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読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

ザ・ロード

2014年05月30日 | ★★★★☆☆(お勧め)
コーマック・マッカーシー/著 黒原敏行/訳(ハヤカワepi文庫)
2007年ピューリッツァー賞フィクション部門、2006年ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞受賞作

空には暗雲がたれこめ、気温は下がりつづける。目前には、植物も死に絶え、降り積もる灰に覆われて廃墟と化した世界。そのなかを父と子は、南への道をたどる。掠奪や殺人をためらわない人間たちの手から逃れ、わずかに残った食物を探し、お互いのみを生きるよすがとして──。世界は本当に終わってしまったのか? 現代文学の巨匠が、荒れ果てた大陸を漂流する父子の旅路を描きあげた渾身の長篇。ピュリッツァー賞受賞作

日本サッカーはなぜシュートを撃たないのか?

2014年05月22日 | ★★★★☆☆(お勧め)
熊崎敬(文春文庫)

Jリーグ発足から21年、日本サッカーは確かに強くなった。世界の強豪を相手に互角に戦う場面も増えてきた。だが、その試合を見守る誰もが、こう怒鳴った経験があるはずだ。「なぜ、そこでシュートを撃たないっ?!」。国内外のサッカーを最前線で取材してきた著者が、実体験を武器に日本サッカー界の宿痾に迫る「問題の書」。

東京難民

2014年04月30日 | ★★★★☆☆(お勧め)
福澤徹三(光文社文庫)

(上)
時枝修は、東京郊外にある私立大学の三年生。夏休み明けにクラス担任から告げられたのは、学費未納で除籍になるという寝耳に水の事実だった。北九州の実家では、借金を抱えた両親が失踪。貯金はないに等しい。アルバイトを転々とする中、家賃滞納で住居も追い出されてしまう。追いつめられる修。だが、それはまだ、底なしの貧困と孤独への入口に過ぎなかった──。
(下)
行き場を失った修は、ホストとして働く決意をする。大金が飛び交うきらびやかな世界。だが、そこは、男と女の色と欲がせめぎあう凄まじい格差社会だった。必死で自分の居場所を作ろうとする彼に、さらに大きなトラブルがふりかかる! 流転を続ける修に、安住の地は見つかるのか? 索漠とした大都会の底辺であがく若者の姿をリアルに描く、異色青春小説の傑作。

神様のカルテ3

2014年04月22日 | ★★★★☆☆(お勧め)
夏川草介(小学館文庫)

「私、栗原君には失望したのよ。ちょっとフットワークが軽くて、ちょっと内視鏡がうまいだけの、どこにでもいる偽善者タイプの医者じゃない」 内科医・栗原一止が三十歳になったところで、信州松本平にある「二十四時間、三百六十五日対応」の本庄病院が、患者であふれかえっている現実に変わりはない。夏、新任でやってきた小幡先生は経験も腕も確かで研究熱心、かつ医療への覚悟が違う。懸命でありさえすれば万事うまくいくのだと思い込んでいた一止の胸に、小幡先生の言葉の刃が突き刺さる。映画もメガヒットの大ベストセラー、第一部完結編。解説は姜尚中さん。

星間商事株式会社社史編纂室

2014年04月17日 | ★★★★☆☆(お勧め)
三浦しをん(ちくま文庫)

川田幸代29歳は社史編纂室勤務。姿が見えない幽霊部長、遅刻常習犯の本間課長、ダイナマイトボディの後輩みっこちゃん、「ヤリチン先輩」矢田がそのメンバー。ゆるゆるの職場でそれなりに働き、幸代は仲間と趣味(同人誌製作・販売)に没頭するはずだった。しかし、彼らは社の秘密に気づいてしまった。仕事が風雲急を告げる一方、友情も恋愛も五里霧中に。決断の時が迫る。解説・金田淳子

白ゆき姫殺人事件

2014年03月27日 | ★★★★☆☆(お勧め)
湊かなえ(集英社文庫)

化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人人への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方、匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。

僕の明日を照らして

2014年03月20日 | ★★★★☆☆(お勧め)
瀬尾まいこ(ちくま文庫)

中学2年生の隼太は、この春に名字が変わった。シングルマザーだった母が、町で人気の歯医者と結婚したのだ。すごく嬉しかった。なのに……。優ちゃんはときどきキレて隼太を殴る。母さんは気づかない。隼太が、優ちゃんの抗議をものともせず全力で隠しているからだ。この孤独な闘いから隼太が得たものはなにか。友だち、淡い初恋、そしてこの家族に、選択の時が迫る。解説 岩宮恵子

下町ロケット

2014年02月14日 | ★★★★☆☆(お勧め)
池井戸潤(小学館文庫)
第145回直木賞受賞作

研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた──。男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編! 第145回直木賞受賞作。(解説・村上貴史)

シークレット・レース ツール・ド・フランスの知られざる内幕

2014年01月16日 | ★★★★☆☆(お勧め)
タイラー・ハミルトン/著 ダニエル・コイル/著 児島修/訳(小学館文庫)

ドーピング、隠ぺい、手段を選ばぬ勝利の追求──自転車レースを支配するシリアスな闇の世界に、ランス・アームストロングのマイヨジョーヌに貢献した元プロ自転車選手のタイラー・ハミルトンとノンフィクション作家のダニエル・コイルがメスを入れる。煌びやかなプロ自転車競技界の裏側にある幾重にもつらなった腐敗を暴き、かつ恐ろしいまでに不穏な世界を暴きだす。「本書は現時点における、プロ自転車競技の薬物問題に関する最も包括的で誰もが入手できる報告である」(NYタイムズ紙)。元プロ自転車選手ならではの心理を克明に描いた傑作ノンフィクション。

聖夜

2014年01月07日 | ★★★★☆☆(お勧め)
佐藤多佳子(文春文庫)

学校と音楽をモチーフに少年少女の揺れ動く心を瑞々しく描いたSchool and Musicシリーズ第二弾。物心つく前から教会のオルガンに触れていた18歳の一哉は、幼い自分を捨てた母への思いと父への反発から、屈折した日々を送っていた。難解なメシアンのオルガン曲と格闘しながら夏が過ぎ、そして聖夜── 解説・上橋菜穂子

【再読】鳶がクルリと

2014年01月04日 | ★★★★☆☆(お勧め)
ヒキタクニオ(新潮文庫)

上司に嫌気がさし一流企業の総合職を捨てた貴奈子は、叔父が主宰する鳶集団「有限会社日本晴れ」を手伝い始めた。でも鳶って何? 軍事オタクの双子、受験偏差値マニア、刑務所帰りの男にその生意気な娘……。貴奈子は一癖ある面々に当惑する。だが、己の意地を賭け、巨大彫刻を取り付ける損得抜きの大仕事に命を張る鳶達の姿に、貴奈子の胸は熱くなる。粋な心意気に気分は日本晴れだ!

純平、考え直せ

2013年12月26日 | ★★★★☆☆(お勧め)
奥田英朗(光文社文庫)

坂本純平は気のいい下っ端やくざ。喧嘩っ早いが、女に甘くて男前。歌舞伎町ではちょっとした人気者だ。そんな彼が、対立する組の幹部の命を獲ってこいと命じられた。気負い立つ純平だが、それを女に洩らしたことから、ネット上には忠告や冷やかし、声援が飛び交って……。決行まで三日。様々な出会いと別れの末に、純平が選ぶ運命は? 一気読み必至の青春小説!

感染遊戯

2013年12月17日 | ★★★★☆☆(お勧め)
誉田哲也(光文社文庫)

会社役員刺殺事件を追う姫川玲子に、ガンテツこと勝俣警部補が十五年前の事件を語り始める。刺された会社役員は薬害を蔓延させた元厚生官僚で、その息子もかつて殺害されていたというのだ。さらに、元刑事の倉田と姫川の元部下・葉山が関わった事案も、被害者は官僚──。バラバラに見えた事件が一つに繋がるとき、戦慄の真相が立ち現れる! シリーズ最大の問題作。

市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日

2013年12月12日 | ★★★★☆☆(お勧め)
椰月美智子(講談社文庫)

朝は、いとも簡単にやってくる。8時09分、瑞希は決まらない髪型に悩み、10時24分、貴大は里中さんを好きになる。12時46分、グループ分けで内海があぶれ、12時59分、みちるは嫌いな人にイヤと言えないでいる──。少年少女小説の第一人者の手で描かれた、中二思春期、今しか存在しない輝いた時間。<解説・名越康文>

2013年12月06日 | ★★★★☆☆(お勧め)
三浦しをん(集英社文庫)

島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするが──。渾身の長編小説。