かなぶち鍼灸調体堂の「先ずは只管打歩」なほぼ毎日譚

基盤を追求すると、ついに「歩く」迄遡ってきました。

胃腸を鍛える(持久力系競技の場合)

2021年05月26日 | run

【今日のラン稽古】

1時間41分49秒/16.43km

心拍数&消費エナジー:心拍センサーからデータをダウンロード出来なかったので、割愛。

久しぶりに大阪城公園の石段登りに勤しみました。股関節に良い刺激を与えられた気がします。

 

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標記の件、Training Peaksからの引用です。

(グルコース 60 g/hr + 果糖 30 g/hr)という補給食を自分で作製するのはほぼ困難ですが、それを頭に入れてジェルetc. を選択するのは一手です。

 

胃腸を鍛える

by Philip Mosley on Training Peaks

(引用元:https://www.trainingpeaks.com/blog/training-your-gut-for-endurance/

 

 より多く食べて、レースでより速く走る。これは正しい。胃腸を鍛えてより多くのエネルギーを消化→吸収出来るようになれば、持久力系競技での運動能力を向上させられ得る。以下に、知っておきたいことを述べる。

 

 より高い運動能力の発揮を阻害する要因は何だろうか?。トレーニングの内容(≒質&量)が有効でないかも知れないし、今のプログラムに筋力トレーニングを追加する必要があるのかも知れない。そう考えるのも良いが、しばしば見落とされがちなのが、胃腸の能力である。

 

 多くのアスリートにとっては、レース本番でより多くのエネルギーを消化→吸収→消費出来るようになれれば、レース中に必要となるエネルギーが枯渇することが無く、結果としてより良い状態でフィニッシュラインを越えられるようになる。逆の例を見てみよう。Alistair & Jonathan Brownlee兄弟は、五輪で二人合わせて金メダル×2+銀メダル×+銅メダル×1を獲得する、トライアスロン界で著名な選手である。そんな彼らでも、2016年にメキシコで開催されたトライアスロン・ワールドシリーズ戦でとんでもない大失敗をやらかしたのだ。暑さ&レースの強度の高さにやられたJonathan(弟)がエネルギー切れに陥り、やる気が低下すると共に脚が動かなくなってしまった。そんな弟を尻目に、Alistair(兄)が弟を抜いて先にゴールした。

 

 この故事から学ぶべきことは、胃腸がより多くのエネルギーを消化→吸収→消費出来るように鍛えておかなければ、胃腸で発生するトラブルが故にレースが台無しになりかねない、ということである。以下に知っておくべきことを記載する。

 

運動時に身体がエネルギー源を消化→吸収→消費するメカニズム

 

 低〜中強度の運動が定常状態で続く場合、必要となるエネルギーの大半は、有酸素系と称される代謝経路で脂肪を分解することで得られる。脂肪1gを分解して得られるエネルギー量は約7.8 kcalなので、体脂肪率が8%の自転車競技選手では必要なエネルギーは体脂肪を分解することによってのみ獲得することも可能である。

 

 しかし、運動強度が高くなると事情は一変する。そのような場合、筋肉への酸素供給には上限があることから、有酸素系を介して脂肪(及び分子量の多い炭水化物)を分解することによっては筋肉が必要とするエネルギーは獲得出来なくなる。運動強度が高くなる場合、筋肉が必要とするエネルギーは、解糖系と称される代謝経路を介して炭水化物を分解することで供給される。ここで問題となるのは、解糖系で分解して得られる炭水化物=グリコーゲンは体内に約300〜500gしか貯蔵されていないことである。グリコーゲン1gを分解して得られるエネルギー量は4 kcalなので、解糖系を介して利用され得るエネルギー量は約300〜500 g×4 kcal/g=約1,200〜2,000 kcalとなる。レースの距離/時間が長くなれば、それらは枯渇する可能性が高くなる。

 

胃腸を鍛える

 

 エネルギー代謝に関する上述の内容を踏まえると、持久力系競技のアスリートはレース中に何らかの形(飲料/ジェル/エナジーバー等の固形物etc.)でエネルギーを摂取する必要がある。ならば、胃腸を鍛えることが有効となり得る。「アスリートの胃腸:消化/栄養/胃痛の科学(原題 ”The Athlete’s Gut :The Inside Science of Digestion, Nutrition and Stomach Distress”)の著者であるPatrick Wilson氏は、「一般的にアスリートは運動中、1時間当り60gのグルコースを消化→吸収→消費することが可能である」と語る。 そして、「ただ、上述の話は一般論なので、40〜50ghrのグルコース摂取で胃腸に何らかの問題が発生するアスリートもいれば、90ghrの(グルコース+果糖)複合体を消化→吸収→消費することが出来るアスリートもいる」とも語る。

 

 ここでWilson氏は2つの有益な考えを提示している。それは、

:(グルコース+果糖)複合体を摂る

:胃腸を鍛える

というものである。

 

 ①は比較的広く知られた考えである。果糖とグルコースは小腸から吸収されるチャンネルが異なるので、グルコースと果糖を組み合わせることで、炭水化物の摂取上限量がグルコースのみの60g/hrから(グルコース+果糖)だと90g/hr迄増やせられる、というものである。

 

 しかし①はあくまでも理論上の話である。実際には、グルコースを60g/hr摂取するのに慣れているアスリートが、それに果糖を30g/hr加えたら90 g/hrを胃腸に問題を発生させずに摂取出来るようになるというのは稀である。そこで②という考えが生じる。Wilson氏によると、「普段のトレーニング時から炭水化物を60〜90 g/hr摂取するのを習慣化することにより、積極的に食物を摂取することに対する耐性が向上するという研究結果もある」とのことである。それに続けて、「そのような耐性の向上の理由は、胃に於ける消化能力の向上にも因るし、小腸に於ける糖分子の吸収能力の向上にも因る」と語る。

 

胃腸のトレーニングにはどれくらいの時間を要するのか?

 

 「最も重要な問題は、そのように『胃腸を鍛える』のはどれくらいの頻度で行うべきなのか?、である」とWilson氏は続ける。「ある研究では2週間の内で10日間の胃腸トレーニングを行っていたが、多くのアスリートにとってこれは非現実的だと私は考える。私が推奨する方法は、1〜2週間に1段階の割合で炭水化物摂取量を徐々に増やす、というものである。最初はロング走等の際に炭水化物を30g/hr摂取するところから始め、週毎に10g/hrづつ増やしてみる(限界に達する迄)のも一例である」と語った。

 

 Wilson氏によると、炭水化物摂取量の増加に対する胃腸の適応は、極めて速く(数日〜1週間程度)発生するものであり、年間を通じて継続して胃腸をトレーニングする必要は無いとのことである。そしてその点を踏まえると、胃腸のトレーニングは、他のトレーニングと同様に”期分け(periodize)”するのも一考である。具体的には、目標とするレースetc.が近付くのに合わせて取り組むのが良い、ということである。

 

 胃腸のトレーニングに於いて、炭水化物を90g/hr摂取出来るようになるというのはあくまでも目安であり、場合によってはそれを超えて続けるのもあり得る。アメリカスポーツ医学会の調査によると、炭水化物を120g/hr摂取出来るアスリートも稀ではない。この点についてWilson氏は、「そこ迄増やす必要性は無い」と指摘する。

 

 また、実験室レベルの研究結果を現実世界に適用するのは”眉唾もの”でもある。ある調査によると、IRONMANの記録保持者であるMarino Vanhoenackerは、実験室レベルでは炭水化物を120g/hr摂取可能であったが、その結果をそのまま実際のレース(IRONMAN Hawaii)に適用したら、消化器系に重大な問題が生じたとのことである。その調査では、原因は暑さに因るとしていた。なおその後Vanhoenackerは、レース時の炭水化物摂取量を100g/hr以下に調整して胃の不調を回避したとのことである。

 

 

 

 

 

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