Kiwi - diary

life mostly in Saitama and Tokyo.

サブプライム後に何が起きているのか 春山昇華

2008-10-03 | 
2008年4月発行の、まだ新しい本だったので、理解を深めるのにちょうどよいと思って読んだ。「サブプライム問題」は、上がり続けると期待されていた住宅の値下がりにより、ローン返済不能に陥った人が大量に生じたこと、が基本的な原因だと思っていた。英語ができない移民や、低所得者層にまで、安易に貸し付けを広げたのが悪かった、と。実は、それが、貸し手と借り手の間だけのやりとりであったなら、大手金融機関が潰れるという事態にまでは広がらなかった。そのサブプライムローンを、「証券化」し、劣悪な債権に対して保険をかけてトリプルAの格付けを獲得することにより、幅広い投資家にばらまいた。その過程で収益を上げていた金融機関が、証券の信用がなくなった瞬間、資金の循環がうまくいかなくなり、莫大な損失をかかえることになった。より高い収益性を確保するために、借金をして、レバレッジをかけていたことも損失を広げる原因だった。
本のタイトルは「サブプライム後」だが、サブプライム問題をわかりやすく解決し、そこで登場したアジアや中東の国富ファンドの狙いも説明する。最後に、アメリカの覇権が続くのか、という議論と、中途半端に豊かな日本が今後どう進むのか、という点にも触れていて、興味深い。