goo blog サービス終了のお知らせ 

読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

イノセント・デイズ

2017年06月26日 | ★★★★★☆(最高!)
早見和真(新潮文庫)
第68回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門受賞作

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。

サッカーデイズ

2016年04月03日 | ★★★★★☆(最高!)
杉江由次(小学館文庫)

小学生の娘が入団した、地域の少女サッカーチームのコーチになってしまった父。サッカーは見るのもやるのも大好きだけれど、人にものを教えることは大の苦手という彼が、やがて子どもたちのプレイに夢中になり、仕事以外の時間のほとんどを練習や試合に捧げるようになる。運動が苦手だったはずの娘は、悔しさやチームメイトの信頼と友情を糧に、レギュラーを勝ち取るまでに成長していく──。 平凡だけれど時に泣きたくなるほど愛おしい、サッカーをめぐる父と娘の日常を描いたエッセイの文庫化。解説は、『オシムの言葉』の著者でジャーナリストの木村元彦氏。

大きな音が聞こえるか

2015年11月30日 | ★★★★★☆(最高!)
坂木司(角川文庫)

退屈な毎日を持て余す高1の泳。サーフィンをしている瞬間だけは、全てを忘れられる気がした。そんなある日、泳は“終わらない波”ポロロッカの存在を知る。「この波に乗ってみたい──」。こみ上げる想いに、泳はアマゾン行きを決意する。アルバイトや両親の説得を経て、退屈な日常が動き出す。降り立った異国で出会ったのは、様々な価値観と強烈な個性を持った人々。泳はもがきながらも、少しずつ成長していき……。解説・瀧井朝世

消失グラデーション

2015年08月04日 | ★★★★★☆(最高!)
長沢樹(角川文庫)
第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作

私立藤野学院高校のバスケ部員椎名康は、ある日、校舎の屋上から転落し、痛々しく横たわる少女に遭遇する。康は、血を流すその少女を助けようとするが、何者かに襲われ、一瞬意識を失ってしまう。ほどなくして目を覚ますと、少女は現場から跡形もなく消えていた!? 開かれた空間で起こった目撃者不在の被害者消失事件。複雑に絡み合う青春の傷と謎に、多感な若き探偵たちが挑む。第31回横溝正史ミステリ大賞〈大賞〉受賞作。

本日は、お日柄もよく

2013年08月09日 | ★★★★★☆(最高!)
原田マハ(徳間文庫)

OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的な スピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された! 目頭が熱くなるお仕事小説。

歓声から遠く離れて 悲運のアスリートたち

2013年07月24日 | ★★★★★☆(最高!)
中村計(新潮文庫)

類い稀なる才能を持ちながら、勝ち切れなかった人がいる。勝利の女神に翻弄され、己を見失った人がいる。栄光を手にする選手の陰で、最後のピースを探し、暗闇の中で彷徨う彼ら。勝敗が全ての世界で、彼らは何を考え、その果てに何を見つけたのだろうか。人生のままならなさに、懸命に、ときにしなやかに立ち向かう5人の軌跡。文庫オリジナルで贈る、傑作スポーツノンフィクション。

横道世之介

2013年06月17日 | ★★★★★☆(最高!)
吉田修一(文春文庫)
第23回柴田錬三郎賞受賞作

大学進学のため長崎から上京した横道世之介18歳。愛すべき押しの弱さと隠された芯の強さで、様々な出会いと笑いを引き寄せる。友の結婚に出産、学園祭のサンバ行進、お嬢様との恋愛、カメラとの出会い……。誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔。第7回本屋大賞第3位に選ばれた、柴田錬三郎賞受賞作。

バイバイ、ブラックバード

2013年04月15日 | ★★★★★☆(最高!)
伊坂幸太郎(双葉文庫)

星野一彦の最後の願いは何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」──これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。〈特別収録〉伊坂幸太郎ロングインタビュー。

史上最強の内閣

2013年03月25日 | ★★★★★☆(最高!)
室積光(小学館文庫)

北朝鮮が、日本に向けた中距離弾道ミサイルに燃料注入を開始した。中身は核なのか。支持率低迷と経済問題で打つ手なしの自由民権党の浅尾総理は、国家的な有事を前に京都に隠されていた「本物の内閣」に政権を譲ることを決意した。 指名された影の内閣は、京都の公家出身の首相を筆頭に、温室育ちの世襲議員たちでは太刀打ちできない国家の危機を予測し、密かに準備されていた強面の「ナショナルチーム」だった。果たして、その実力は? 書店員さん熱狂。「こんな内閣があったら」と願わずにはいられない全国民待望(のはず)の内閣エンタテインメント!!(解説は立川談四楼氏)

エデン

2013年01月12日 | ★★★★★☆(最高!)
近藤史恵(新潮文庫)

あれから三年──。白石誓は唯一の日本人選手として世界最高峰の舞台、ツール・ド・フランスに挑む。しかし、スポンサー獲得をめぐる駆け引きで監督と対立。競合チームの若きエースにまつわる黒い噂には動揺を隠せない。そして、友情が新たな惨劇を招く……。目指すゴールは「楽園」なのか? 前作『サクリファイス』を上回る興奮と感動、熱い想いが疾走する3000kmの人間ドラマ!

ペンギン・ハイウェイ

2013年01月01日 | ★★★★★☆(最高!)
森見登美彦(角川文庫)
第31回(2010)日本SF大賞受賞作

ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちに現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力で関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした──。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作。 解説・荻尾望都

ヤッさん

2012年11月19日 | ★★★★★☆(最高!)
原宏一(双葉文庫)

段ボール暮らしのタカオは見知らぬ中年男にたたき起こされた。「おめえ、それじゃ銀座でホームレスなんざ張っていけねえぞ」。訳もわからずついていくと、その男、通称ヤッさんは驚くべき食の達人で、築地市場と高級料理店を行き来して生活する、誇り高きホームレスだった。「旨い食いもんと人間が好きなこと」だけ確かな謎だらけのヤッさんは、時には料理人を叱り飛ばし、食の世界に起こるアツイ事件の解決に奔走する。やがて弟子入りしたタカオにも、成長を問われる試練が訪れるが……。愉快度バツグン、飛び出す啖呵も痛快なユーモア人情小説の決定版。

嫉妬事件

2011年12月28日 | ★★★★★☆(最高!)
乾くるみ(文春文庫)

城林大ミステリ研究会で、年末恒例の犯人当てイベントが開催され、サークル一の美人・赤江静流が、長身の彼氏を部室へ連れてきた当日、部室の本の上には、あるものが置かれていた。突如現れたシットを巡る尾籠系ミステリの驚愕の結末とは!? 「読者への挑戦」形式の書き下ろし短編、「三つの質疑」も特別収録。 解説・我孫子武丸

永遠の0

2011年12月04日 | ★★★★★☆(最高!)
百田尚樹(講談社文庫)

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる――。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。

星を継ぐもの

2011年11月13日 | ★★★★★☆(最高!)
ジェイムズ・P・ホーガン/著 池央耿/訳(創元SF文庫)

月面で発見された真紅の宇宙服をまとった死体。だが綿密な調査の結果、驚くべき事実が発覚する。死体はどの月面基地の所属でもなければ、ましてやこの世界の住人でもなかった。彼は五万年前に死亡していたのだ! 一方、木星の衛星ガニメデで、地球の物ではない宇宙船の残骸が発見される。関連は? J・P・ホーガンがこの一作をもって現代ハードSFの巨星となった傑作長編!