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過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出、並びに決算短信の訂正に関するお知らせ(東京産業)

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出、並びに決算短信の訂正に関するお知らせ(PDFファイル)

東京産業(東証プライム)のプレスリリース(2024年4月15日)。

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出するとともに、決算短信の訂正を公表したとのことです。

訂正対象は、2022年3月期と2023年3月期の有報と、2022年3月期第1四半期から2024年3月期第3四半期までの四半期報告書などです。

「当社は、当社が関連する太陽光発電(メガソーラー)案件に係る長期未収入金の回収可能性の評価等、また、当社が元請として受注する別の太陽光発電工事請負案件において、追加の工事原価に係る費用負担に関連して工事原価の増額に伴う工事原価総額の見積り変更が適切に処理されていなかった可能性が判明した件等に関し、当社とは利害関係を有しない外部の弁護士及び公認会計士を委員とする外部調査委員会を設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行なってまいりました。

調査結果につきましては 2024 年 1 月 15 日付「外部調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」及び同年 4 月 1 日付「外部調査委員会の最終調査報告書受領に関するお知らせ」にて公表しておりますが、調査報告書の内容を踏まえ、長期未収入金の回収可能性の評価に関する会計処理について検討した結果、長期未収入金に対して貸倒引当金を計上することとしました。また、特定の太陽光発電所の建設請負工事案件に係る工事原価総額及び工事進捗度を合理的に見積もることができないと判断し原価回収基準を適用するとともに、工事原価発生額の集計を修正しました結果、売上高及び売上原価等を訂正することとしました。」

2023年3月期で影響額を見てみると...

(単位:百万円)

純資産が2割も目減りしています。

内部統制報告書も訂正です。

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(PDFファイル)

対象は、2022 年3月期と2023 年3月期の内部統制報告書です。

重要な不備の内容は...

「当社が関連する太陽光発電案件に係る特定の仕入先に対する長期未収入金の保全措置として担保設定を受けていた受入担保資産の一部が当社の承諾なく譲渡されていた事実が確認されたことから、当該長期未収入金の回収可能性の評価仕掛品として計上していた太陽光発電案件に係るID 権利についての資産性・収益性の評価に関しては、改めて検討が必要と認識し、外部調査委員会の設置を決議し、調査が開始されました。調査の終盤に、当社が元請として受注する別の太陽
光発電工事請負案件において、下請業者が特定の太陽光発電所の建設請負工事で生じた追加の工事原価の負担等から、二次下請業者への工事代金を支払えず、工事の遂行が困難になっているという事実が確認されたことから、追加の工事原価に係る費用負担に関連する工事原価総額の見積りの合理性についての追加調査が必要と認識し、追加調査が実施されました。

外部調査委員会による調査の結果、大要以下 3 点の指摘を受けました。
1. 当社受入担保資産一部売却の事実等から、2023 年 3 月期年度決算における長期未収入金の回収可能性の評価に関して、慎重な評価を行うことができていなかった可能性がある。
2. いわゆる工事進行基準による会計処理における工事進捗率が実際の工事の進捗よりも高いものとなり、2022 年 3 月期第 1 四半期以降の売上高及び売上原価の金額が過大に計上されていた。
3. 2023 年 3 月期第 2 四半期以降においてはいわゆる工事進行基準による会計処理ではなく、原価回収基準での会計処理へ切り替えを行うことが必要であった。

以上の指摘を受けて、当社は影響を受ける過年度の決算を訂正するとともに、第 112 期及び第113 期の有価証券報告書について訂正報告書、第 112 期第 1 四半期から第 114 期の第 3 四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。

本件は、会計リテラシーが不十分であったこと等に起因する全社的な内部統制及び業務プロセスの不備であり、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当するものと判断いたしました。」

「会計リテラシー」で片づけるというのは、ちょっと中身が薄すぎるのでは。ただし、内部統制報告書の訂正報告書をみると、もう少し詳しく書いているようです。

2023年3月期の訂正報告書をみると、監査人はあずさ監査法人です(監査意見は無限定)。KAMでは「訂正前の連結財務諸表に対する修正処理の妥当性」など、太陽光発電関連の事項について、6ページにもわたり記述しています。

この会社は、2024年3月期第2四半期の四半期報告書を、今年1月に提出しています(四半期レビューは結論不表明)(→当サイトの関連記事)。その際、「当該四半期報告書その他過年度の有価証券報告書等の訂正を行う可能性があります」と開示してはいますが、そんないい加減な報告書を提出してよかったのでしょうか。

2022年8月にも過年度の訂正報告書を提出しています(→当サイトの関連記事)。そのときは、架空循環取引関連の訂正でした。

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