秋の一日

■秋の一日

夏の間一緒だったお気に入りのシャツ
引き出しの奥で忘れられた、青いカーディガン
色あせて　しぼんだ　船のマークのＴシャツ
秋の空に映えて　ベランダで揺れる

勇気を出して　自転車で会いに行って
でも肝心な時はあまりに短い
つかんだつもりの心の中に
見えていたはずのものが　消えかけている

指差したさきの　空と雲のさかいめが
私の目に焼きついて　残像が揺れる
秋の空気はいつも潔くて
冬が来る前に　すべてが終わってしまう

失うことや　見たくないものがあっても
たぶん秋の日は逃げたりはしない
雪が降るまでの短い時間を
キミの名前を呼びながら生きていけたら

秋の一日に　秋の陽射しに
揺れる思いよ　姿を変えないで
雪が降るまでの短い時間を
キミの名前を呼びながら生きていこう