東京でカラヴァッジョ 日記

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東博、夜間開館の再開、重文《土蜘蛛草紙絵巻》、総合文化展と特別展「桃山-天下人の100年」の観覧料金

2020年09月09日 | 東博総合文化展
   東京国立博物館が、2020年9月より、金曜日・土曜日の夜間開館を再開した。
 
 
   オンラインによる事前予約が必要であること、当日予約予定枚数が終了していなければ事前予約なしで当日直接行っても入館できることは、他の時間帯と同じ。
 
   で、9月の最初の土曜日、特別展が開催されていない日の夜間開館日の17時、事前予約なしで行く。待つことなく即入館できる。本館のみの鑑賞。館内は余裕で社会的距離を保つことができる。
 
 
 
   今回の私的目玉は、重文《土蜘蛛草紙絵巻》鎌倉時代・14世紀。
 
   本作を見るのは、2018年以来4回目であるが、見るたびにブログ記事にしていて、今回も記事にする。
   抜粋6場面の部分画像。
 
 
   この廃屋の主人である貴族に9代290年仕えていると語る老婆。
 
   白髪で、錐のような道具を持って左右の目を押し開け、上の瞼を頭の上に載せ、笄(髷を形作る結髪用具)で口を差し開き、唇を広げうなじに結わいつけ、左右の乳房を膝にひっかけている。
   といっても、薄くてその外観は判別し難いが。
   あなたこそ仏の導きだ、あなたに殺されて阿弥陀三尊の来迎に与りたいと語る老婆。頼光は「問答無益」とその場を立ち去る。
 
 
 
   次いで、一人の尼が現れる。
 
   丈は三尺(約90cm)ほどしかないが、顔が二尺、体が一尺のようだ。
   眉は太く整え、前歯はお歯黒、帽子を被り、下半身は紅の袴を履くが、上半身は裸で、手は糸筋のように長細く、色白。
   頼光との比較で身長90cmには見えない。もっと大きい。顔と体の比率も2:1には見えない。1:1どころか体の方が大。
   尼は灯火を消そうとして頼光ににらまれ、雲霞のように消え失せてしまう。
 
 
 
   次に美女が現れる。と思っていたら、突然立ち上がる。
 
   目をきらきらと輝かせ、毬のような白雲をいくつも投げつけてくる。
   大きい目が異様。
   頼光は太刀を抜き女に切りかかる。女は掻き消すように失せる。よく見ると板敷を貫いて礎石の半ばまで斬りつけていた。
 
 
 
   化け物と戦う頼光と綱。化け物は抵抗していたが、ついにあおむけに倒れる。
 
  
   国に災いをなす土蜘蛛という「畜生」を発見した頼光と綱。
   頼光は首をはね、綱が腹を割く。1,990もの骸骨が出てくる。反対側の腹を割く。子蜘蛛が無数に出てきて走り回る。
 
 
 
   出てきた骸骨を穴を掘って埋め、その場所に火をかけて焼き払う。
 
   毎度、異形たちの描写を楽しむ。
 
 
 
   東博総合文化展の観覧料金について。
 
   2020年4月の料金改定(14年ぶりの改定)により、一般料金が620円から1,000円になった。
   その金額に見合うだけの展示内容であることは確かだろうが、8月終了の特別展「きもの」の一般料金1,700円を考えると、総合文化展単独鑑賞はコスパが良くないように見える。
 
   料金改定開始日は臨時休館期間中で、6月の再開後も、海外からの観光客はいないし、国内から東京への旅行客もそう期待できないし、首都圏在住者も外出を控えめにしているだろうし、さらにこの金額を見て躊躇する人もいるとしたら、一体今どのくらいの入館者がいるのだろうか。

   次の特別展、9月21日からの表慶館での「工藝2020」展(事前予約制)は、一般料金1,500円。今までの表慶館での有料展と比べると高い水準。
 
   10月6日からの平成館での「桃山-天下人の100年」展(事前予約制)は、観覧者数制限や総合文化展観覧料金改定などを踏まえた、新たな水準が設定されるのか、と注目していたら、新たな水準が設定された。
   一般2,400円!!
 
   私が保有する年パスも、2020年度は据置であったが、2021年度には大胆な水準となるのだろう。
 
   今回の料金改定時には想定されていなかった「新たな鑑賞様式」を踏まえた料金設定対応も徐々に進んでいるようだ。


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