ふるさとのチカラ 新しい和歌山のために

日々の活動の中で私なりに感じたことを私らしく素直に綴って参ります。

「和歌山城」一考

2016年01月22日 | オピニオン

 年明け1月4日の日本経済新聞の朝刊に「木造天守 城に託す夢」という特集が掲載されました。

名古屋城、駿河城などの例をとりあげ天守閣の木造再建する動きについて取材されています。戦後再建したコンクリート造りの城が老朽化する中、建て替えで外国人旅行客の誘致にもつなげられるとの考えです。 私はかねてより観光は地方の経済を活性化するための極めて可能性の高い成長分野だと訴えて参りました。和歌山市内を中心に皆様方も多くの外国人観光客の姿を御覧になっていることと存じます。今、テーマとする和歌山城や周辺にも外国人旅行客を乗せたバスが連日訪れるようになりました。

そこでこの私たちの和歌山城でも天守の木造再建を検討してはどうかと提案をします。今、私たちが毎日仰ぎ見ている天守閣は、昭和20年に空襲によって焼失しその後、先人の力によって昭和33年に再建されたものです。焼失前の天守の姿を今は窺い知ることはできませんが、年配の方の話ですと今より一回り大きく、そして「国宝」に指定された立派な重要文化財であったそうです。再建後の現天守は間もなく築60年と一般的な鉄筋コンクリート造の寿命を迎えようとしています。南海トラフ大地震が心配されている中「耐震」についても慎重に対応しなければならない時期が来ています。戦争で時を同じく焼失した全国各地のお城にて同じような検討がされ始めている今こそ、私は「和歌山城」も是非木造再建を考えてはどうかと思います。

メリットは数多くあります。まずは観光資源としての価値が格段に上がります。最近改修された姫路城では年間入場者が既に倍増している所です。また、技術や資材という点でも効果があります。大工、左官、瓦、畳、建具などの後継者や技術の伝承が心配されている分野に再建工事を通じて希望の光をあてることができると思います。また特に本県は古くから「木の国」と言われ有数の森林資源を擁しています。しかし木材の活用はなかなか難しい現状の中、工事を通じて需要を発生させ、また県民や消費者の「木造」への注目を集めることができます。そして今、最も心配される「耐震」の問題も解決していくことができます。

木造再建の意義を上げればこの他まだまだたくさんのポイントがありますが最後に最も重要な意義と私が考える点があります。それは、このことを市民、県民が関心を持ち話題にできるということです。よく「和歌山の観光資源は?」という話をすると多くの方が和歌山城とお答えになります。しかし、どれだけご存知か、直近いつ行かれたかとお尋ねすると私も含め知識を持ち合わせていなかったり、子供の頃に行ったきりで近年は全く行ったことがないと言われる方が大変多いのに驚きます。この議論に興味を示して頂き、和歌山城を知ってそして日常の中でよりお城を意識してもらう、このことが最も意義のあることかと思っています。和歌山市民はもとより県民全員がこの故郷「紀州」のシンボルの和歌山城に大いに関心を示し自らの協力によって木造再建を果たしていく。そしてその新しいシンボルに向け多くの観光客が県外、国外から訪れる。和歌山の経済が活気づく。そんな夢を多くの皆様と共有できればと思います。 尾張名古屋は城で持つ、と言われますが紀州和歌山も負けるわけにはいきません。