
魂を込めた 円空仏
飛騨・千光寺を中心にして
2025年2月1日〜3月30日
三井記念美術館
円空(1632-95)。
美濃国に生まれ、諸国を巡り、晩年を飛騨で過ごす。
各地で木彫の神仏像「円空仏」をのこす。その数、現存するもので約5,000体余とされる。
本展は、岐阜県高山市の千光寺を中心として、飛騨に伝えられている円空仏を紹介する。
撮影可能な「円空仏」が4点。
《両面宿儺坐像》千光寺

両面宿儺。
『日本書記』では、大和朝廷に従わずに、武振熊により退治される人物・鬼神。
飛騨地方では、この地方を守護していた豪族。
2つの顔と4本の手。円空は、2つの顔に慈悲と忿怒を表し、その手に弓矢ではなく斧を持たせる。


《護法神立像》千光寺
《金剛神立像》飯山寺

総高2メートル超、半裁した丸太を、さらに半分に割り、木心側を像の正面として各部を彫出しているらしい。
とにかく細い。体部は滝を表しているかのように見える。


《三十三観音立像》千光寺

「三十三観音」といいつつ、のこるのは31体。
かつて近隣の住民たちが病気の際に持ち出し、病気平癒を願ったという。どうやら一部戻ってこなかったということであるらしい。

ほか印象に残る円空仏3選。
《柿本人麻呂坐像》東山神明神社
「優しい笑み」や「右袖の階段状に表現された皺の表現」に惹かれる。側面から見ると体部は実に薄くて、頭部だけが突き出ている。これを一材で造るとは。
現存最も早い図像とされる鎌倉時代前期に制作された《佐竹本三十六歌仙絵》(出光美術館蔵)の図像に近いという。
《稲荷大明神坐像》住吉神社
狐頭の像で、他の「稲荷大明神」像とは違い、体部に手の部分が彫りだされていないため、「像全体が白狐のような動物の姿として表されたように見える」。
フランツ・マルクの動物像を想起し、その美しさに見惚れる。
《阿弥陀如来坐像及び二十五菩薩立像》光円寺
阿弥陀如来は、施された「刻線」の効果だろうか、光輝いているように見える。
二十五菩薩は細い棒のよう、阿弥陀如来の左右に12と13体に分けて寝せて展示されている。
たくさんの「円空仏」、鉈や鑿の彫りの造形、プロフェッショナルの技を楽しむ。
のちに確認すると、2013年に東京国立博物館(本館特別5室)にて特別展「飛騨の円空 - 千光寺とその周辺の足跡」が開催されている。出品作も本展と概ね同じ感じで、私も鑑賞しブログ記事を残している。
作品の多くが12年ぶり2度目の鑑賞だったらしい。