IFRSを社内管理向けに採用している企業が増加しているという記事。
「表立ってIFRSの採用を宣言していないものの、社内で既にIFRSを利用している“隠れIFRS採用企業”が増えつつある。隠れIFRS企業とは、社内管理の数値を取得する際の基準としてIFRSを採用していたり、IFRSベースの数値を収集する体制を整えていたりする企業だ。
記者が「表に出ていないIFRS採用企業が増えている」と実感し始めたのは、日経コンピュータの9月19日号の特集「地球丸ごと見える化」を執筆するための取材過程だった。特集は、グローバルに事業を展開する企業による、「グローバル経営情報システム」構築に関する最新動向をまとめたものだ。
グローバル経営情報システムは、欧米、アジア、南米、中東、アフリカといった海外拠点の経営情報を、あたかも日本の拠点のように把握できるシステムだ。この特集の取材過程で、「IFRSを社内管理向けの数値に利用している」という企業に次々と出会った。」
「特集の取材過程で出会った隠れIFRS採用企業は、セイコーエプソン、第一三共、東海ゴム工業の3社だ。3社のほかに、2013年12月期から連結財務諸表の作成にIFRSの採用を公表している旭硝子も、特集に登場する。同社は、社内管理の基準にもIFRSを採用している。
社内管理の基準にIFRSを採用するメリットは、会計基準や商習慣が異なる世界各国の拠点から、同一の考え方に基づいた数値を取得しやすくなることだ。・・・」
IFRSが採用される背景のひとつとして以下のようなことが書かれています。
「IFRSは、既に世界100カ国以上で採用されている。IFRSを採用していない経済大国は日本と米国のみと言われている状況で、欧州を中心に海外拠点の中には「自国の会計基準はIFRSベース」という国が少なくない。
またIFRSの原文は英語で書かれているため、英語を理解する国であれば学習のハードルは低い。日本の会計基準をベースにした社内管理基準を新たに作って翻訳し、現地法人に勤務する外国人に指導するよりは、はるかに日本本社の負担も軽くなるはずだ。」
現行の日本基準では、IFRSに準拠して作成された財務諸表は一部の会計処理を除いてそのまま連結できるので、海外関係会社にはIFRSで報告させているというケースもあるのでしょう。
財務報告ではこのように、グローバルに、IFRSを使った統一的な扱いができるわけですが、監査はそうはいきません。J-SOXと新しく制定された不正リスク対応基準という日本独自の基準があるので、海外の関係会社も含めて厳密にやろうとするとたいへんな追加コストがかかります。重要性などで逃げている場合が多いとは思いますが・・・。
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