東芝の監査を取り上げたコラム記事。支離滅裂という印象です。
「東芝側に問題はあるが、リスクの高い企業と分かって引き受けた以上、監査法人は職務を全うすべきでありそれを放棄しては無責任と非難されても致し方ない。今回のように社会的関心が極めて高いケースでは監査意見を出せなかった理由や作業が遅れた背景について、社会の理解を得られるよう一定の説明責任を果たすことが求められる。
社会が期待する監査品質とは何か。単に監査手続きの形式基準を満たすことではない。社会構造や経済環境が目まぐるしく変化し、企業活動がグローバル化する時代にあっては、会計数値の検証だけでは不十分だ。洞察力を持って経営課題の本質を見抜き、問題点の指摘にとどまらない具体的な解決策の提示、産業構造の変革などを経営者と対等に議論できる能力が監査をする側にも求められる。
これからの監査人に必要なことは、会計や監査に関する専門知識だけではない。ルールにのっとった対応さえすればいいという思考停止から脱却し、監査先の事業の理解はもちろん、環境変化に適応して自己研さんし続ける不断の努力と、リスクと向き合う覚悟が求められる。」
「意見(結論)不表明=職務放棄」という間違った考えで書いているようです。意見を表明するだけの証拠が(会社側の不協力などで)得られなかった場合には「不表明」とならざるを得ません。証拠がないのに、無限定適正を出したら、それこそ、職務放棄です。
「ルールにのっとった対応さえすればいいという思考停止」という箇所も意味不明です。監査人はルールどおりに愚直に仕事を進めるというのが、開示をめぐるすべての制度の前提であり、監査人側で勝手にルールから逸脱できるはずはありません。(役人などなら忖度が必要かもしれませんが)
また、「会計数値の検証だけでは不十分」とありますが、監査人の仕事はまさに「会計数値の検証」なのでは。事業を理解したり、経営課題の本質を見抜いたり、というのは、「会計数値の検証」のために必要なのであって、経営コンサルタントのまねをするためではありません。
このコラムで正しいことを言っているのは、監査人の説明が必要というところぐらいでしょう。
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