上越教育大学 玉村研究室

音楽コース玉村ゼミ 活動報告とご案内

学会発表をします

2013-02-27 | ご案内

来たる3月9日(土)、
新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」にて
日本音楽教育学会平成24年度北陸地区例会が開催されます。

今回も本コースから教員と院生が複数参加し、発表を行います。
不詳私めも日頃考えていることをまとめてお話しします。
会員以外の方も参加できますので、お誘いあわせの上お出かけください。

日本音楽教育学会平成24年度北陸地区例会
日時:平成25年3月9日(土)13:15~17:00
会場:新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」講義室B
(新潟駅より徒歩1分、http://wwwl.niigata-u.ac.jp/tokimate/)

<研究発表>
(1) 野田由佳理(新潟大学大学院教育学研究科院生)
「特別支援教育におけるリズム同期の為の一考察
――プレーバンドを用いた実践を通して」
(2) 渡邉めぐみ(上越教育大学大学院院生)
「郷土芸能の教材化における舞の創作活動の意義」
(3) 手島育
「祭礼の持続と担い手の交流を結ぶ「共同表現」の展開
――東京都檜原村における三匹獅子舞の教授関係をめぐって」
(4) 古市茂(新潟大学大学院教育学研究科院生、新潟市立白根北中学校)
「大石哲史の歌唱指導を考察する」
(5) 内海昭彦(新発田市立二葉中学校)
「〈脳で聴く力〉を育てる音楽鑑賞教育の提案
――メンタル・イメージ、記憶、創造性をめぐって」
(6) 尾崎祐司(上越教育大学)
「高等学校の音楽学習におけるJ-POPでの〈教育内容〉について
――教科書掲載曲の歌詞に描かれる〈憧憬〉」
<提言>
玉村恭(上越教育大学)
「能を教材化するための視点――《羽衣》を題材に」


今回私は、「提言」という形で、日本の伝統音楽の教材化について
思うところを述べさせて頂く予定です。
具体的な教材案を提示することも考えています。
日頃、多くの先生方や関係者の方々と意見交換と情報交換をさせて頂いています。
そうした中で得られた視点や見えてきた方向性を
生かした提言をしたいと思っていました。
まだまだ模索の途中の段階ではあるのですが、
それを見て頂くのも今後のさらなる展開のために必要なことかと思います。
御批判や御意見を頂けたら幸いです。


音楽劇公演

2013-02-23 | 報告



学部生による創作音楽劇公演が無事終了しました。
「身内」ながら本当に素晴らしかった。
荒天のなか見に来て下さった皆様ありがとうございました。

本学の創作音楽劇を見るのはこれで四回目になります。
学部生は大学院生とは違って本学で学ぶ前に
音楽大学などで専門の教育を受けてきたわけではありません。
むしろここで学んだことが全てこの場に集約されています。
(ここで学んだこと「だけ」が集約されるのです)
腕前とか作品のできということだけで言えば
それはその筋の方から見ればまだまだというほかないでしょう。
それでも学生たちのことをよく知っている私たちからすれば
やれることを本当に出し切ったと思いますし
そうすることができたということを誇りに思います。





見に来て下さったある方も言っていたのですが、
本当に彼らのために作られたのではないかと思わせるくらい、
それぞれのキャラクターが合っていましたね。
キオスクの歌と踊り(?)は爆笑ものでした。
陽子は口は悪いけどやさしい子です。
リンは本当にいいヤツです。
綾子は今も人知れず人を救っているでしょう。



当て書きではありません。ちゃんと原作があります。
しかも不思議なことに原作の雰囲気がかなり忠実に残っています。
台本の選定を慎重にやったということもあるのでしょうが、
変な話、作り手の「愛」も少なくないのではないでしょうか。
歌舞伎でも「ニン」ということを言います。
これはある種生まれもってのもので、
本人がどうやりたいということとは別にある程度役柄を
規制ないし規定してしまうものなのだと言います。
だからといってまったく本人の自由がないかといえば
そういうわけではない。本人の努力次第で
役柄とのすりあわせが行なわれ
うまくすれば役柄の方を変化させていける。
(今まで気づかれなかった新しい側面が引き出される)
そういうことがあるのだそうです。
学生たちは今後も様々な「すりあわせ」をしていくことになるでしょう。
その時に、意識するとしないとにかかわらず(してほしいですが)
今回のこの経験が生きてくることになると思います。





舞台を陰で支えた裏方さんたちのことを忘れるわけにはいきません。
皆の力が一つになっての成功だったと思います。
写真撮影のときキメのポーズはバッチリでしたね。
お疲れさまでした!


創作音楽劇間もなくです

2013-02-20 | ご案内

学部4年生による創作音楽劇公演が、
いよいよ今週土曜日(23日)に迫っています。
4年生が主体とはいえ、3年生、2年生も協力し
他コースの学生や大学院生まで動員して
文字通り全コース体制で作り上げた作品です。
学生たちはこのところ缶詰で準備に取り組んでいます。
少しだけ稽古を見ましたがいい仕上がりになりそうでした。
こういうのを見ていると学生たちの力というのは
本当に無限だと改めて思います。
研鑽の成果をご覧いただければと思います。
皆さまのお越しをお待ちしています。




上越教育大学音楽コース
創作音楽劇公演《宇宙のみなしご》


日時: 平成25年2月23日(土)14時開演(13時半開場)
場所: 上越教育大学講堂 ※入場無料
原作: 森絵都(第33回野間児童文芸新人賞 受賞)

真夜中の屋根のぼりは、
陽子・リン姉弟のとっておきの秘密の遊びだった。
不登校の陽子と誰にでも優しいリン。
やがて、仲良しグループから外された少女、
パソコンオタクの少年が加わり…。
(amazon「内容紹介」より)

修論発表会

2013-02-13 | 報告

大学院2年生および3年生による
修士論文発表会が行われました。
先日修了演奏会が終ったばかりの修了生たち。
こんどは論文の研究成果発表です。
2年もしくは3年の研鑽の成果が凝縮されたもので、
私にとってもほぼ初めて聞く内容のものから
日頃からゼミ等で議論を積み重ねてきたものまで幅広く、
さすがに聴きごたえがありました。



聞いていて改めて思ったのは、
音楽コースとして当然のこととはいえ、
実技と論文を並行して進めてきた結果
議論にとても厚みというか奥行きが感じられるということです。
いわゆる実技系の教科・科目においては、
「理論」と「実践」のバランスがたいへん重要です。
どちらにどのくらいの比重を置くかはそれぞれの立場でしょうが
私たちは(少なくとも私は)二兎を追って二兎(もしくはそれ以上)を得ることが
大切だと思いますし、もっと言えば
二兎を追わざる者は一兎をも得ないという考えを持っています。
その意味からすれば、本コースの学生たちはとてもいい「戦い」をしてきたし、
それを今後もぜひ続けて欲しいと思います。



あれもこれもと言うと、
欲張り過ぎと言われるかも知れません。
このことに関して、私がよくたとえとして使う話があります。

人間の視野というものは
ある程度人種的に限定されていると聞いたことがあります。
日本人は例えばアフリカ系の人々に比べると生まれつき視野が限られているのだそうです。
いわば生まれ持っている才能が違うということですね。
それでは日本人は例えば何かのスポーツで
世界を相手に戦えないのかというと必ずしもそうではない。
たとえ生まれつき広い視野を持っていても、
それをフルに使えているかどうかはまた別問題。
狭い視野しかもっていなくても、それを100%使い切れるのであれば
「生まれつきの才能の限定性」は十分に補い克服できる。
そういう話です。





もちろん私は、人種主義的・骨相学的な
いわゆる似非科学としての観相学に与するものでは決してありません。
上の話も真偽を確かめたわけではないので
軽々しく言えることではないかも知れません。
それでも、短いながら研究活動を続けてきて
何かしらリアリティーを感じるところがあるのも事実です。
今日発表した学生たちはそこまで考えていないとは思いますが
彼らが今後さらに経験を積み研鑽を重ねていくことを
願ってやみません。

附属新潟小研究会

2013-02-08 | 報告


新潟大学教育学部附属新潟小学校で行われた
平成24年度初等教育研究会を参観してきました。
附属新潟小は新大教育学部直属、いわば肝いりの(?)学校です。
毎年意欲的かつ刺激的な実践が行なわれています。
今回も音楽科担当の石見先生に声をかけて頂き、行ってきました。




今年は全体テーマが
「創造的思考力を高める授業」ということでしたが、
音楽科ではなんと小5の子たちが12音技法に挑戦。
もちろんいわゆる20世紀ヨーロッパの「12音音楽」を
そのままの形で伝え、やらせるわけではありません。
純粋に音を音として捉え、また構造を工夫するところから
音楽の本質にせまっていこうとする授業です。

私たちおとなはどうしても子どもたちのことを
「小さく」捉えてしまいがちで
なまじ音楽史の知識があり
人びとがどこにつまづきそれをどう克服してきたかを知っているぶん、
往々にして「これは子どもには無理だろう」と決めてかかってしまいます。
しかし人間というのは大したもので
やればできるというのはこういうことを言うのだと思いました。
もちろん彼らがシェーンベルクと同じような意味で
「十二音」を捉えたわけではありません。
それでも、やりようによってはいわゆる「前衛」的なものにまで
児童生徒たちはひとっとびで行き得るのだということを
目の前で見せつけられた思いです。
(「ひとっとび」がいいことなのかどうかは議論があるでしょうが)



いずれにしても、鑑賞から創作、
表現にまでわたるきわめて広い射程を持つ実践で、
大いに刺激を受けて帰りました。
参会者も多かったですね。協議会の議論も盛り上がりました。
ここからまた新しい試みが熟成されていけばいいなと思います。



帰りに新潟市内を少し歩いてきました。
昨年は確か大雪・大嵐で建物の外に出るのも難儀でしたね。
ところで、新潟に「大仏」があるのをご存知でしょうか?
三越の近く、通りを少し入ったところにあります。
ビルが密集する中にあるお寺の、屋根の上ににヌッと立っています。
お顔もいかめしいのでちょっと怖い‥
(弘願寺というお寺の、弘法大師さまの像だそうです)


能楽特別講義2

2013-02-05 | 報告

津村先生の能楽特別講義、
午前は大人数での一斉講義でしたが
午後は人数を絞り、場所も座敷に移って
より「密着」した形での指導をして頂きました。
私がこの企画を立案した時、どうしてもやりたかったのが
学生たちに「稽古」を体験させることです。
(一年前のゼミ合宿でも試みました)
ワークショップや体験授業も大事なのですが
やはり伝統芸能を支えてきた独特の伝承の形である「稽古」を、
身をもって体験することが大切なのではないかと考えているのです。



これから教師になる学生たちにとって
この経験は大きなものになるはずです。
もちろん「学級」の中でこのままの形でなされるわけではありません。
それでも、古典的・伝統的な伝承法がどのような人間観に立脚し
どのような「成長」の課程を描いているのか
知っておくのは無駄ではないはずです。



津村先生は文字通り手取り足取り教えてくださいました。
いろいろな情報がいっぺんに来たので学生は面食らったかも知れません。
何しろ、形の指示もあれば心もちの指示もある、
そうかと思えば昔の体験談が語り出され、
いつの間にか現代的な芸術現象との比較が始まり‥
とにかくめまぐるしかったです!



古典を「現代のもの」として愛する津村先生の御指導に
一同深い深い感銘を受けました。
ほんとうに貴重な経験をさせて頂きました。
ありがとうございました。


能楽特別講義

2013-02-04 | 報告

観世流能楽師の津村禮次郎先生をお招きし、
能楽特別講義を開催しました。
大学院授業「人間科学と教材開発」の履修者を中心に、
身体表現とその教材化に関心のある学生に声をかけ、
多くの参加者が集まりました。
この催しは、美術の阿部靖子先生、体育の大橋奈希左先生と
共同で進めている新しいアート教育の教材開発に関する研究の一環として
科学研究費による補助を受けて実現したものです。



学科として音楽、美術、体育は今は分かれてしまっていますが、
アートないしパフォーマンスの観点から見れば
これらをきっちり分けて考えるのはおよそナンセンスと言うべきでしょう。
既存の学科の枠組みの中に「身体」とその「運動」、
五感の連動した営みとしてのパフォーマンスをどのように位置づけていくか、
そのことを考えるのに、能を始めとする日本の伝統文化は大きなヒントを与えてくれます。



能の歴史から説き起こして基本的な体の使い方まで
短い時間で一気にやってしまったので
学生たちには少し負荷が大きかったかも知れません。
それでも、コンテンポラリーダンスの素養のある学生などは
体の使い方や教え方に強い関心を持ったようです。






卒業・修了演奏会

2013-02-03 | 報告

学部4年生と大学院2年生・3年生による
卒業・修了演奏会が行なわれました。
論文発表会に並ぶ演奏分野での研究の総決算であり、
学生としての最後の晴れ舞台でもあります。
学部生は卒論の執筆および音楽劇の制作と、
大学院生は修論の執筆と並行で勉強を進めてきました。
言うまでもなく複数のことを同時に進めていくのは大変なことです。
だいぶ表情がくたびれた学生も多かったですが(笑)
この経験を経て人間的にもだいぶ成長したのではないでしょうか。


寒さのしみるこの時期、まずまずの天候に恵まれました。
時おり青空も。






どの演奏も力がこもっていました。
中には、自ら作曲した作品を自ら振るという試みも。
吹奏楽プラス合唱の大編成で、舞台から人があふれそうでした。
《千人の交響曲》とまではいきませんが、これは気持ちがよかったでしょうね。
※この演奏シーンの一部が後日「上越タイムス」に掲載されました。


持てる力を出し切れたでしょうか。