隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

静かな山歩きでささやかな解放感~高松山(神奈川県)

2022年11月27日 14時34分09秒 | 私のPLACE(含・旅行記、山記録)

2022.11.25(金)



 「明日は暖かく晴れる」という昨日の予報に誘われて、以前から歩きたいと思っていた神奈川の山歩きを計画する。

 今日の行程は以下のとおり。

   小田急線 新松田駅~(富士急湘南バス「寄(やどりき)」行で約20分)~田代向~(虫沢川沿いを40分)~
   はなじょろ道入り口~(杉林の中をジグザクに登ること1時間)~ヒネゴ沢乗越~(緩やかに登って30分)~
   高松山~(なだらかに尾根を下って40分)~尺里峠(第六天)~(車道を下って35分)~旧高松分校~
   (さらに車道を飽きるほどに歩いて1時間20分)~高松山入り口バス停~(富士急湘南バス「新松田」行で20分)~
   新松田駅

   (バスの時刻表は、コチラで)


 9時少し前に新松田につく小田急線。かなりの満員電車。
 町田で降りる? 相模大野で降りる? と期待してもちっとも・・・。
 その疑問は「東海大学前」に到着して解決。ほぼ全員が下車して、なかはガラガラ。
 みんな学生さんだったのね。リモート授業のときはどうだったんだろう・・・と思いを馳せつつ、こちらも新松田駅で下車。
 そういえば、この駅は、10年以上前に何回か参加した丹沢マラソン(私は10キロコースですけど)のときに、大会の送迎バスの発着駅だった。
 これから走るので朝は気が重かったけれど、タイムがどうであれ帰りは達成感と適度な疲労感で心地よかったなあ、と思い出す。
 今日は、登山姿の高齢の男性数名だけで、静かなもんだ。

 バスは途中ぐんぐん高度をかせぎ、眼下に新東名の工事現場を見る。
 猪越のバス停からは一気に下りて、田代向の集落に到着。
 下車したのは、私たち以外にはシダンゴ山に行く男性のみ。
 さあ、歩き始めよう。
 すでに快晴のそらと乾いた空気で、気持ちだけ盛り上がる。

 中津川にかかる田代橋を渡る。
  

 渡ったところを左折して、中津川の支流、虫沢川沿いに車道を緩やかに登っていく。
   

 風景を眺めつつ楽しげに話しながら歩く中年の仲良しグループに挨拶して、先を急ぐ。
 途中、尺里峠への道を左に見て、右を進む。高松山から尺里峠を経て、ここに降りてくるコースもあるが、今回は反対側に降りる予定。
 バス停から40分くらいで、「はなじょろ道入り口」の案内板。
  

 「はなじょろ道」は、明治のころまでは生活道路として人が往来していた古道を、2011年に地元の「虫沢古道を守る会」が中心になって整備した道路。
 今回の行程で感じたのは、この「虫沢古道を守る会」によって、道標が丁寧に設置されていること、整備後も歩きにくい危険なところに手を加えたあとがそこここに見られること、ヒル対策に塩や塩水が入った入れ物が道標や木々に括りつけられていること。
 ここを守ろうとする意識があちこちで感じられた。

 ここからは杉林の中をひたすら登る・・・、登る。
 はなじょろ道というのどかな響きにごまかされてはいけない。結構きつい。1時間で乗越に着くので、だらだら苦しむことはないけれど、最近登っていない脚には結構きつい。
 尾根道というより、斜面をトラバースするイメージなので、かなり下の流れるヒネゴ沢に落ちないように気をつけなくてはならない。ただし、道は丁寧に整備されているので危険というわけではない。疲れた身にこたえただけか・・・。
 道標はしっかり書かれているので、迷うことはない。
  

  

  

 杉林が少しずつ明るくなって、汗もかきつつ、きついなあ、とため息がもれたころ前方に現れたのがヒネゴ沢乗越。

 手書きの道標がすてきだ。
   

 少し休んで、高松山に向かう。
   
 緩やかな登り、木々の間からそそぐ陽射しが暖かい。
 途中、「太尾山」?と書かれた新しい道標を見つける。写真を撮らなかったので記憶だけなのだが、あれは?
 (戻ってから調べたのだが、ヒットしない。相方も見たんだけれど、はっきりせず)

 明るい広い緩やかな登りを10分足らずで、高松山ピーク到着!! 
 かつてはカヤトが生えていて見晴らしはさほどではなかったというが、今は小さなグランドくらいの広さのピーク。
 そして、神々しい富士山じゃ!
    
  
  

 小田原方面と、遠く伊豆大島も。
  
 いつもながら、実際の感動を画像であらわすことができないもどかしさ・・・。
 
 そして、先客の30代のすてきなお二人と短い会話をかわして、私たちはゆっくり昼食。
 「あれは伊豆大島?」「え、三浦半島のどこかじゃないの?」
 などと言いながら。あとで、伊豆大島だと判明。
 富士山はそんな私たちを「おいおい」と言いながら見ていてくれる(と思う)。

 40分ほど頂上でのんびりして、それでも誰も来ないので後ろ髪ひかれる思いで、下山へ。
 女坂・男坂があるが、5分くらいのところで合流する。
 女坂が緩やかそうだったからそちらを選んだけれど、男坂が整備されていて、そちらのほうが歩きやすかったかもしれない。
 真弓カ丘、桜平などを通って、なだらかな気持ちのいい尾根道を下りる。
  
 桜平には大島桜や山桜の木が何本もあるそうで、お花見には最適の場所だとか。
 約40分で尺里峠(第六天)にあっさりと着く。尺里峠には、馬頭観音と第六天が並んでいる。 
 第六天を祀る御堂が建てられていたそうだが、なぜか昭和初期に山北町の天社神社に合祀されたとか(理由は不明)。その後建てられた石碑がいつの間にはなくなってしまったので、再びここに第六天の石碑を建てたということだ。
  

 この峠で、虫沢古道を田代向に下りるコース、最明寺史跡公園・松田山へのコース、旧高松分校を経て高松山入り口バス停に下りるコースに分かれる。
 旧高松分校のコースを行く。

 車道をジグザグに下りながら、姿をのぞかせる富士山がどんどん大きくなる。
  

  
 太陽の位置の関係か、真っ白だった富士山がだんだんグレーになってきて、立体的に見えるようになる。
 まだ~?と思い始めたころ、旧高松分校にたどり着く。
  
 画像を送った相手から、「ドラマに出てくるみたい」という返信があったが、本当にそんな感じの佇まい。
 2010年まで使われていた、山北町立川村小学校の高松分校。この校舎が今も保存されている。神奈川県では最後の分校だったそうだ。
 高松地区は、戦後、酪農開拓のために入植がなされたところで、当時は分校に子どもたちの元気な声が響いていたんだろう。

 ここから1時間半ほどの車道歩きが続く。
 ちょっと腰が痛くなり始めたころ、突然現れたのは、何やらSFの宇宙基地?のような光景。
 新東名高速道路の高松トンネルの工事現場。行きのバスの中から見下ろした工事現場の反対側がこれなのか。
  

  
 トラック用に作られた臨時の道路を通って迂回しつつ工事現場を抜ける。
 自然保護とか地元との交渉とか、どうなんているのかはよくわからないが、狭い日本の中で、こういう光景がずっと継続して見られ、それが国の発展と暮らしの崩壊にどこかでつながっているんだろう。
 詳細はわからないけれど、今までも、完成した高速道路はふつうに利用している一国民です。

 この少し先に、「高松山ハイキングコース入り口」の大きな案内板を見つける。こちらからは2時間ほどの行程らしい。きつそうだなあ。
 小さな畑の前に椅子を置いて腰かけている高齢の女性に話しかけられる。
 「鹿に会わなかった? ここらへんまで最近は下りてきて、畑を荒らされるんだ」
 そういえば、TVでもそういう報道を見たなあ。ここの畑にもあちこちにセンサーが取り付けられている。共存の難しさだ。
 神奈川県のHPには、「近年は生息密度の高まりや生息地の拡大によって、自然植生の衰退や農林業被害など、さまざまな問題が生じています。県ではシカ問題解決のため、神奈川県シカ管理計画を定めるなど、さまざまな対策に取り組んでいます。」という記事があった。
 若いころに、丹沢の蛭ケ岳付近で目の前に現れた立派なニホンジカに感動したことがあった。今でも鮮やかな神々しいほどの姿だ。聖地を出て下界に下りてこなければならない状況が、シカにも人間にも悲惨な事実だ。

 県道と工事現場を行き来する大型トラックを見ながら、住宅の狭い道に入り、県道を左に折れると「高松山入り口」のバス停を見つける。
 薄暗くなる前に下山は、合格です。
 新松田駅行きのバスは1時間に1本くらいだが、5分の待ち時間でバスが見えてくる。ガラガラのバスに20分ほど揺られて新松田駅。
 若松食堂に行きたかったが、今月末まで休み、の張り紙。残念。


 静かな山歩きで、貴重な暖かい一日を手に入れた。
 またコースを選んで、ささやかな解放感を見つけよう。


 今夜はサッカーW杯、日本はコスタリカと。


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