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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

【その2】マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展(東京都美術館)

2015年10月05日 | 展覧会(西洋美術)

マルモッタン・モネ美術館所蔵
モネ展
2015年9月19日~12月13日
東京都美術館


 

   単館所蔵作品によるモネ展。
   出品構成に偏りを感じる。
   まず晩年期への偏り。そしてそれ以前の時期の作品も、一般的な「モネらしさ」から少しズレがある感。ミシェル・モネ寄贈作品の特徴なのだろうか。

   ミシェル寄贈作品の優品が勢揃いすれば違った印象だったかもしれないが、そうもいかない美術館。ド・ベリオ・コレクションから目玉となる代表作を1点オンすることで、バランスを図ったというところ。

   ところで、《印象、日の出》は21年ぶりの東京、とある。確かに1994年、国立西洋美術館で見た記憶がある。なぜ「東京」なのか。2008年に名古屋に来ていたらしい。

 

家族の肖像

   最初に出会うのは、ルノワールの2作品。
   モネおよび最初の妻カミーユを描いた1873年の作品。最期まで手元に置いていたということは、モネも気に入っていたに違いない。特に《新聞を読むクロード・モネ》は優品。奥さんのほうは、オルセー美術館所蔵の《死の床のカミーユ》を思い起こして、どうもよろしくない。

   二人の子供の肖像が4点。うちミシェルが3点。一部は昨年の森アーツセンターギャラリーのこども展でみている。

   海辺にいるカミーユを描いた1870年の作品が2点。いずれも肖像画ではなく、造形的試みのための作品。

   ブランシュ・オシュデ=モネの作品が2点。
   彼女は、モネの2番目の妻の連れ子で、モネの長男と結婚。
   長男が1914年に亡くなった後、ジヴェルニーに戻り、モネを献身的に世話したという。ジヴェルニーの庭も、所有権はミシェルだが、彼女が死ぬまでずっと管理していたらしい。財産は彼女には渡らなかったのか?

 

モティーフの狩人I

   全10点。
   《雪の効果、日没》は、ド・ベリオ・コレクション由来。
   《ポリーの肖像》は、1886年、ベリール島で制作に専心するモネを世話した漁師さんを描いた作品。

 

収集家としてのモネ

   他の画家の21点の水彩画、エッチング、彫刻など(油彩画はない)。

 

若き日のモネ

   カリカチュア11点に、最初期の油彩画1点。

 

ジョルジュ・ド・ベリオ・コレクションの傑作ーマルモッタン美術館の印象派コレクションの誕生

   《印象、日の出》が1点どんと展示。例の「最前列立ち止るな」鑑賞方式が導入されている。

   「印象派のアイコン」も、ついにフェルメールの大傑作《真珠の耳飾りの少女》と同格の待遇になったのか、と驚くが、これは明らかに過剰対応。観客側は乗ってきてない。10/20から入替え展示される《ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅》も、まさか、同様の待遇ということはないでしょうね。

   作品は、朝日のオレンジ色がえらく印象的。

 

モティーフの狩人II(ノルマンディーの風景)

  4点。 1917年の風景画《オンフルール港の舟》。

 

睡蓮と花ージヴェルニーの庭

   10点。
   1887年、川の底で揺らめく水草を捉えようとする《小舟》。
   1900年代、睡蓮の浮かぶ水面の広がりだけで画面が構成される2点の《睡蓮》(←画像掲示)。
   1916年以降、現オランジュリーの大装飾画の習作である3点の《睡蓮》。
   横長(1m×3m)の表現主義的な《睡蓮》。

 

 

最晩年の作品

   表現主義的作品16点に囲まれる。
   しだれ柳。日本の橋。バラの小道。バラの庭から見た家。
   生前には公表されなかった作品群。私は好み。

 

   

   土曜日の夜間開館時の鑑賞は実に快適。東京国立博物館の野外シネマのためのチケット購入の長蛇の列を見た後だけに一層快適。気分よく退館する。



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