楓ACが創部されたのは、1970年10月1日ですので、今年(2008年)で創部38年になります。ただし、その前身の「東陸会」が、1968年に結成されておりますので、今年で創部40年ということになります。
1970年といえば、大阪万博開催、国産初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げ、よど号ハイジャック、三島由紀夫の市ヶ谷自衛隊での割腹自殺と大学紛争の尾を引いた世情騒乱の時代でした。日本が経済大国へと伸し上って行く時代に20歳前後の若きアスリート達がクラブを立ち上げたのでした。
楓ACの前身の「東陸会」結成は、1968年のスポーツ祭典全国大会の短距離入賞者がレース後に反省会を開き、クラブを結成しようということになり6名程でスタートしました。その後、名前が固すぎるということで、1970年10月に「楓AC」に改称し現在に至っております。
1970年の創部後、71年には東京陸協への団体登録、72年3月には機関誌「メープル」の発行とクラブとしての体制が次第に整って行きました。73年12末現在の会員数は39名で、ほとんどが短距離選手という市民クラブとしては珍しいクラブでした。
創部当時のメンバーには、安達功、横山重夫、手塚裕子(旧姓福井)、東條昭、松浦茂、松浦由紀子(旧姓山田)、東條英子(旧姓遠藤)、内藤賞子(旧姓徳永)そして中央大学陸上部OBの手塚勇二が各地の大会で段違いの力を見せて、若い選手の精神的な支えとなっておりました。1973年当時活躍していたメンバーの平均年齢が、20歳前後というのですから驚きです。陸上競技にかける情熱と行動力を今更ながらに感じられます。
楓ACになって入ってきた北風利明は、その後北海道に帰郷して陸上競技を続け、ご自分のお嬢さんの北風沙織選手や地元の子供たちを指導しております。北風沙織選手や寺田明日香選手を擁してスタートした北海道ハイテクACは、女子100Mの日本新記録保持者の福島千里選手を中心に今や日本の女子短距離陣のメッカとなっており、楓ACのDNAが引き継がれているのです。
女性と言えば、女性が大いに活躍したこともこの時期の大きな特徴の一つでした。肝っ玉母さんのような福井さん、細みの体ながらバネがあり非公式ながら100Mで12秒9を出した山田さん、後に高校教師になった遠藤さん、これまた後に社会党のポスターに起用された徳永さんなど、女性達が輝いておりました。
短距離中心でスタートした楓ACも、1972年に中距離の大越良樹が入部、翌73 年には、大東文化大学陸上部OBの加藤祐吉(旧姓香内)が入部し、74年からは急速に長距離中心のクラブへと姿を変えて行くことになります。
1971年の初代主将(クラブの代表者)が安達功、翌72年の主将が手塚勇二(初代会長)、翌73年が松浦茂、翌74年が東條昭と短距離選手が続き、翌75年の主将が長距離の加藤祐吉(現会長)と続いて行きます。
☆ 当時のベスト記録
[男子]
100M 11秒0 東條昭 1971/11/12 全国青年大会(国立)3位
200M 22秒8 手塚勇二 1972/4/29 東京選手権(国立)予4着
400M 51秒2 手塚勇二 1972/5/28 都民大会(駒沢)1位
800M 1分58秒0 大越良樹 1973/10/26 インカレ(国立)準決5着
1500M 4分05秒0 香内祐吉 1973/10/21 豊島区民大会(国立)1位
3000M 8分35秒0 香内祐吉 1973/9/23 リレーカーニバル(国立)1位
5000M 15分25秒6 香内祐吉 1973/10/21 豊島区民大会(国立)1位
4×100M 43秒6 東條、松浦、手塚、斉藤 1971/9/21 リレーカーニバル(国立)3位
4×200M 1分34秒6 東條、安達、杉本、手塚 1972/4/23 リレーカーニバル(国立)7位
4×400M 3分38秒0 東條、大越、成田、手塚 1973/9/23 リレーカーニバル(国立)予5着
1000MR 2分5秒8 角田治、杉本、松浦、手塚 1972/5/14 葛飾区民大会(市川)1位
走幅跳 5M73 横山重夫 1972/5/14 葛飾区民大会(市川)8位
走高跳 1M75 久保田達 1972/6/18 葛飾区民大会(市川)1位
砲丸投 9M56 久保田達 1973/11/23 三部対抗(立川)
[女子」
100M 13秒3 徳永賞子 1973/11/7 全国青年大会(国立)2位
200M 28秒4 山田由紀子 1971/11/12 全国青年大会(国立)1位
4×100M 53秒6 徳永、堀口、山田、福井 1972/6/18 葛飾区民大会1位
走幅跳 4M95 福井裕子 1972/5/14 葛飾区民大会(市川)1位
走高跳 1M30 遠藤英子 1972/5/14 葛飾区民大会(市川)1位
注) 三部対抗とは、楓AC、葵AC、霞ケ丘ACの3つのクラブによる対抗試合。