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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

レンブラント リ・クリエイト展2016(横浜・そごう美術館)

2016年08月22日 | 展覧会(西洋美術)

オランダ  レンブラント・リサーチ・プロジェクト公認
レンブラント  リ・クリエイト展2016
2016年7月30日〜9月4日
横浜・そごう美術館


   複製画によるレンブラントの展覧会。その数、204点。


   レンブラント作品は、過去1,000点以上とされていたが、レンブラント・リサーチ・プロジェクト調査により、現在は約350点とされている。


   それら350点の実物を見ようとすると、18カ国を旅する必要がある。それでも52点は個人蔵だったり、盗難で行方不明であったり、長期修復中であったりして、見ることは叶わない。

   経年劣化で変色する以前のオリジナル色を取り戻す。損傷を受けた作品、一部が切断されてしまった作品を、最新のデジタル技術で17世紀の姿へと再現する。

といったところが謳われている本展。

 

   これほどまとまった数を一度に見る機会は、実物だとあり得ないこと。
   レンブラントの画集、実物大で、収録数は真筆作品の約58%で、写真撮影可能の、ウルトラスペシャル画集を見る、という気持ちで訪問する。


   以前同様にリ・クリエイト作品による展覧会が開催された全38点しか現存しないフェルメール作品とは異なり、現存数が多数のレンブラント作品。


   実物大の威力は大きい。こんな作品があったのかに加え、こんなに大きい(あるいは、小さい)作品だったのかとか、この作品にはこんなものが描きこまれていたのかとか、私的な発見が多い。ただ、色彩関係については複製画なので留保する。

 


以下、写真撮影した作品から。


最初の作品。


   五感がテーマ。1点は現存が確認されていない。1624年頃、レンブラント18歳頃の作品。サイズは21.5cm×17.8cm前後。

上から、

《失神した人(臭覚)》個人蔵

《眼鏡売り(視覚)》ライデン、ラーケンハル市立博物館

《手術(触覚)》個人蔵

《三人の歌い手(聴覚)》個人蔵 


リ・クリエイトでも切断される《夜警》。


現在の《夜警》。
363cm×437cm。

 


   1715年、当初の設置場所である火縄銃手組合大ホールからアムステルダム市庁舎に移される際に、上下左右が切り詰められる。上部は25cm、右は10cm、左は60cmほど。当初のサイズは、388.4cm×504.6cmとされる。

 


オリジナルの《夜警》

 

 


   オリジナルの高さ388.4cmに対し、そごう美術館の天井高は310cmしかない。そこで苦渋の決断、本展展示に際しては、上部を切り詰めて展示する(←何これ?)

 

 

その次に高さのある作品。

《放蕩息子の帰還》
1665年頃
エルミタージュ美術館

   高さ262cmなので、辛うじて収まっている。
   収まりきれないので展示を断念した作品がきっとあるはず(根拠なし)。


横に大きい分は対応可。

 


盗難で行方不明の作品。


   1990年3月18日、イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館から奪い去られ今だ行方不明の13点の美術品のうちの2点。


   《ガリラヤの海の風景》と《夫婦の肖像》。前者は、こんなに大きな作品とは想像していなかった。

 

損傷により本来の輝きを永遠に失った作品。


   1985年、ある青年により硝酸を浴びせかけられ、刃物で2回切りつけられる。これにより画面中央ほぼ全ての顔料が溶け落ち、水滴状になって垂れ下がる。1985年から1997年の長期にわたって修復が行われるが、完全に修復することは叶わず。

《ダナエ》
1636年/1643年頃
エルミタージュ美術館

 


「怖い」描写の部分拡大。


《テュルプ博士の解剖学講義》
マウリッツハイス美術館

 

《目を潰されるサムソン》
シュテーデル美術館

 

《プロセルピナの略奪》
ベルリン絵画館 


最晩年の自画像。


   レンブラントの自画像全41点が他とは独立したコーナーで時系列に展示されているのも、本展の売りの一つ。

   最晩年とされる3点。右から、ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵、ウフィツィ美術館蔵、2012年に来日したマウリッツハイス美術館蔵。

 

 

   入場料が高い感があることを除けば、楽しめる展覧会である。

   これから各地巡回するのかな。

   とネット検索すると、巡回情報は得られなかったが、本企画の売り込み宣伝であるらしいサイトを発見する。

http://www.rembrandtremastered.com

 

   サイトでは、松竹梅のコースが示されている。

   松コースは全てのリ・クリエイト作品330点で450Mの壁面が必要。
   竹コースは150点、130Mの壁面が必要。
   梅コースはベスト作品10点、20Mの壁面が必要。

 

   本展は、松と竹の中間のコースなのか。壁面のみならず、天井高に合わせたカスタマイズも可能ということか。



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