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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

調査委員会の調査報告書に関するお知らせと再発防止の取り組みについて(保険代理店手数料売上の会計処理関連)(アドバンスクリエイト)

調査委員会の調査報告書に関するお知らせと再発防止の取り組みについて(PDFファイル)

アドバンスクリエイト(東証プライム)のプレスリリース(2024年10月8日)。

保険代理店事業における代理店手数料売上の計上方法について調べていた調査委員会の報告書を受領したとのことです。

代理店手数料売上の会計処理に関する経緯。(「PV計算」とは「将来受け取る代理店手数料の金額を見積り、その割引現在価値合計額を売上として計上する方法」とのことです。)

「当社は代理店手数料売上について、2018 年 9 月期までは「翌 1 年基準(保険契約の成立から 1 年の間に回収される手数料だけを売上として計上するもの)」によって計上しておりましたが、「費用収益対応原則」の観点から難があったことから、日本で新たに導入された「収益認識に関する会計基準」を早期適用し、2019 年 9 月期から現在の PV 計算によって計上しております。

PV 計算による代理店手数料売上の計上に関し、当社は 2018 年 10 月 1 日に収益認識等に関する社内規程を改訂し、PV 計算を行うための手数料計算システムを導入のうえ、当社が受領する代理店手数料について各保険会社から確認書を受領してこれを PV 計算の証憑としておりました。また、PV 売上は2021 年 9 月期から会計監査人による会計監査において監査上の主要な検討事項(KAM)として監査の対象になっております。」

(監査人もKAMとして取り上げた以上、厳格に見ていたはず、といいたいのでしょうか。)

ところが、会計監査人である桜橋監査法人より、PV 計算の結果の一部について実態との乖離が見られるため、見積りの再検証が必要であるとの指摘があり、調査委員会を設置して調べたそうです。

調査結果の概要。

「PV 計算の開始後、手数料計算システムにおいて想定外のエラー(代理店手数料の支払回数について、システム上で入力されている支払回数が実際の支払回数と合致しない、というもの)がしばしば発生しましたが、PV 計算担当者(以下、「担当者」という。)は都度エラーに対処し、あるべき PV 売上の算出を目指していました。

保険会社ごとに代理店手数料規程が定められ、代理店手数料規程の内容は、保険会社ごと、また、保険商品ごとに千差万別なところ、遅くとも 2021 年 9 月期には、エラーに対処する際に、担当者による代理店手数料規程の確認不十分や誤解により、一部の保険商品について、代理店手数料の過大な支払回数に基づく PV 計算などが生じていました。また、一部の担当者は、四半期決算の確定作業に追われて、エラーに対処する際に、代理店手数料規程を十分に確認しないまま、管理会計上の PV 売上推定額の方が正確であると誤解して、一部の保険商品の支払回数を一律に延長させていました。一方で、2019 年 9月期におきましては、PV 計算に織り込むべき手数料の漏れにより、PV 売上が過少に計上されていた可能性があります。

このように、当社における PV 売上の金額算出のプロセスは精緻なものではありませんでした。

なお、以上の PV 計算の結果と実態の乖離は、担当者による代理店手数料規程の確認不十分や誤解によるものであって、意図的なものではありませんでした。また、当時の経営陣等から担当者に対して、実態のない売上や一定額以上の売上を計上するような指示、ないし圧力がかかっていた事実も認められませんでした。」

要するに、(会計処理の方法は間違っていないけれども?)見積り方法に問題がありそうだということなのでしょう。

業績への影響についてはまだわからないようです。

「現在当社は、調査委員会の報告書に基づいて、是正すべき PV 計算の実態との乖離額の算定を行っております。」

「結果と実態との乖離が生じた原因自体が過年度にあるとしても、過年度に遡って見積りの是正ができるかどうか、どのような方法をとれば過年度に遡った計算結果の正確性を担保できるかを踏まえ、この乖離を今期の貸借対照表に反映することで対処するか、過年度決算の訂正まで必要か等につきまして検討してまいります。」

10ページほどの調査報告書(概要版)が添付されています。

ちなみに、今年の3月には、サカイホールディングスの虚偽記載に関して課徴金納付勧告がなされていますが(→当サイトの関連記事)(その後確定)、それも、保険募集代理店手数料の売上計上方法に関連するものでした。監視委の説明資料では、実際に支払われた手数料を売上として計上すべき(現金主義?)とされていましたが、それが正しいとして、今回のケースにあてはめると、見積りがずさんだったというのではなく、会計方針が間違っているということにならないのでしょうか。しかし、さすがに、現金主義はあり得ないとは思うのですが...

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