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読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

民宿雪国

2013年12月02日 | ★★★★☆☆(お勧め)
樋口毅宏(祥伝社文庫)

大勢に惜しまれながら、国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。享年九十七。彼は一方で寂れた民宿のあるじでもあったが、その生涯は未だ多くの謎に包まれている──。期待した筋書きを幾度も裏切られる破天荒な構成、そして昭和史の裏面を抉りながら最終的に物語が辿りつくのは…!? 小説界が驚倒した空前絶後、衝撃の大傑作。

マリアビートル

2013年11月07日 | ★★★★☆☆(お勧め)
伊坂幸太郎(角川文庫)

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利き二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する──。小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテイメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!

佳代のキッチン

2013年09月25日 | ★★★★☆☆(お勧め)
原宏一(祥伝社)

十五年前に失踪した両親を捜すため、持ち込まれた食材で料理を作る「移動調理屋」を始めた佳代。キッチンワゴンで両親ゆかりの地を巡るうち、一風変わった注文やちょっとした事件も舞い込むように。「ふわたま」「鮨天」「魚介めし」──もつれた謎と、人々の心を解くヒントは料理の中に? そして、徐々に明らかになる両親の秘密を追い、佳代が辿り着いた場所とは?

オー!ファーザー

2013年09月02日 | ★★★★☆☆(お勧め)
伊坂幸太郎(新潮文庫)

父親が四人いる!? 高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父× 4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件──。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。

ひなた弁当

2013年07月18日 | ★★★★☆☆(お勧め)
山本甲士(中公文庫)

五十歳を目前に会社からリストラされた芦溝良郎は、妻や娘からも愛想をつかされ居場所を失う。リストラに仕組まれた罠を知っても、自信も誇りもない男に立ち上がる気力はなかった。ある日、隣近所の手前、出勤しているふりをして立ち寄った公園のベンチで、良郎にひとつのアイディアが閃く。良郎が手にした「生き抜くすべ」とは!? 解説・末國善己

祖父たちの零戦 Zero Fighters of Our Grandfathers

2013年06月27日 | ★★★★☆☆(お勧め)
神立尚紀(講談社文庫)

ミノル、俺たちのやりたかったことはこんなことだったのかな──二十七機撃墜・味方損失ゼロ、奇跡の初空戦を指揮した進藤三郎。敗色濃い南太平洋でなおも完勝を続けた鈴木實。二人の飛行隊長の人生を縦糸に、元搭乗員一二四名への二〇〇〇時間インタビューを横糸に織り上げた、畢生のノンフィクション!

第二音楽室

2013年05月30日 | ★★★★☆☆(お勧め)
佐藤多佳子(文春文庫)

学校と音楽をモチーフに少年少女の揺れ動く心を瑞々しく描いたSchool and Music シリーズ第一弾は、校舎屋上の音楽室に集う鼓笛隊おちこぼれ組を描いた表題作をはじめ、少女が語り手の四編を収録。嫉妬や憧れ、恋以前の淡い感情、思春期のままならぬ想いが柔らかな旋律と重なり、あたたかく広がってゆく。解説・湯本香樹実

模倣の殺意

2013年05月17日 | ★★★★☆☆(お勧め)
中町信(創元推理文庫)

じっくり腰を据えて読みすすんでいくと、やがて、どうみても中町氏の書き誤りではないかと考えざるを得ない結論に到達するのだが、ラストでそれが作者の仕掛けたワナだったことを知らされる。その驚きは圧巻だ。近頃、これほど意外性に工夫をこらした作品は珍しい。ある意味で、私はクリスティの初期のある傑作を思いうかべ、読み終えてしばし呆然としたのである。 鮎川哲也

ハーモニー

2013年05月14日 | ★★★★☆☆(お勧め)
伊藤計劃(ハヤカワ文庫)
第40回星雲賞日本長編作品部門、第30回日本SF大賞、2010年フィリップ・K・ディック記念賞特別賞受賞作

21世紀後半、〈大災禍)と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した──それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰にただひとり死んだはずの少女の影を見る──『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。

カフーを待ちわびて

2013年04月19日 | ★★★★☆☆(お勧め)
原田マハ(宝島社文庫)
第1回日本ラブストーリー大賞受賞作品

もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください──。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。「嫁に来ないか。」と書いた明青のもとに、神様が本当に花嫁をつれてきたのだ──。沖縄の小さな島でくりひろげられる、やさしくて、あたたかくて、ちょっぴりせつない恋の話。選考委員から「自然とやさしい気持ちになれる作品」と絶賛された第1回『日本ラブストーリー大賞』大賞受賞作品。

新装版 塔の断章

2013年04月02日 | ★★★★☆☆(お勧め)
乾くるみ(講談社文庫)

お腹の子の父親はあなたよ──別荘の尖塔から転落死した美貌の社長令嬢・香織。悲劇が起きたのは、ある小説のゲーム化を企画するメンバー8人が別荘に集まった夜だった。父親は誰か。彼女の本当の死の理由は。激しい恋が迷い込んだ先の暗黒を描いた、乾マジックが冴え渡る“謎解き恋愛ミステリー”の決定版!

キネマの神様

2013年03月15日 | ★★★★☆☆(お勧め)
原田マハ(文春文庫)
第8回酒飲み書店員大賞受賞作

39歳独身の歩は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。ある日、父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、ひょんなことから父の映画ブログをスタートさせることに。“映画の神様”が壊れかけた家族を救う、奇跡の物語。 解説・片桐はいり

小さいおうち

2013年02月13日 | ★★★★☆☆(お勧め)
中島京子(文春文庫)
第143回直木賞受賞作

昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに“恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて──。晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。著者と船曳由美の対談を巻末収録。

ふがいない僕は空を見た

2013年02月04日 | ★★★★☆☆(お勧め)
窪美澄(新潮文庫)
第24回山本周五郎賞、第8回R-18文学賞大賞受賞作

高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが──。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R-18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。