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河西工業、有報の提出延期を検討 海外子会社で会計ミス(日経より)

河西工業、有報の提出延期を検討 海外子会社で会計ミス

河西工業(東証スタンダード)が、2024年3月期の有報について、法定提出期限の延長申請を検討しているという記事。

海外子会社でミスが見つかったそうです。

「メキシコの子会社で、過年度の売掛金や固定資産の減価償却の計上ミスなどが多く見つかり、さらに為替換算の計算にも誤りがあることが判明した。過年度を含めた連結財務諸表の作成に時間がかかっているという。」

スタッフの削減や退職、新しい会計システムへのデータ移管作業での入力漏れなどが関係しているそうです。

第93期有価証券報告書(自2023年4月1日 至2024年3月31日)の提出期限の延長申請の検討に関するお知らせ(河西工業)(PDFファイル)

問題の子会社は、決算期が3か月ずれているようです(それにもかかわらずまだ決算を締められない?)。また、日本の連結決算に原則として修正なしで織り込めるのは、IFRSか米国基準だけですが、この子会社は米国基準のようです(機能通貨も米ドル?)。

「当社の連結子会社であるKASAI MEXICANA S.A. DE C. V.(以下「KMEX」といいます。)においては、2022年12月期(当社における2023年3月期)及び2023年12月期(当社における2024年3月)において、過年度に起因する多数の誤り(売掛金・固定資産の減価償却等の計上相違など)を発見しておりましたが、それらに加えて、決算作業の過程で、更に為替換算(ペソ/ドル)の計算方法の過年度からの相違が判明し、誤りの累計金額が増大しました。その結果、監査人とも協議の上、過年度に遡って各年度及び四半期の連結財務諸表の訂正作業等を行うこととなりました。

過年度訂正を行ったうえで、有価証券報告書の提出期限に間にあわせるべく、監査人にも全面的な協力を得ながら、KMEX・日本本社及び外部専門家が協働して最大限の努力を行っておりますが、①2019年から2020年にかけて、KMEXにおいてスタッフの削減・退職があり、また、2020年以降、米国会計基準対応(為替換算作業を含む。)などの業務についての内製化が行われたものの、これらにあたって十分な引継ぎが行われず、また、当時のスタッフが大量退職したことからこれまでの経緯やノウハウ等が引き継がれていないこと、②2021年にKMEXにおいて新システムに移行したものの、システム移行にあたって、事前の理解や準備が不足していたことから、新システムへの移行データの信頼性も不十分なものとなっており、2021年以前のデータへの遡及にあたって、項目によっては紙ベースの手作業が必要になっていること、③KMEXが2022年に行った移管作業の過程でオペレーションミス(入力相違、遺漏、二重入力等)が発生し、過去データの信頼性が更に低下する結果となったこと等から、複数回再計算をやり直す必要が生じ、また訂正・金額の確定作業にも多大な時間を要しています。

上記のとおり、現在、過年度分を含め金額確定作業を鋭意進めておりますが、現時点においてはまだ当該金額が確定しておらず、過年度含めた訂正報告書に含める連結財務諸表及び連結四半期財務諸表ドラフト並びに2024年3月期の有価証券報告書に含める連結財務諸表ドラフトについて監査人に提示できていない状況にあります。

監査人には、当該金額が確定しない中でも、過年度の監査及び四半期レビューを並行して実施して頂いていますが、最終的には追加で修正すべき数値を確定させ、当該数値を仕訳に落とし込んだうえで、これを元に作成した財務諸表ドラフトを監査して頂くことが必要となります。

また訂正すべき期間が広範にわたり(対象:3年/12四半期)修正すべき事項も広範囲にわたることなどから、監査終了までには一定時間を要するものと伺っております。

このようなことから、今般、2024年3月期有価証券報告書の提出期限の延長申請を検討することといたしました。」

悲惨な状態のようです。

河西工業関連記事。

日産、「旧ケイレツ」を救済せざるをえない事情 経営危機の河西工業に60億円出資の舞台裏(東洋経済)

「河西工業は、主に日産向けにドアトリムなどの内装部品を製造・販売する老舗の名門サプライヤーで、2000年代初頭までは日産が約2割の株を持つ筆頭株主だった。カルロス・ゴーン氏による「系列解体」の結果、日産との資本関係はなくなったが、深い取引関係は継続している。

その河西工業が深刻な経営危機に陥っている。日産の拡大戦略に応じて海外での生産能力を増強してきたが、日産の販売台数がピーク時の577万台(2017年度)から344万台(2023年度)まで4割も減少したことが大きな打撃となった。2023年3月期まで4期連続で最終赤字を計上。財務の健全性を示す自己資本比率は42.9%(2019年3月期)から7.7%(2023年3月期)に悪化した。

2022年5月と9月に総額約378億円のシンジケートローンやコミットメントライン契約を締結するなどした結果、有利子負債は700億円規模まで膨張。業績と財務の悪化によってたびたび財務制限条項(コベナンツ)に抵触し、債務の一括返済を迫られかねない状態に陥った。」

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