東京でカラヴァッジョ 日記

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2005年の《踊るサテュロス》、2025年のカラヴァッジョ

2024年07月01日 | カラヴァッジョ
特別展「踊るサテュロス」
2005年2月19日〜3月13日
東京国立博物館 表慶館
 
1965年、ツタンカーメン。
1974年、モナ・リザ。
そして2005年、門外不出の世界の至宝、「彼」がやってくる。
 
 
1998年3月5日。
 地中海のシチリア島沖、パンテッレリア島とチュニジアのボン岬のあいだ、水深480mの海底。
 9名の乗組員を乗せた漁船カピタン・チッチョ号の底引網に掛かった「獲物」。
 
 高さ約2.5m、総重量108kg、2000年以上前にギリシャで制作され、アテネから輸送中に船とともに海に沈んだと考えられているブロンズ像、《踊るサテュロス》である。
 
 その漁船は、実は、1997年に片方の「脚」だけを引き揚げており、念願叶って、その翌年に「胴体」を引き揚げた形となる。
 
 マザラ・デル・ヴァッロに入港したブロンズ像は、マザラ・デル・ヴァッロにおいて、塩の分離を目的とする一連の洗浄を繰り返され、純エチルアルコールで脱水され、特設された風洞中で温風により乾燥させられ、ローマのイタリア中央修復研究所に移され、約4年に及ぶ修復を受ける。
 
 修復後のローマでの公開のあと、2003年にマザラ・デル・ヴァッロに戻り、そのために設立された「踊るサテュロス博物館」にて公開される。
 
 
 2005年、愛知万博(3月25日〜9月25日)のイタリア・パビリオンの主役として来日する。
 
 私は愛知万博には行っていないが、万博に先立つ東京国立博物館における特別展示(23日間、会期中無休)の際に観ることができた。
 
 両腕・右脚を失い、多数の穴を持つ痛々しい姿であるが、その躍動感、その威厳、そのオーラに圧倒された。
 あまりの素晴らしさに、再訪し、再々訪した。
 本展に引き続き、東京国立博物館で特別公開「中宮寺 国宝菩薩半跏像」展(3月8日〜4月17日)、国立西洋美術館で「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展」(3月8日〜5月29日)と、当時は上野公園ばかり行っていたような気がする。
 
 
 
 さて、19年前の展覧会を記載したのは、最近、次のニュースを知ったからである。
 
 2024年4月15日の記者発表会において、大阪・関西万博に関する発表が行われ、千葉大使も参加しました。
 バチカン政府代表、フィジケッラ福音宣教省長官補(大司教)は、大阪・関西万博のバチカン・パビリオンに、バチカン美術館所蔵、カラヴァッジョによる「キリストの埋葬」を展示することを発表されました。バチカン・パビリオンは、「美は希望をもたらす」をテーマに、イタリア・パビリオン内にて展示を行います。
 
 
 びっくり。
 当初2020年秋、変更後2021年春に国立新美術館で予定された「カラヴァッジョ《キリストの埋葬》展」が結局コロナ禍で中止になったが、復活すべく企画していただいたのだろうか。
 大阪万博に行く予定はなかったが、一度は行かざるをえない。
 前例踏襲で、その前に短期間でも東京で特別展示していただけるとありがたいのだが。
 


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