◎使用中のスピーカー(システム)の概要
スピーカーボックス型式とスピーカーユニットの説明
①ALTEC 620B 大型バスレフ箱
大口径ウーファー+小型ホーン付強力ドライバーの同軸2ウェイ型
②Westlake Audio Lc.265.1v 中型トールボーイ型バスレフ箱
小口径ダブルウーファー、小口径ミッドレンジ+超小型ホーンツィターの同軸 3ウェイ型
③音工房Z製 Z800-FW168HR 中型ブックシェルフバスレフ箱
中口径ウーファー、中型ハードドーム型ツィター 2ウェイ型
④KEF LS50 小型ブックシェルフバスレフ箱
小口径ウーファー+小型ホーンツィターの同軸2ウェイ型
⑤MAGNEPLANER LOUDSPEAKER model MG1.7
オールリボン3ウエイ 平面スピーカー
◎スピーカー(システム)の歴史
○1950年代 電蓄の誕生 LPレコード誕生 ラジオの普及 真空管アンプ トーキー時代(劇場用大型スピーカー) 小型スピーカーが中心
○1960年代 ステレオLPレコードの誕生 半導体アンプ誕生 家庭用三点式オーディオ装置の普及 TVの普及 中型スピーカーが中心
○1970年代 小出力の真空管アンプから大出力の半導体アンプへ移行進む
オーディオブーム始まる
普及品の498製品からマークレビンソンの象徴される超高級品まで多様化 スピーカーは小型から大型まで多様化進む
・・・・・・・・ スピーカーシステム新旧分岐点 ・・・・・・・・・・・・
JBLプロフェショナルシリーズ トールボーイスピーカー発売
○1980年代 CD誕生 LPレコード+CD オーディオブーム最盛期
○1990年代 CD全盛期 コンパクトオーディオが中心に
○2000年代 携帯オーディオ始まる LINN CD部門撤退 オーディオブーム衰退期
○2010年代 音楽は一人で楽しむ時代 高級デジタルオーディオプレイヤー、高級イヤホーン アナログ復権の芽
○2020年代 温故知新?
◎旧世代スピーカーと現代スピーカーの設計思想の相違
○旧世代スピーカー
小出力(数ワット)真空管式アンプで駆動することが前提なので、高能率であることが要求された。
大きめのスピーカーボックス。
ウーファーは大口径の軽量コーン、ツィターは軽量コーン紙、ホーン型が多い
分割振動域を容認。JBL D-130のように大口径軽量コーン紙のセンターキャップにアルミを貼り、分割振動で高域を伸ばすものまであった。
周波数特性:超低音域、超高音域は伸びていない。帯域は中音を重視
外形寸法 家庭用:中型〜大型 業務用・超高級品:超大型
○現代設計スピーカー
大出力(100W)半導体アンプ時代。広帯域志向強まる。能率は下がった。
小口径スピーカーユニット、コンパクトなスピーカーボックス
能率は低いが高域が伸びたハードドームツィター、リボンツィターの登場。
バランス上、低域を伸ばす必要が生じ、ウーファーはf0(共振周波数)を下げるため、振動板の重量を増し、剛性を上げ、分割振動を抑え、ウーファーは小口径が増え、能率は下がった。能率を稼ぐため、ダブルウーファーが増えた。トールボーイスピーカーの誕生。小口径ウーファーと広帯域ツィターの2ウェイが主流。
所有スピーカーを区分すれば、ALTEC 620Bが旧世代型、他の3機種は現代設計型。
現代設計スピーカーはコンパクトでありながら周波数特性を広げている。スピーカーユニットの小型化は能率を下げることになった。
○所有スピーカーの能率(db/w・m) 能率を上げる努力点
ALTEC 620A 能率103db 軽い大口径ウーファーのホーンツィターの組み合わ
Westlake Audio Lc.265.1v 能率91db 小口径ウーファーをダブルで使用。理屈では能率は3db高くなる。
音工房Z製 Z800-FW168HR 能率88db 強力な磁気回路 広帯域ツィター
KEF LS50 能率85db 小型箱に小口径同軸2ウェイを積み込んでいる。能率を高める工夫は見られない。
○dbと音量の関係
レベルの増加量 [10×log10 (n)]
音量 n 2 3 5 10 100 1000
(dB) 3 5 7 10 20 30
スピーカーの能率の差10dbは音量10倍の差として現れる。
同じアンプに繋ぎ同じボリューム位置で、 LS50の音量を1とすると、Z800-FW168HRは2倍、Lc.265.1vは約4倍、620Aは約70倍の音量が出ます。
○旧世代設計ALTEC A7(能率104db)を狭い部屋(6畳)で聴くのはあり?
大型なのでスペースを取る。
スピーカーユニットのウーファーとホーンの位置が離れており、試聴距離が短いので、音像が大きくなる。
「常識的には不可」です。
このため、ALTEC A5のウーファー部にALTEC A7のドライバー部を組み込んだ同軸2ウェイ複合スピーカーユニット「604-8H」を組み込んだALTEC 620Bを選びました。
「604同軸シリーズ」を入れた612C(通称銀箱)はスタジオモニターとして採用された実績があります。その意味でも、ALTEC 620Bはクラシックも聴ける万能型です。
ALTEC A7は独特の解放感があります。ハマった時の快感は格別です。
何処まで突き詰めてもオーディオは仮想現実の世界。それも「あり」と考えます。
ヘッドフォン・イヤフォンの脳内定位とはまた別の異世界が広がる。
コンサートライブやナイトクラブなどでの爆音は100-110 dB です。
音楽のフォルテッシモ時、低能率小型スピーカーは頭打ち感が出る。超高能率スピーカーは実に生々しい音を出す。演奏会場の臨場感が味わえる。
そんな大きな音を常時出し続ければ近所迷惑そのもの。長時間聴き続けるのも疲れます。
たまには非日常を演出するのは良いかも
ライブ会場の大音量の雰囲気を楽しむなら、ALTEC 620Bは余裕がありますが、KEF LS50はやや苦しい。
能率の高い旧時代のスピーカーは個性的で色付けの強い音かもしれません。自分から見れば、如何にも生々しく聴こえます。
最小音量と最大音量の比率をダイナミックレンジと呼ぶ。デシベルdbで表される。
演奏会場におけるオーケストラのダイナミックレンジは80~90db
LPレコード50db、CD90デシベル程度と言われています。
最小音量はアンプの残留雑音で決まる。最大音量はスピーカーで決まる。
つまり、能率の高いスピーカーには低残留アンプと組み合わせることが重要と考えます。
自分が好きな低音は、腹にズシンとくる重低音ではなく、体をフワッと包み込むような軽い低音が好きです。大口径の軽い高能率ウーファーの得意とするところでしょう。
旧世代設計大型スピーカー(再生帯域はほどほど、高能率)をもっと見直して欲しいものです。
下手に手綱を締めようとしちゃダメ。唄いたいように唄わせたい。