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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

細川林谷、旅の絵日記 - 「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展(サントリー美術館)

2021年06月27日 | 展覧会(日本美術)
ミネアポリス美術館   日本絵画の名品
2021年4月14日〜6月27日  
(臨時休館:4月25日〜5月31日)
サントリー美術館
 
 
   アメリカ中西部ミネソタ州のミネアポリス美術館所蔵の日本絵画コレクション92点を紹介する展覧会。
 
   本展は全点撮影可。
   そこで印象に残る作品3選、画像とともに。
 
 
1)
   江戸の旅のヘタウマ絵日記という感じが好ましい。初めて名を知る画家。
 
細川林谷(1782〜1842)
 
   讃岐国出身の篆刻家(てんこくか)。幼少より同郷の阿部良山(1773〜1821)に篆刻を学ぶ。若くして故郷を去り、長崎や京都を遊歴した後、江戸で篆刻の第一手と称せされた。生涯を旅に捧げ、本業の傍ら旅に取材した山水図を数多く描く。その飄逸とした作風には独特の味わいがある。
 
 
細川林谷
《戸隠連峰図》
一幅、江戸時代19世紀
 
   戸隠連峰は新潟県と長野県にまたがる山域で、修験道の霊場としても名高い。その険しい山肌をよじ登る2名のうち、先頭の人物は林谷と見てよい。林谷は風景図の中に自分を描き込む時は必ず、朱衣を着た姿で表わしたと伝わるからである。飄逸と評された林谷らしい画風を示す佳作と言える。
 
 
細川林谷
《渋温泉図》
一幅、江戸時代19世紀
 
   長野県の横湯川沿いに広がる渋温泉と、その上流域に位置する地獄谷温泉一帯を俯瞰的に捉えた図。山間の穴から巨大な蒸気の柱が噴出しているが、これは地獄谷の間欠泉と思われる。実際の遠近感を度外視した描写から、地獄谷の名に相応しい自然現象に驚嘆する林谷の姿がうかがえる。
 
 
細川林谷
《仙台観猟図》
一幅、江戸時代19世紀
 
   林谷は1828年夏から翌春にかけて、信越・東北の各地を遊歴した。本作はこの時、仙台で目撃した狩猟を描いたものである。剣士に囲まれる猪や鹿を丘の上から眺める人々の中に、林谷自身がいるのだろう。よほど印象深い出来事だったようで、林谷は同主題の作品を複数描いている。
 
 
   細川林谷は、他に1点《山水図巻》が出品されていて、本展(東京会場)には計4点もの作品が出品されている。
 
 
(続く)


2 コメント

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細川林谷について (廣瀬政憲)
2021-11-12 10:17:43
初めてコメントを書きます。
地元の文化財保護協会・教育委員会・林谷の一族等が、細川林谷(我が家から約500mの所で生まれた)について資料を集めております。林谷の一族の方から、さぬき市に多額の寄付と作品を寄贈して、美術館を建設する方向で動いております。今月末から1週間、地元の展示場等で、小さな展覧会をすることになっています。サントリー美術館にはK学芸員がいらっしゃって、学生時代から林谷の研究をしており、千葉市美術館2018年4月の「百花繚乱列島」ではK学芸員が、香川県の絵師として細川林谷を取り上げています。K学芸員がサントリー美術館に居るので、今回の展示がされたのではないかと想像します。これから、地元では、林谷に関する資料等の収集・整理が有りますので、もしよろしければご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
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Unknown ()
2021-11-13 15:00:04
廣瀬政憲 様
コメントありがとうございます。

細川林谷は、サントリー美術館のこの展覧会で初めて知りました(千葉市美術館の展覧会は見ていません)が、江戸の旅のヘタウマ絵日記という感じをたいへん好ましく思っています。その美術に関する情報はネットにはあまり無さそうで、現在は知る人ぞ知る存在なのでしょうか、これから注目されていくといいなと思います。諸展覧会にて林谷の作品を意識してみていきたいと思っています。

なお、いただいた4コメントのうち、3番目を残して、あとは非表示とさせてもらいました。
よろしくお願いいたします。
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