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米国企業の事業上の利子控除について

2023-12-11 | 税制

内国歳入法 (IRC) の第 163(j) では、事業上の支払利子には分配可能な支配利子若しくは債務利子が含まれています。内国歳入法に従い、資本化された利子又はビジネス活動に使用されている利子に対する一般的な制限は、損金算入に影響を及ぼす可能性があります。

 

  1. 貿易活動又はビジネス活動に発生する利子

 

1.1     事業上の利子に関する一般的な制限

 

特定の課税年度において、事業上の支払利子(interest expense)控除可能額は、事業上の受取利子(interest income)と調整後課税所得(ATI)の 30%(2019 年から 2020 年までは 50%でした)と資産購入にかかる借入利子(floor plan financing interest)との合計額以内となっています。

 

2018 年から 2021 年までの毎課税年度では、受取利子を差し引いた後の支払利子の控除額は、利子、税金、減価償却費、償却前の課税所得の最大 30% まで認められます。

 

2022年以降の課税年度においては、利子控除可能限度額は利子前の収益のみによって決定されるとなっています。

 

1.2    調整後課税所得(ATI)

 

利子控除可能限度額はある程度に納税者の調整課税所得 (ATI) に影響されていることは理解しておく必要があります。 2022 年 1 月 1 日以降の課税年度においては、ATI算定が調整される際に減価償却、償却、又は消耗を考慮しません。

 

内国歳入法 (IRC) によれば、ATI には、企業に分配不可能利子抜き収入(又は特定の企業に分配可能な収入)、支出、収益、損失などを調整し修正された課税所得が含まれます。

 

 

1.3    資産購入にかかる借入利子

 

資産購入にかかる借入利子とは、自動車の購入またはリースの資金に充てられ、且つ購入された自動乗用車そのものが当該債務の担保として供されていることです。「自動乗用車」の意味には、乗用車、ボート、農機具などのさまざまな交通工具が含まれます。調整課税所得 (ATI) の制限を受けることなく、資産購入にかかる借入利子を事実上控除することができると内国歳入法 (IRC) の第 163(j)に規定されています。ただし、これは妥協とも言えます。なぜならば貿易活動又はビジネス活動においては資産購入にかかる借入金で取得されたものは通常、ボーナス減価償却の対象にならない為です。

 

1.4    認められなかった事業上の利子の繰越

 

特定の課税年度において、控除として認められていない事業上の支出利子は支払い済又は発生した事業支出利子とみなすことができます。この規定は主に C 法人に適用されます。一方、パートナーシップおよび S 法人については繰越に関する個別の規定を適用されます。

 

  1. 中小企業が事業利子制限の対象外となる特殊例

 

納税者の企業利子の部分に関しては、TCJA および CARES 法案に規定されている新たな制限は内国歳入法の163(j) のその部分の内容を改正しました。法律上の立場では、対象外となる中小企業は、特定の税務シェルターを除き、第 448 条 (c) に規定されている総所得テストに合格した企業となっています。

 

2.1     総所得テストに合格した企業

 

納税者が企業又はパートナーシップでなくても、総所得テストに合格した場合に企業又はパートナーシップとみなすべきであると内国歳入法163(j)(3)によって規定しています。

 

特定の集計ルールに従って、関連エンティティの総所得を統合するのは納税者の義務とされます。総所得テストに合格するには、直前の課税対象年度3年間分(直近の課税年度をふくまれず) の平均年間総所得が 2,500 万ドルを超えてはなりません (第 448 条(c)(4) に規定されているインフレ調整を含む)。

 

2.2     特定の貿易及びビジネス活動

 

内国歳入法163(j)(7) には、特定の貿易又はビジネス活動対する一般制限の例外事例が規定されています。下記のいずれも 「貿易またはビジネス」の定義に該当しません。

 

(1)    従業員としてサービズを提供している商売または事業

 

(2)     不動産の貿易取引またはビジネス

 

(3)    農業事業

 

(4)    公益事業に関わる特定の取引または事業

 

  1. 企業の事業上の利子制限の対象

 

3.1     C型企業に対する適用例

 

内国歳入法第 163 条(j)は、パートナーシップや S 型企業よりC型企業に適用されやすいです。

 

利子受取及び支出を含むすべての損益 (P&L) 項目は、事業活動に適切に割り当てられるとみなされることに気を付けておくべきです。ただし、これらの項目は、この一般規則から免れます。

 

内国歳入法第 163 条(j)(2) により、繰越が認められない利息は繰り越されます。こういう繰越利息を「認められない企業利子出の繰越」として法律で規定される予定です。

 

ほとんどの場合、C 型企業の収益および利潤 (E&P) は、利息が163 条(j) 条による制限の対象に該当するどうかに関係なく、事業経費が発生する会計年度に減ります。

 

3.2    パートナーシップに対する適用例

 

内国歳入法163(j) はエンティティをはじめ、特にパートナーシップに適用されます。これらの事業体は、163(j) によって制限され「超過利子額」と呼ばれる非適格利子又は調整後課税所得 (ATI) 「一般的には「超過課税所得」と呼ばれている」の利子控除に関連する超過制限のいずれかを保有する可能性があります。超過利子額と超過課税所得は両方ともエンティティの所有者に分配されます。したがって、パートナーシップの制限は下記の場合に適用されます。

 

(1)    パートナーシップにおいては2020年分の調整課税所得 (ATI) を 2019 年分の ATI に置き換える必要があります。

 

(2)    2019 年以降の課税年度に、パートナーに超過利子額 (EBIE) を分配する必要があります。

 

(3)    パートナーが持分を処分する場合、その基礎を調整する必要があります。

 

(4)    多数関係を持っているパートナーシップにおける EBIE を丁寧に取り扱う必要があります。

 

(5)    自己負担の貸付取引を行う必要があります。

 

(6)    取引パートナーシップ及び上場パートナーシップである必要があります。

 

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