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米国で投資所得を得た外国人が知っておくべき税務問題

2021-03-08 | 税制

外国人(即ち、税務上の非居住者)とは、グリーンカードを持たず、かつ実質滞在テストを満たさない米国非市民を指します。実質滞在テストの条件は、その年の米国滞在日数が31日以上であり、且つその年の米国滞在日数、前年の米国滞在日数の1/3の日数および前々年の米国滞在日数の1/6の日数の3年間の合計日数が183日以上であることです。外国人(税務上の非居住者)の定義は外国株式会社及びその他形態の外国企業も含んでいます。

 

本稿では、外国人が米国で投資所得を得たことに関する税務知識(株式収入、銀行預金利息、著作権収入、賃貸収入など)について詳しく説明しています。

 

1. 米国株式収入

 

一般的に、税務上の非居住者は米国会社から株式の配当金を受け取った場合、30%の所得税を納付する必要があります。もし米国は、当該税務上の非居住者の居住地国と租税条約を締結していれば、租税条約に規定している優遇税率が適用されます。例えば、オーストラリア(15%)、カナダ(15%)、中国(10%)、フランス(15%)、ドイツ(15%)、インド(25%)、インドネシア(15%)、イタリア(15%)、日本(10%)、韓国(15%)、フィリピン(25%)等の国家が米国と租税条約を締結しています。

 

税務上の非居住者は、株式の売却によって得た所得(キャピタルゲイン)に対して所得税を納付する必要がありません。ただし、居住地国で所得税を納付する必要があるかもしれません。

 

2. 米国銀行預金による利息

 

税務上の非居住者は10ドルを上回る銀行の預金利息を受け取った場合には、銀行により利子所得の30%相当額の所得税を自動的に天引きされます。もし米国は、当該税務上の非居住者の居住地国と租税条約を締結していれば、租税条約に規定している優遇税率が適用されます。例えば、オーストラリア(0%)、カナダ(0%)、中国(10%)、フランス(0%)、ドイツ(0%)、インド(15%)、インドネシア(10%)、イタリア(10%)、日本(0%)、韓国(12%)、フィリピン(15%)等の国家が米国と租税条約を締結しています。

 

3. 著作権収入

 

著作権収入の源泉は、当該知的財産権がどこで使用されるかによります。税務上の非居住者は受け取った著作権の使用料に係る所得に対し30%の所得税を納付する必要があります。もし米国は、当該税務上の非居住者の居住地国と租税条約を締結していれば、租税条約に規定している優遇税率が適用されます。例えば、オーストラリア(5%)、カナダ(0%)、中国(10%)、フランス(0%)、ドイツ(0%)、インド(15%)、インドネシア(10%)、イタリア(0%)、日本(0%)、韓国(10%)、フィリピン(15%)等の国家が米国と租税条約を締結しています。

 

4. 賃貸収入

 

税務上の非居住者は、米国の不動産を貸すことによって得た収入に対して30%の所得税を納付する必要があります。税務上の非居住者は米国の不動産を売却する場合、資産の収益に対し15%の所得税が課されます。

 

5. パートナーシップの利益の売却・交換、処理による所得

 

税務上の非居住者が売却・交換・処理したパートナーシップの利益の実質関連所得(後ほど定義する)に対して、パートナーシップはすべての資産を売却する場合には、10%の所得税が課されます。

 

6. 実質関連所得(ECI

 

以下の類別に該当する収入は一般的に「実質関連所得」とみなされます。

 

(1) F・J・M・Qビザを保持して米国に臨時に居住している場合、米国に貿易及び商業活動に従事するとみなされるかもしれません。例えば、米国源泉の奨学金および研究者の補助金の両方ともが「実質関連所得」の課税部分に該当します。

(2) パートナーシップのメンバーでありかつ米国に貿易及び商業活動に従事することによって得た収入は「実質関連所得」とみなされます。

(3) 米国にパーソナルサービスに従事することにより得た収入は「実質関連所得」とみなされます。

(4) 米国においてサービス、製品または商品の販売に従事する企業を有し且つ経営することにより得た収入は「実質関連所得」とみなされます。例えば、米国又は海外から輸入した商品・在庫品を米国で販売することにより得た収入は「実質関連所得」とみなされます。

(5) 米国不動産の売却・交換により収益または損失得ることは米国に貿易及び商業活動に従事するとみなされ、当該収益または損失は「実質関連所得」とみなされます。

(6) 税務上の非居住者は、米国不動産を貸すことにより得た収入を「実質関連所得」とみなされることを選択できます。

 

税務上の非居住者は実質関連所得に対し所得税を支払う必要があります。当該所得が必要な支出項目を控除でき、かつ超過累進税率または適用税率が適用されます。注意すべき点としては、税務上の非居住者が米国に従事する商業活動は、米国の仲介業者またはエージェントを通じて株券又は証券の売買を行う活動である場合には、貿易及び商業活動に従事するとみなされなく、その取引から得た収入も「実質関連所得」とみなされません。


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