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赤表紙本「指輪物語」と、その他愛する本たちの読書記録とあれこれ

『千住家にストラディヴァリウスが来た日』

2008年05月21日 | 
『千住家にストラディヴァリウスが来た日』 千住 文子

ヴァイオリニストの千住真知子の母が語る。幻のストラディヴァリウスを、千住真理子が自分のヴァイオリンとするまでのドキュメント。

芸術家3兄妹と家族の固い結束が素晴らしい。
母は次男をセンチメンタルと語るが、お母さんも相当にロマンチストだと、読みながら思った。
どこまでも筋の通った、それも太くて強い筋の通った生き方に、こちらもカツが入る。
それは亡くなった3兄妹の父の考え方でもあり、また家族で培ってきた生き方でもあるのだ。

千住真理子は中学生でプロになってしまったために、受けなくてもいい苦しみや、大人社会の汚さにさらされていたらしい。詳しくは語られていないが、ただ単に音楽が好きなだけの身としては、複雑な気分だ。どんな社会にもあることなのかも知れないが。

後半、購入に備えてのミーティングのため、母が室内を整頓する。ところが、片付けたはずのテーブルが、古新聞の包みや古箱などで散らかっている。「きれいにしたばかりなのに」と怒り心頭の母に、兄・明が飛んでくる。そして語った言葉に、思わず涙が出た。
音楽好きの方には特におすすめの本です。

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