Kaizen(啓源会計事務所)

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中国の駐在員事務所と外資系独資企業(後編)

2021-04-19 | 会社設立

前編の続きです~

 

3. 税負担

 

駐在員事務所は、中国において営業活動を行うことが禁止されますが、税金を支払う必要があります。大部分の駐在員事務所は経費支出に基づき課税所得を査定する方法によって税金を納付します。2010年、中国国家税務総局は、駐在員事務所の最低査定利益率を10%から15%に引き上げ、駐在員事務所の税負担が大幅に増加しました。査定利益率が15%の場合、駐在員事務所の納税額は経費支出の約8.36%になります。

 

外資系独資企業は税率が異なり、営業利益に基づいて増値税を納付します。営業活動による売上総利益から支出を差し引き、純利益に対して企業所得税を支払うことができます。サービス提供の外資系独資企業の税負担は、駐在員事務所の税負担よりもはるかに低くなります。

 

北京において設立された駐在員事務所は増値税及びその付加税を支払う必要がないため、北京において設立された駐在員事務所の課税額は、査定利益率15%で計算する場合、経費支出の約4.41%になります。他の要因を考慮せず、外国人投資家は駐在員事務所の設立を通じて中国市場への参入を希望する場合、北京において駐在員事務所を設立することのほうがいいです。

 

4. 登録資本金

 

駐在員事務所の主な利点は、駐在員事務所の設立を申請した後、親会社が登録資本を支払う必要がないことです。親会社は、駐在員事務所の必要に応じて、中国において発生する賃金及びその他の費用を支払うために定期的に送金します。

 

但し、中国の新会社法により、会社設立の最低登録資本要件が廃止され、払込資本登録制度の代わりに資本登録制度が実施されています。会社の投資家及び株主は自ら出資額、出資方法及び払込期間を決定することができます。

 

5. 駐在員事務所の外資系独資企業への変更

 

中国の法律において、外資系独資企業は法人格がありますが、駐在員事務所は法人格がありません。駐在員事務所が外資系独資企業へ直接的に変更することができません。実際に、駐在員事務所を外資系独資企業へを変更するには、外資系独資企業を設立してから駐在員事務所の登記を抹消する必要があります。

 

上記は重要な考慮事項であり、中国への入国を希望したい又は駐在員事務所を設立した外国人投資家にぜひご検討をお願いします。


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