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風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

出稼ぎに出るコウノトリ 353号

2008年08月31日 11時08分52秒 | 随想
国の特別天然記念物コウノトリの野生復帰事業を進めている兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園(豊岡市)は、市内にある屋外の人工巣塔で今年巣立った8羽のうち、1羽は直線距離で500キロ以上離れた長崎県佐世保市で、2羽が兵庫県南あわじ市や奈良県で目撃されたと報道する。

昨年7月に46年ぶりに公園の外で巣立った幼鳥1羽はいまも豊岡市にいる。

コウノトリは留鳥として民家近くに農民と共生していたが、文明開化以後の乱獲や巨木の伐採などにより棲息環境が悪化し、1986年に国内繁殖野生個体群は絶滅した。

寒冷地方の農民が、冬季などの農閑期に首都圏の建設現場などに現金収入を求めて出稼ぎしていた。越後出身の今太閤・田中角栄が雪国でも暮らせるようにと、日本列島改造論を唱え、田舎の公共事業が増え、次第に出稼ぎの数は減っていった。

高速道路網が完成すると、若者達は長期出稼ぎの為都会に移住し、高齢の農民が田舎に放置された。

その時期にコウノトリの野生化に成功した。留鳥のコウノトリは、餌が水田に豊富に存在すれば、地域を出ることは無いが旅に出る。餌を求める出稼ぎである。

西洋物欲主義が崩壊し、人々が田舎で農業に励む心の日本人復活論が唱えられ、美しい日本の田舎が再生した時に、コウノトリの出稼ぎが終わる。

江戸時代の鎖国政策を解除した明治時代から破壊し続けた日本の田舎を復興するには200年以上の歳月が必要である。

コウノトリが空を舞い、朱鷺が水田でドジョウを啄む情景を空想できるけれども、実際に目撃するのは絵空事・机上の空論である。

現代人には犬に論語・豚に真珠・猫に小判で二階から目薬の絵に描いた餅・大風呂敷を広げる・大言壮語の文章になった。

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