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赤表紙本「指輪物語」と、その他愛する本たちの読書記録とあれこれ

「たそかれ 不知の物語」

2007年01月30日 | 
「たそかれ 不知の物語」

前作も良かったけれど、こちらも素晴らしかった。
「かはたれ」の後日譚にして過去の物語。
子河童八寸と少女麻の再会と、学校の古プールに住み着く不知、麻の友達河合君。
特にこの河合君が物語に広がりを与えていると感じました。
一作目を「かはたれ」・・・「彼は誰」とし、
二作目を「たそかれ」・・・「誰ぞ彼」と名づけたところがいい。
麻にとって、あの時八寸は(そして自分や周りの人々は)「彼は誰」であっただろう。
そして、「たそかれ」はまさに「誰ぞ彼」な物語だった。
不知にとって、司にとって、互いが誰ぞ彼であり、また自分自身も誰ぞ彼であったと思えてならない。

作者のプロフィールを読んで、プールにまつわる話、通奏低音のように流れる戦争の話にまた胸を打たれた。
大川で遊ぶ子らに事故の無いよう、大人たちの言った言葉「河童に足を引っ張られるぞ」。でも、麻の祖父は「子ども達にはあまり効果が無かった」と語る。
その理由は何とも胸を打つ、悲しい、優しいものだった。

おすすめの一冊です

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