社内ですり合わせをしながら一体となり、開発を進めている。」
「この垂直統合型ビジネスモデルにより、先端技術を自社内に閉じ込められる。」
そして1988年には、14型TFTカラー液晶ディスプレイの試作に成功した。
その後、改良を重ね、2001年、液晶カラーテレビ“AQUOS(アクオス)”を開発、販売を始める。
翌年には、県や国の補助金を得て、三重県に亀山工場が竣工される。
この、東京ドーム7倍もある工場では、液晶パネルから液晶モジュール、テレビまでを一貫生産できた。
この工場で生産された“AQUOS”は、その高画質で人気を呼び、空前のヒット商品となった。
不破が入社したのは、そのようなシャープ絶頂期だった。
しかし、危機は早くも忍び寄っていた。
液晶ディスプレイ生産で、技術力を高めた韓国や台湾のメーカーが猛烈に追い上げてきたのだ。
しかし、シャープ首脳陣は楽観視していた。
“良いものを作れば、必ず売れる”という技術信仰があった。
そして、自社内ですべてまかなう、垂直統合モデルを堅持して、液晶ディスプレイの大画面化、高品質化を推し進めた。
参考図:「シャープ 液晶敗戦の教訓」、中田行彦、実務教育出版、2015
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