会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

オリンパスの四半期報告提出期限、延長は非現実的 上場維持に向け大詰めの作業(ロイターより)

〔焦点〕オリンパス<7733.T>の四半期報告提出期限、延長は非現実的 上場維持に向け大詰めの作業

オリンパスの四半期報告書提出はぎりぎりの作業になるだろうという推測記事。

他の報道では、現在進行中の監査についてふれているものはあまり見当たりません。この記事では、直接の関係者からの取材に基づく部分は一部にすぎないと思われるものの、比較的詳しく取り上げています。(「監査法人関係者」というのは、誰でしょう。)

「オリンパスの損失隠しは20年程度と長期にわたっており、これが第三者委や監査法人の作業を難航させる面もある。財務情報は、過去からの積み上げだ。最新の四半期報告書の監査でも、過去の財務情報を訂正する場合には「訂正報告書」の提出を前提とするのが通例だ。訂正報告書は法定では過去5年分でいいが、オリンパスの場合、最新の財務情報の期首残高を確定させるためにも「実質的に約20年分の訂正作業が必要になるのではないか」(監査法人関係者)との見たてもある。

 オリンパスは担当監査法人を2010年3月期から新日本監査法人に変更している。新日本の前に担当したあずさ監査法人は、受け持ち期間が長いだけ作業量がより多くなると予想されるだけでなく、その監査を踏まえて新日本が作業にあたる流れにある。このため、期限内に四半期報告書を提出するには、あずさによる作業の進捗がカギを握る。複数の関係者によれば、あずさと新日本は、第三者委とも連携しながら、既に監査に向けた予備的な作業に着手している。ただ、法定の保存期間を過ぎた財務関係の書類が一部で紛失するなどの作業難航も想定される。」

オリンパスの場合、10年以上前の含み損有価証券を海外のファンドなどに飛ばした取引、飛ばした先での資金運用取引、損失の穴埋めのために過大な買収金額やアドバイザリー報酬が還流された取引などは、すべて会社の正規の内部統制の外で行われているため、監査論の教科書的には、統制リスクは最大であり、取引の性質上、固有リスクも高いと考えられるので、監査手続は精査に近いものになってしまう可能性があります。さらには、10年以上粉飾を隠してきた社内外のグループや、粉飾に協力していたかもしれない国内外の金融機関から提出される資料を証拠としなければならないので、そうした証拠の信頼性を確かめるのにも時間がかかるでしょう。もしかすると依拠できる証拠がないかもしれません。

粉飾スキーム全体がどのくらい複雑なものだったのかがわからないので、確たることは言えませんが、記事に書かれているように、相当困難な作業であると予想されます。

そもそも、過年度決算をどのように修正するのかについても見えていません。

例えば、損失先送りに使われたといわれているファンドについては、連結範囲に含めて、そこでの取引をすべて連結に取り込む方法と、連結しないで、すでにオンバランスされている出資金や預金の評価をやり直すにとどめる方法があるでしょう。支配力基準の解釈の問題にもなってきます。(ライブドアの例からすると、すべて連結するのが自然ですが・・・)

最近になって、ITX関連の取引も、損失穴埋めに関連しているという話が出ているようです。訂正の範囲をそこまで広げるのかどうかも問題になるかもしれません。

他方、オリンパスにとって有利な状況としては、これまでの報道を信じるならば、粉飾の範囲が、有価証券投資関連と、ここ数年の異常なM&A取引関連に限られていることを挙げることができます。

かつてのカネボウのように会社全体が粉飾にむしばまれているわけではないので、仮に時間切れになった場合でも、限定付き適正意見は出せるかもしれません。

オリンパスに寛大な処置を求める欺瞞 磯山友幸(SankeiBiz)
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