会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管に関する意見の募集」の公表(企業会計基準委員会・日本公認会計士協会)

「日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管に関する意見の募集」の公表

企業会計基準委員会と日本公認会計士協会は、「日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管に関する意見の募集」という文書を、2023年6月20日に公表しました。

「日本公認会計士協会が公表した企業会計に関する実務指針(Q&Aを含む。以下「実務指針等」という。)を企業会計基準委員会に移管することについて関係者からの意見を募集することを目的」とした文書です(1項)。

(「コメント提出者への質問」の内容や意見提出方法などは、「...意見の募集」ではなく、「コメントの募集及び本意見募集文書の概要」という文書の方に記載されています。2023 年 8 月 25 日まで募集とのことです。提出先は、ASBJと協会のどちらでもよい。)

背景は...

「我が国の会計基準は、企業会計基準委員会が設立される前は、会計基準については企業会計審議会が公表し、実務上の取扱い等を示す企業会計に関する実務指針(Q&Aを含む。以下「実務指針等」という。)については日本公認会計士協会が公表していました。2001年に企業会計基準委員会が設立された後は、新しい会計基準、適用指針及び実務対応報告についてはいずれについても企業会計基準委員会が公表することとしています。日本公認会計士協会が公表した実務指針等については包括的に企業会計基準委員会に引き継ぐことはせず、引き継げるものから引き継ぐ形をとっていますが、多くの実務指針等はまだ日本公認会計士協会に残されています。

このため、日本基準の全体像を把握しにくいなどの課題が指摘されています。こうした状況を受けて、企業会計基準委員会及び日本公認会計士協会は、これまでに日本公認会計士協会が公表した実務指針等の企業会計基準委員会への移管について検討を行ってまいりました。」(プレスリリースより)

14項において、移管に関して以下のようなアプローチを提案しています。

「移管プロジェクトは、以下のように進めることが考えられる。

(1) 日本公認会計士協会が公表している実務指針等を以下の 2 つの分類に分ける。
① 会計に関する指針のみを扱う実務指針等(内訳については別紙 1 を参照のこと)
② 会計に関する指針のみを扱う実務指針等以外の実務指針等(内訳については別紙 2 を参照のこと)

(2) 会計に関する指針のみを扱う実務指針等については、すべて移管プロジェクトの対象とする。その際、現状の実務指針等に関する内容については文言単位で一切変更しない。この移管は、2024 年 3 月までに完了することを目途とする。

(3) 会計に関する指針のみを扱う実務指針等以外の実務指針等については、移管プロジェクトの対象としないが、これらのうち、優先順位が高いと考えられる継続企業後発事象については実務指針等の移管に係る実行可能性についての調査研究を実施する。この調査研究は、2024 年 6 月までに完了することを目途とする。」

継続企業(の前提)については...

「国際監査・保証基準審議会(IAASB)は、国際監査基準 570「継続企業」を改訂するプロジェクトを進めており、ここでは継続企業の前提の評価期間の起点を期末日から財務諸表の承認日に変更するなどの改訂を行う方向で検討が進んでいる。...国際的には、継続企業の前提に関する経営者の責任を定めた会計基準が存在しており、継続企業の前提に関する経営者の評価が行われ、それに関する注記が存在することを前提として監査基準が定められている。また、継続企業の前提の評価期間の起点の変更については企業の実務に影響を与える可能性があるが、監査基準の変更のみによって企業の実務に影響を与えるのは望ましくないため、我が国において継続企業の前提に関する会計基準の開発をあわせて行うべきであると考えられる。」(24項より)

後発事象については...

後発事象については、IFRS 会計基準においては「財務諸表の公表の承認日」の概念が存在し、期末日後、この日までに発生した事象を後発事象とすることとされている。ここで、IFRS 会計基準を開発する国際会計基準審議会(IASB)の姉妹組織である国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、現在、IFRS サステナビリティ開示基準を開発しており、その中で「サステナビリティ関連財務情報の公表の承認日」の概念を導入する予定であり、我が国においてサステナビリティ開示基準を開発するサステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、我が国のサステナビリティ開示基準においてこの概念を導
入することを検討している。「公表の承認日」の概念は現時点では必ずしも我が国において定着している概念ではないが、サステナビリティ開示基準における検討を契機として、会計基準においても求めることを検討することが考えられる。」(25項より)

ただし、現行の「後発事象に関する監査上の取扱い」における、会計監査人の監査報告書日後に発生した修正後発事象の金商法財務諸表における扱い(「計算書類との単一性を重視する立場から...開示後発事象に準じて取り扱う」)は引き継ぐそうです(26項)。

(「日本基準の全体像を把握しにくい」というのが課題なら、企業会計審議会の会計基準(企業会計原則を含む)や経産省などによる業種別会計(例えばインチキ原発会計など)も、取り込むべきなのでは)

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