過年度の有価証券報告書等に係る訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等に係る訂正に関するお知らせ
中部水産(名証メイン)のプレスリリース(2024年4月15日)。
「過年度の有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を東海財務局に提出するとともに、過年度の決算短信についても一部訂正を行う」とのことです。(すでに訂正報告書等は提出・公表済みのようです。)
「当社は、2024 年2月9日付「特別調査委員会設置並びに 2024 年3月期第3四半期決算発表の延期及び当該四半期報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」に記載のとおり、取引先が過年度より、当社に対し実在性のない架空取引を行っていたことが判明し、外部有識者を委員に含めた特別調査委員会による調査を進めておりました。調査結果につきましては、2024 年4月8日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」及び同年4月 13 日付「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」にて公表しておりますが、当社は、調査報告書の内容を踏まえ、本件について過年度の決算の必要な訂正を行い、下記のとおり過年度の有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を東海財務局に提出いたします。併せて、過年度の決算短信も訂正いたしますので、お知らせいたします。」
訂正対象は、2019年3月期から2023年3月期までの有報などです。
2023年3月期で影響額を見てみると...
(単位:千円)
卸売業なので、もともと、売上高の大きさのわりに利益は小さな会社のようです。
当期純利益への影響が最も大きいのは、2020年3月期の△270,963千円です(赤字が黒字になっている)。
内部統制報告書も訂正です。架空循環取引に巻き込まれたという認識のようです。
引用されている訂正内部統制報告書の文言より。
「当社は、2023年11月に当社卸売部門の特定の販売先に対する売掛金について約定弁済がなされなかったことを契機として、当該取引に係る確認を行ったところ、当社の特定の仕入先が循環取引等の不適切な取引を主導し、販売先に対する架空取引が生じている可能性があることが判明しました。そこで、2024年2月9日付の取締役会において、当該取引にかかる事実関係の調査、並びに原因の究明、類似事象の有無の確認、財務諸表等への影響額の算定、及び再発防止策の提言を目的として、特別調査委員会の設置を決議いたしました。
当社は、2024年4月8日、特別調査委員会から調査報告書を受領し、当社が特定の販売先と行っていた一部の取引は商品が存在しない架空循環取引であり、その経済的実態は資金移動取引であるとの報告を受けました。なお、本件架空循環取引は仕入先の営業担当であった某氏が主導したもので、当社は会社としてあるいは卸売部門として組織的かつ意図的に関与したものではないことに加え、当社の営業担当者にも実在性のない架空取引あるいは循環取引との認識はなく、某氏が主導した本件循環取引に巻き込まれたものと認められるとの評価を受けております。
当社は、報告内容の検討の結果、当該取引は売上及び仕入としての実態のない取引として、関連する売上高及び売掛金、仕入高及び買掛金、並びにその差額として計上された利益を取り消すこととし、この取引に関して発生した資金移動取引について金融取引として認識して、長期未収入金を計上しました。併せて当該長期未収入金に対しては、各期末における回収可能性を検討の上、貸倒引当金を計上しました。また、今回の調査の過程で発見された顧客への財又はサービスの提供における役割(本人又は代理人)の判断誤りに起因する修正事項等を併せて訂正いたしました。」
「当社は、特別調査委員会により認定された不適切な会計処理が生じた原因は、以下の点にあるものと考えております。
・識別したリスクの評価及び対応策の立案に関するプロセスの不十分性
・循環取引含む不適切な事例等に関する役職員への情報共有の不十分性
・管理部門における財務数値のモニタリング機能の形骸化
・取引先との取引条件等の承認機能の形骸化
・循環取引の発見に関する実効性のあるモニタリング機能の不十分性
・外部倉庫に保管している棚卸資産の数量や金額の適時な把握体制及び実地棚卸体制の未整備」
「当社は、これらの内部統制の不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制及び全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセス並びに業務プロセスに関する内部統制について開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。」
特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ(2024年4月13日)(80ページ超の報告書がついています。取引の経緯などを詳しく調べているようです。)