オランダ レンブラント・リサーチ・プロジェクト公認
レンブラント リ・クリエイト展2016
2016年7月30日〜9月4日
横浜・そごう美術館
複製画によるレンブラントの展覧会。その数、204点。
レンブラント作品は、過去1,000点以上とされていたが、レンブラント・リサーチ・プロジェクト調査により、現在は約350点とされている。
それら350点の実物を見ようとすると、18カ国を旅する必要がある。それでも52点は個人蔵だったり、盗難で行方不明であったり、長期修復中であったりして、見ることは叶わない。
経年劣化で変色する以前のオリジナル色を取り戻す。損傷を受けた作品、一部が切断されてしまった作品を、最新のデジタル技術で17世紀の姿へと再現する。
といったところが謳われている本展。
これほどまとまった数を一度に見る機会は、実物だとあり得ないこと。
レンブラントの画集、実物大で、収録数は真筆作品の約58%で、写真撮影可能の、ウルトラスペシャル画集を見る、という気持ちで訪問する。
以前同様にリ・クリエイト作品による展覧会が開催された全38点しか現存しないフェルメール作品とは異なり、現存数が多数のレンブラント作品。
実物大の威力は大きい。こんな作品があったのかに加え、こんなに大きい(あるいは、小さい)作品だったのかとか、この作品にはこんなものが描きこまれていたのかとか、私的な発見が多い。ただ、色彩関係については複製画なので留保する。
以下、写真撮影した作品から。
最初の作品。
五感がテーマ。1点は現存が確認されていない。1624年頃、レンブラント18歳頃の作品。サイズは21.5cm×17.8cm前後。
上から、
《失神した人(臭覚)》個人蔵
《眼鏡売り(視覚)》ライデン、ラーケンハル市立博物館
《手術(触覚)》個人蔵
《三人の歌い手(聴覚)》個人蔵
リ・クリエイトでも切断される《夜警》。
現在の《夜警》。
363cm×437cm。
1715年、当初の設置場所である火縄銃手組合大ホールからアムステルダム市庁舎に移される際に、上下左右が切り詰められる。上部は25cm、右は10cm、左は60cmほど。当初のサイズは、388.4cm×504.6cmとされる。
オリジナルの《夜警》
オリジナルの高さ388.4cmに対し、そごう美術館の天井高は310cmしかない。そこで苦渋の決断、本展展示に際しては、上部を切り詰めて展示する(←何これ?)
その次に高さのある作品。
《放蕩息子の帰還》
1665年頃
エルミタージュ美術館
高さ262cmなので、辛うじて収まっている。
収まりきれないので展示を断念した作品がきっとあるはず(根拠なし)。
横に大きい分は対応可。
盗難で行方不明の作品。
1990年3月18日、イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館から奪い去られ今だ行方不明の13点の美術品のうちの2点。
《ガリラヤの海の風景》と《夫婦の肖像》。前者は、こんなに大きな作品とは想像していなかった。
損傷により本来の輝きを永遠に失った作品。
1985年、ある青年により硝酸を浴びせかけられ、刃物で2回切りつけられる。これにより画面中央ほぼ全ての顔料が溶け落ち、水滴状になって垂れ下がる。1985年から1997年の長期にわたって修復が行われるが、完全に修復することは叶わず。
《ダナエ》
1636年/1643年頃
エルミタージュ美術館
「怖い」描写の部分拡大。
《テュルプ博士の解剖学講義》
マウリッツハイス美術館
《目を潰されるサムソン》
シュテーデル美術館
《プロセルピナの略奪》
ベルリン絵画館
最晩年の自画像。
レンブラントの自画像全41点が他とは独立したコーナーで時系列に展示されているのも、本展の売りの一つ。
最晩年とされる3点。右から、ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵、ウフィツィ美術館蔵、2012年に来日したマウリッツハイス美術館蔵。
入場料が高い感があることを除けば、楽しめる展覧会である。
これから各地巡回するのかな。
とネット検索すると、巡回情報は得られなかったが、本企画の売り込み宣伝であるらしいサイトを発見する。
http://www.rembrandtremastered.com
サイトでは、松竹梅のコースが示されている。
松コースは全てのリ・クリエイト作品330点で450Mの壁面が必要。
竹コースは150点、130Mの壁面が必要。
梅コースはベスト作品10点、20Mの壁面が必要。
本展は、松と竹の中間のコースなのか。壁面のみならず、天井高に合わせたカスタマイズも可能ということか。