ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅
2012年9月12日~11月11日
府中市美術館
デルヴォー展に行ってきた。
デルヴォーの最初期から最晩年までの作品約80点が展示されている。
入場後、最初に登場するのが「夜明け」。1944年作。
この作品はいいなあ。
本展覧会の構成は、次のとおり。
第1章:写実主義と印象主義の影響
第2章:表現主義の影響
第3章:シュルレアリスムの影響
第4章:ポール・デルヴォーの世界
・欲望の象徴としての女性、男性の居場所
・生命の象徴としての骸骨
・汽車、トラム、駅
・建築的要素
・ルーツとしての過去のオブジェ
・フレスコ壁画
第5章:旅のおわり
第1~2章は、いわゆる「デルヴォー」以前の作品。
第1章は、印象派風の作品。
全く「デルヴォー」の気配はない。誰の作品と言われても信じる。
第2章は、表現主義の影響を受けた作品。
「デルヴォー」らしさは感じないとしても、個人的に表現主義(例えばドイツ表現主義)は好みなので、ちょっと異色な画面には惹かれるところがある。 「森の中の裸体群」、「バラ色の婦人」など。
第3章からは「デルヴォー」。
第3章では、「訪問4」もなかなかよい。「4」というからには少なくとも1~3があるのだろう、それも見てみたい。
冒頭に登場する「夜明け」も、実は第3章に位置付けられていることに気付く。
代表作を一番最初に観せておいて、再度第3章の一部として観せる。展示ルートの工夫に感心。
第4章は、5つのテーマに沿い「デルヴォー」を観せている。
「会話」(1944年作)がよい。なお、本作を含む骸骨シリーズは、習作を含め4点の展示だが、おもしろそう。
また、それ以外にも、完成作も見たいと思わせる習作が何点かあった。
デルヴォーについては、幻想的な雰囲気の舞台装置にしろ、裸あるいは着衣のうつろな瞳の女性たちにしろ、正直あまり興味を惹かれない。今回もそのことを再確認する結果となった。
と第4章を見ながらと思う一方、興味を惹かれた作品、「夜明け」や「会話」あるいは完成作を見たいと思わせた習作などは、全て1940年代の作であることに気がついた。
第5章は、最晩年、目を悪くしてからの作品。
89歳の作、初来日という「カリュプソー」は、「デルヴォー」らしくはないが、その幻想的な雰囲気には大変惹かれた。
訪問当日は、スライドレクチャー開催日であったが、到着時間が遅くて参加できなかった。
キャプションでも、両親の勧めにより建築を学んだが結果的に挫折したこと、デルヴォーの生涯の伴侶となる「タム」の存在、列車が好き等、ある程度の知識を得たが、レクチャーに参加していれば、また違った認識を持てたかもしれない。