山鳴動してねずみ一匹 ３５２号

草木も眠る丑三つ時、物凄い雷撃と豪雨の音で目を覚ます。明日の過酷な労働に備えて、焼酎を飲んで熟睡していた。通常は５時３０分の目覚時計で起床する。異常事態である。

気象庁によると、愛知県岡崎市では午前２時までの１時間に１４６ミリの雨を記録。観測史上全国７番目の記録的な豪雨となった。

束の間、屋外を観測し安全確認し、厚手のカーテンを閉め、再度就寝を再開した。

早朝、新聞を取りに玄関を出るが、雨の後の平穏な景色である。ご近所は就寝中のようで、静寂が支配している。

朝のテレビは異常な報道である。岡崎市災害対策本部は８月２９日午前２時１０分、市内全域の１４万世帯、３７万６２６６人に避難勧告を出した。

小泉改革による財源移譲の高額住民税を支払う我が家には連絡が皆無であるから安眠していた。知らぬが仏の言葉は真実である。

避難所に集まった市民は、最大時でも５１人だけである。避難率は０・０１３％と低く市民全員が避難勧告を無視したのである。

知人・親戚から見舞いの電話やメールが入る。避難勧告は県外の方々への広報活動だった。そのまんま東・宮崎県知事と同様、ＮＨＫに岡崎市は感謝しないといけない。遂に全国区の知名度を獲得することが出来た。

岡崎ナンバーの車で全国を旅すると、お見舞いを頂いて高額の住民税を回収できるかもしれない。被害が無かったから、悪い冗談が言える。

被害に遭われた住民は桜の名所・岡崎市伊賀町界隈の極限られた地域の皆さんだった。災害を誇大して衝撃的に全国に発信することよりも、地域の住民に正確で詳細な情報を提供するのが真の公共放送の使命だと思う。放送業界は情報操作して、人の不幸を喜ぶ悪魔を志向している印象が強いのである。その姿勢が日本人に微妙に影響している。