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読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

おまえのすべてが燃え上がる

2017年07月22日 | ★★★☆☆☆(満足)
竹宮ゆゆこ(新潮文庫nex)

逃げて、逃げて、逃げて。私は“彼”に出会う。
樺島信濃は、逃げていた。誰から?包丁を持った女から。なぜ? 愛人であることがバレたから。逃げて、逃げて、逃げて。今はスポーツジムのアルバイト。けれど、給料では生活費すら賄えず、貢がれたブランド品を売って、なんとか暮らす二十六歳の日々。これではダメだ。わかっている。でも。そんなある日、弟が元恋人とやってきて……。愛とは。家族とは。切なさ極まる長篇小説。

ケモノの城

2017年07月14日 | ★★★☆☆☆(満足)
誉田哲也(双葉文庫)

警察は、自ら身柄保護を求めてきた少女を保護した。少女には明らかに暴行を受けたあとがあった。その後、少女と同じマンションの部屋で暮らしていた女性を傷害容疑で逮捕するが、その女性にも、暴行を受けていたと思われる傷があった。やがて、少女が口を開く。お父さんは、殺されました──。単行本刊行時に大反響を呼んだ問題作がついに文庫化。読者の心をいやおうなく揺さぶる衝撃のミステリー。

自分を好きになる方法

2017年05月30日 | ★★★☆☆☆(満足)
本谷有希子(講談社文庫)
第27回三島由紀夫賞受賞作

16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。

ガソリン生活

2017年05月11日 | ★★★☆☆☆(満足)
伊坂幸太郎(朝日文庫)

のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死! パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ……!? 車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、仲良し家族の冒険譚! 愛すべきオフビート長編ミステリー。《解説・津村記久子》

冬空トランス

2017年03月07日 | ★★★☆☆☆(満足)
長沢樹(角川文庫)

少女はなぜ4階のこの教室から飛び降りなければならなかったのか? 撮影不可能な映像はいつどうやって撮られたのか? タイムリミットは一晩。絶体絶命の完全密室から、脱出することはできるのか? 屋上観覧車、校舎、放送室……様々な場所に仕掛けられた難解トリックに“可愛すぎる名探偵”樋口真由が挑む。文庫書き下ろし「『消失グラデーション』真の解決編」も収録した、横溝賞〈大賞〉受賞作家、真骨頂の学園ミステリ決定版!

オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ

2016年09月26日 | ★★★☆☆☆(満足)
森達也(角川文庫)

「オレは結局スプーン曲げちゃうよ。本音は曲げたくないけど、みんなの期待がわかるから」職業=超能力者。ブームは消えても、彼らは消えてはいない。超常現象、その議論は「信じる・信じない」という水掛け論に終始していた。不毛な立場を超え、ドキュメンタリー監督がエスパー、超心理学者、陰陽師、メンタリスト等に直撃!! 否定しつつも、多くの人が惹かれ続ける不可思議な現象。その解明に挑んだ類書なきルポ。解説・高野和明

高校入試

2016年05月09日 | ★★★☆☆☆(満足)
湊かなえ(角川文庫)

県下有数の公立進学校・橘第一高校の入試前日。新任教師・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を見つける。迎えた入試当日。試験内容がネット掲示板に次々と実況中継されていく。遅れる学校側の対応、保護者からの糾弾、受験生たちの疑心。杏子たち教員が事件解明のため奔走するが……。誰が嘘をついているのか? 入試にかかわる全員が容疑者? 人間の本性をえぐり出した、湊ミステリの真骨頂!

望郷

2016年04月23日 | ★★★☆☆☆(満足)
湊かなえ(文春文庫)
第65回日本推理作家協会賞短編部門受賞作

暗い海に青く輝いた星のような光。母と二人で暮らす幼い私の前に現れて世話を焼いてくれた“おっさん”が海に出現させた不思議な光。そして今、私は彼の心の中にあった秘密を知る……日本推理作家協会賞受賞作「海の星」他、島に生まれた人たちの島への愛と憎しみが生む謎を、名手が万感の思いを込めて描く。 解説・光原百合

公開処刑人 森のくまさん

2016年04月09日 | ★★★☆☆☆(満足)
堀内公太郎(宝島社文庫)

公開処刑人「森のくまさん」。犯行声明をネットに公表する連続殺人鬼だ。捜査本部は血眼で犯人を追うが、それを嘲笑うかのように惨殺は繰り返され、世間は騒然となる。殺されたのはレイプ常習犯やいじめを助長する鬼畜教師など、指弾されても仕方ない悪党ばかりで、ネットには犯人を支持する者まで出始めていた。一方、いじめに苦しみ、自殺を図ろうとした女子高生の前に、謎の男が現れ……。

永遠をさがしに

2016年03月31日 | ★★★☆☆☆(満足)
原田マハ(河出文庫)

「響き合う幸せを、音楽を愛する人々と分かち合うために。ふたりはチェロを弾き続けていたんだね」。世界的な指揮者の父とふたりで暮らす、和音十六歳。そこへ型破りな“新しい母”がやってきて──。親子の愛情、友情、初恋、そして実母との奇跡の再会。音楽を通して描くドラマチックな感動物語。◎解説=宮下奈都

ガッツン!

2016年02月29日 | ★★★☆☆☆(満足)
伊集院静(双葉文庫)

山口から上京してきた貧乏学生のユウトに、料亭の娘・マチコ。そして、将来はエリート官僚になることを目指すカズマ。生まれも育ちも全く違う三人が東京・神楽坂の街で出会った。ユウトは、あることからヤクザ者と麻雀で勝負をすることに。その場に居合わせたマチコは麻雀に興味を持ち、カズマはユウトの打ち方に疑問を覚える……。麻雀を通して若者の成長と青春の輝きをノンストップで描く、魅力的な大人たちの滋味溢れる言葉とともに贈る麻雀青春小説、待望の文庫化!

境遇

2016年02月25日 | ★★★☆☆☆(満足)
湊かなえ(双葉文庫)

政治家の妻であり、息子のために描いた絵本『あおぞらリボン』がベストセラーとなった高倉陽子と、新聞記者の相田晴美は親友同士。共に幼いころ親に捨てられ児童養護施設で育った過去を持つ。ある日、「息子を返してほしければ、真実を公表しろ」という脅迫状とともに、陽子の息子が誘拐された。「真実」とは一体何なのか。そして犯人は……。
絵本『あおぞらリボン』(作・みなとかなえ、絵・すやまゆうか)を特別収録。

大絵画展

2016年02月18日 | ★★★☆☆☆(満足)
望月諒子(光文社文庫)
第14回日本ミステリー文学大賞新人受賞作

ロンドンのオークションでゴッホ作「医師ガシェの肖像」を日本人が競り落とした。落札価格は約百八十億円。時は流れ、日本のバブルが弾け、借金で追いつめられた男女にある依頼が持ちかけられる。それは倉庫に眠る「ガシェの肖像」を盗んで欲しいというものだった……。第14回日本ミステリー文学大賞新人に輝く、痛快にしてスリリングなコンゲーム小説の傑作!

幸せの条件

2015年12月30日 | ★★★☆☆☆(満足)
誉田哲也(中公文庫)

恋も仕事も中途半端、片山製作所勤務の「役立たずOL」梢恵に、ある日まさかの社命が下される──単身長野に赴き、新燃料・バイオエタノール用のコメを作れる農家を探してこい。行く先々で断られ、なりゆきで自ら農業見習いを始めた24歳に、勝算はあるか!? 働くこと、生きることの意味を問う、『ジウ』シリーズ著者による新境地。 〈解説〉瀧井朝世

アニバーサリー

2015年10月13日 | ★★★☆☆☆(満足)
窪美澄(新潮文庫)

母親との確執を抱えて育ち、望まれない子を妊娠、たった一人で出産を迎えようとするカメラマンの真菜。七十歳を過ぎても、育児中に始めたマタニティスイミングの指導員を続ける晶子。あの日、あの震災が、二人を結びつけた──。食べること、働くこと。子供を産み、育てること。世代の違う二人の物語を丁寧に紡ぎつつ、時代とともに変わりゆく女性たちの生を凝視した渾身の長編小説。