バカに厳しいバカばかり

自戒の念も込めてそういうタイトルにしました。

「JR脱線事故で同居相手亡くした女性自殺」で身につまされること

2006年10月16日 17時08分32秒 | ニュースで二言三言
宝塚線事故で同居男性亡くした女性が自殺 大阪(朝日新聞) - goo ニュース

JR宝塚線の脱線事故で、10年余り連れ添った男性(当時33)を亡くした大阪市東淀川区の女性(32)が15日、自宅マンションから飛び降り自殺をしていたことがわかった。大阪府警東淀川署によると、女性は事故後、家族に「(男性が亡くなり)希望がなくなった。死にたい」などと漏らしており、自室には遺書があったという。

 調べでは、女性は15日午前5時10分ごろ、東淀川区の自宅マンション前の駐車場で倒れているところを、近くに住む母親に発見された。母親はその約2時間前、女性から「緊急で来て」というメールを受け取り駆け付けたが、女性が自室にいなかったため付近を捜していたという。

 JR事故遺族らによると、女性は19歳の時からこのマンションで男性と2人で暮らしていたが、結婚はしていなかったため、「家族同然の関係だったのに、法的根拠がないばかりに、JR西日本から遺族として接してもらえない」と話していた。ストレスから体に発疹ができたり、心療内科に通院したりするなどして働けないことも悩んでいたという。

 女性は、ほかの遺族とともに事故当時の被害者の乗車位置を知るための活動に参加。救助者らに証言を求めた会見で、「主人がどんな思いだったのか手がかりになることを少しでも知りたい」と訴えていた。

 この日あった「4・25ネットワーク」の例会終了後、世話人の浅野弥三一さん(64)は「108人目の犠牲者が出てしまい残念だ。JRには心のケアなど、より細かな対応を求めたい」と話した。

2006年10月16日(月)01:17



事故で犠牲になったという、相手の男性の名前で検索を掛けてみると、当時のニュースが、思いのほか出てきて、当時の光景の生々しさと、人生狂わされた人の範囲の広さを改めて思わされた。


息子失った父「代わってやりたい」【スポーツニッポン】
「いつも帰っている時間なのにまだなんです」。製造工場で夜勤をする会社員の芦原直樹さん(33)と婚約している同居の女性から、芦原さんの上司(48)に電話が入った。上司が体育館で見たものは、死亡者リストに載っている部下の名前だった。

悲しみは日々に深く 尼崎JR脱線きょう1カ月【神戸新聞】
精密機器メーカー社員で、夜勤明けの帰宅途中だった芦原直樹さん(33)=大阪府堺市=の母康子さん(63)は、笑顔の遺影をぼんやり眺めている自分にふと気付く。(中略)
 事故前日は康子さんの誕生日だった。十年ほど前に一人暮らしを始めた直樹さんは、誕生日に必ず電話をかけてきた。「からだ、気いつけや。近いうちに行くから」。あの日の明るい声が耳から離れない。(中略)
 「これから、だんだん悲しくなるでしょうね」。息子には彼女もいた。未来があった。名前を口にするたび、涙がこぼれる。



事故から1年半たって死を選ぶということは、たぶんそれまでの1年半も、ひたすら死にたいような気持ちで生きて来られたということであり、そういう意味では同情申し上げるほかないニュースではある。


JR西日本の土屋隆一郎福知山線列車事故被害者対応本部長の話【スポーツ報知】
「事故直後からこれまで、さまざまなお話をさせていただき精いっぱいの対応をさせていただいた方なので、突然の訃報(ふほう)に驚いている。謹んでお悔やみを申し上げる」


「精いっぱいの対応をさせていただいた」という、その「精いっぱい」の基準を、そもそも自分たちで規定しているという意味では、「精いっぱい」とか、あと「出来る限り」という言葉も便利な日本語である。その「精いっぱい」の結果として、


尼崎脱線で“108人目”犠牲者【中日新聞】
部屋の机に、母親や兄らにあてて書いた遺書と、メモ書きが置いてあった。メモは「なおちゃんに会いたい なおちゃんを返して」「私のすべてを返して なんでこんな思いしなあかんの もうたえられない」、遺書は「JRが憎い」などといずれも黒いボールペンで書かれていた。

「JR憎い」…脱線事故犠牲者の同居女性が自殺【読売新聞】
メモには「無念を訴えてください」との記述もあり、母親は「娘は実名でその思いを伝えることを望んでいると思う」と話した。


ということになってはいるわけだが。

ただ、今さらながら身につまされるのが、この「正式に婚姻関係がないため、JR西日本から遺族として接してもらえなかった」という話。確かにかくいう私も、弱小企業ながら、一応総務とか人事とかを任されている立場ではあって、彼女や彼氏と長期にわたり同居している未婚の若手って、最近すごく多そうなのである。「多そう」って、要はまず実態把握も完全には出来ていないという。

で、そういう情勢も見据え、例えば同居相手に払う払わないは別として、退職金や慶弔金の規定一つでも、ちゃんと色んなケースを想定できているかと言うと心許ない部分が多い。例えば万が一、会社が丸焼けになって死者が一杯出て、社員の遺族と、内縁の配偶者名乗る人物と、同時に相対さなければいけない状況に至ったとして、果たして誠実に対応できるのか俺。

「10人いれば10通りの人生」であり、人数が多くなればなるほど、対応が杓子定規と批判される確率と比例して、杓子定規にしか対応できないケースが増えていくのかも知れない。その果てに「精いっぱいの対応をさせていただいた」相手から「無念を訴えてください」と、私もメモ残されたりするのかも知れない。そう思うと、ことJR西日本の対処がどれだけ酷いのかは別にして、明日は我が身、まずは規定類の再確認と、防火設備のチェックあたりから始めるしかないと思う、以上、すこぶる無策な弱小企業役員の戯れ言でした。


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